手紙

慶応三年一月十四日 木戸孝允あて

坂本龍馬




追白、溝淵広之丞よりさし出し候品ものハ中島作に相頼申候間、御受取可遣候。彼広之丞誠に先生の御恩をかんじ実ニありがたがり居申候。
再拝※(二の字点、1-2-22)
一筆啓上仕候。益御安泰可成御座候然ニ先頃ハ(まかり)出段※(二の字点、1-2-22)御セ話難有次第奉万謝候。其節溝淵広之丞ニ御申聞相願候事件を、同国の重役後藤庄次郎(象二郎)※(二の字点、1-2-22)相談候より余程夜の明候気色、重役共又(ひそか)に小弟にも面会仕候故、十分論申候。此頃ハ土佐国ハ一新の起歩相見へ申候。
其事共ハくハ敷、さし出候中島作太郎に申聞候間、御聞取可遣。
もとより此一新仕候も誠に先生の御力と奉拝候事ニ御座候。当時ニても土佐国ハ幕の役にハ立不申位の所ハ相はこび申候。今年七八月にも相成候へバ、事により昔の長薩土と相成可申と相楽ミ居申候。其余拝顔の期、万※(二の字点、1-2-22)申上べく候。稽首※(二の字点、1-2-22)
十四日
龍馬
木圭先生
足下





底本:「龍馬の手紙」宮地佐一郎、講談社学術文庫、講談社
   2003(平成15)年12月10日第1刷発行
   2008(平成20)年9月19日第7刷発行
※底本手紙の写真のキャプションに、(宮内庁 木戸家文書)とあります。
※丸括弧付きの語句は、底本編集時に付け加えられたものです。
※直筆の手紙の折り返しに合わせた改行は、省いて入力しました。
入力:Yanajin33
校正:Hanren
2010年8月26日作成
2011年6月17日修正
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