私の一日
軽い酔
牧野信一
四月四日
電灯が消えたので思はず舌を打つた。だが、窓をあけると輝かしい朝陽がみなぎつてゐた。H君と一緒に海辺へ行く。朝釣りから戻つて来た舟の人から大きな鯵を買ひ、H君が尾をさげてもどる。鯵を酢にして朝飯を喰ふ。ビールの軽い酔を得て昼まで眠る。競馬にさそはれたが止める。
二三時間しか眠らないので、頭が変だが、眠くもないので、アメリカ料理の古いグラヒツクなどを眺める。朝まで起き通すだらう。
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