’13/05月は、XHTML版でまたまた芥川竜之介「谷崎潤一郎氏」が2万アクセスを超えて驚きを与えた。まさに

またか！事件はどこでおこっているのか？RT @aobeka: 【青空文庫便り】6月分のアクセスランキングを公開しました。 aozora.gr.jp/access_ranking/ 再びの「谷崎潤一郎氏」。心の海の那辺にひそみ、今回はなにをきっかけに、また一波を起こしたのやら。

— 野口英司さん (@agtc) 2013年6月5日

である。

そのほか、憲法記念日のある5月らしく、憲法の話が例年のようにアクセス増率のランキングに入っているが、「大日本帝国憲法」がアクセス増分析の中に登場してきたのにちょっと驚いた。

■青空文庫 ’12/04 – ’13/05XHTML版新規公開作品一日当たりアクセス数ランキング
’13/05月XHTML版の新規公開作品のうち、500位まで入った作品は18作品であった。新規公開作品は一日当たりアクセス数のランクにしているが、ほぼ公開日が新しいほどランク上位にあるから、アクセス数に飛び抜けた作品はなかったと言えるかもしれない。そういう中でも、柳田国男「日本の伝説」「山の人生」、海野十三「海底大陸」、小栗虫太郎「人魚謎お岩殺し」がよく読まれている。

■青空文庫 ’13/04 – ’13/05 XHTML版 アクセス増率ランキング
芥川竜之介「谷崎潤一郎氏」のアクセス数の動きにほんとに驚かされる。昨年4月に66,362の衝撃的なアクセス数を示した後、5,6,7月には連続して1万を超えた。そして今年1月にも15,039アクセスとなり、3月には1000アクセスに減った後、再び2万アクセスを超えたのである。またまた「何が起こったのだ」ろうか。
坂口安吾「もう軍備はいらない」は６月公開の映画「戦争と一人の女」の影響かと思ったがそうでもなさそうだ。「憲法改正」論議の高まりのなかで、注目され始めているのだろうか。
内村鑑三「後世への最大遺物」はNHK Eテレ「ＮＨＫこころの時代～宗教・人生～ 道をひらく 内村鑑三のことば」、菊池寛「鳥羽伏見の戦」はNHKテレビ大河ドラマ「八重の桜」の影響であろう。

■青空文庫 ’13/04 – ’13/05 テキスト版新規公開作品一日当たりアクセス数ランキング
4月新規公開作品のうち、500位内のランキングに入ったのは16作品。XHTML版と違って、5/24公開以降の作品はランクインしていない。公開日が新しい作品ほどランクが上位にあるから、一日あたりのアクセス数というのは、実はあまり良い指標ではないのかもしれない。アクセス数だけで見ると、1位柳田国男「日本の伝説」、2位海野十三「海底大陸」、3位小栗虫太郎「人魚謎お岩殺し」となる。これを見ると、むしろ、こちらの方が人気度合いを示していると思えてくる。ちょっと、考えすぎであったのか。

■青空文庫 ’13/04 – ’13/05　テキスト版 アクセス増率ランキング
全体的に微増であるので、大きな特徴を見出すことができないが、文部省「あたらしい憲法のはなし」、日本国「日本国憲法」は憲法記念日のある5月の例年の傾向と見える。堀辰雄「風立ちぬ」は7月の映画公開を控えて立ち上がり始めているようだし、太宰治「駈込み訴え」はじわりとした人気があるようだ。
青いセルで示したのは4月ランク外で今月ランクインした作品であるが、4月新規公開ではない織田作之助「夫婦善哉」が注目される。twitterでも何か流れていたと思って検索したら、NHKの連続ドラマとして8月にスタートするとのことであった。この作品も、何度か映像化されている作品だということである。
ほかの青セルの作品は4月下旬の新規公開作品。このリストでより上位にある井上円了「妖怪学」、吉川英治「鳴門秘帖 06 鳴門の巻」は既にランクインしていた作品である。

■アクセス数合計の推移
’13/05月のアクセス数はXHTML版447,406、テキスト版354,400、合計801,806。対前月比でXHTML版+11.6%、テキスト版-19.9%、合計-4.9%の減少である。XHTML版アクセスの増大は、芥川竜之介「谷崎潤一郎氏」のアクセス数18,384が主原因だろうが、ほかに中島敦「山月記」、スウィフト「ガリバー旅行記」、芥川竜之介「羅生門」などのアクセス増が影響している。
一方、テキスト版アクセスの減少は、次のような原因が主と思われる。
①夏目漱石「こころ」「吾輩は猫である」、太宰治「人間失格」、宮沢賢治「銀河鉄道の夜」などの定番作品の減少は、これらの作品をKindle、iBooksなどからダウンロードするユーザーが増えているのかもしれない。
②吉川英治の「宮本武蔵」「私本　太平記」のアクセス数が安定期に入ったこと。
③映画の上映が終わりに近づき、ユゴー「レ・ミゼラブル」のアクセス数が減少してきたこと。
まさか13/01月がアクセスのピークだったということはないと思うが、大きな流れの傾向はどうなっていくのだろうか。