愛読という言葉の普通の使いかたとは違うけれども、非常に感銘をもってよみ、人類の歴史の精髄を学んだ二つの本をあげます。
エンゲルス著「家族・私有財産及国家の発生」
同 「空想から科学へ」
前者は、題名がこの卓抜で美しい社会の歴史の内容を語っております。後者は、人間社会に、何故貧富の差が生じたか。その社会的な不幸をなくしようとして、優れた人々がどんなに努力して来たか。そして、この人間らしい努力は、だんだん空想的な方法から科学的な理解と方法とを発見して来て、今日、私どもの将来に幸福建設の可能を示すものとなって来た歴史の、不抜な歩みを物語っている書物です。
〔一九四六年五月〕