新年句会には失敬しました、あれほど堅く約束していた事ですから、私自身は必ず出席するつもりでしたけれど、好事魔多しとやらで、飛んでもない邪魔が這入って、ああいうぐうたらを仕出来しました、何とも彼とも言訳の申上様もありません、ただただ恐縮の外ありません、新年早

我に小 さう籠るに耳は眼はなくも
泥田の田螺幸 もあるらむ
突然ですが、少しく事情があって当分の間、俳句、単に俳句のみならず一切の文芸に遠ざかりたいと思います、随って名残惜しくも、皆様と袖を分たねばなりません、今年は子の年ですから、仁木の鼠みたいに、また出直して来るつもりではありますが、一応お別れします、色々御厄介になりました、皆様、御機嫌よう。泥田の田螺
毒ありて活く生命にや河豚汁
一月十八日午前十時
田螺公 謹んで申す
一月十八日午前十時
田螺公 謹んで申す
(椋鳥会五句集『河豚』明治四十五年一月)