「妹に送る手紙」水野葉舟氏著(定価五拾銭)実業之日本社発行
読み終つた時にこの手紙を受とるといふ単純な美しい処女のお
澪さんを想つた。真面目に、そして鋭敏な処女の感情の動揺に周到な注意を払つて書いてある点など殊にうれしく読まれた。書いてある事なども自分には同感の点が多かつた。
何うかした女学校の倫理教科書よりもずつと面白くて得る処も多い。かう云ふ手紙を貰つて教育されて行くお澪さんは幸福な人だ。若い人達には勿論教育者の位置に立つてゐる人々にも是非一読して欲しいものだと思つた。
[『青鞜』第三巻第一号、一九一三年一月号]