歴史の可能は、いつの時代にも青春のうちに見出されて来た。日本の青春が明日に可能としている運命は、何と大きく画期的であるだろう。
この予想は、きのうまで日本の青春が、あのようにもむごたらしく戦争の
轍にひしがれて来たことについて、きょうの青春が熱烈に抗議している、その事実の上にこそ展望される。激しい歴史の動きにさらされながら、世界の良心あるすべての人々は、戦争放火者たちの跳梁に抗して、新しい人類の理性の勝利と美の確立のために奮闘している。わたしたちは、そのような世界と日本の現実の隅々までを見ようとする。新しく湧き出ようとしている人類的民族の文学のすがすがしい響きをわがものとしようとする。
一九五〇年十二月
〔一九五一年一月〕