手紙

慶応三年三月二十日 三吉慎蔵あて

坂本龍馬




 珍事御見ニ入候時、御耳入候。龍今日出ましたる故ハ、一昨日薩州村田新八山口の方へ、御使者ニ参りたる事件云々。
又今日石川清之助(中岡慎太郎)が薩州より、
 条公(三条実美)までの使ニ参り、夫より急※(二の字点、1-2-22)上京する也。
吉之助(西郷隆盛)翁ハ、先日土佐ニ行、老侯(山内容堂)エツし候所、実ニ同論ニて土老侯も三月十五日までに大坂まで被出候よし、薩侯にも急※(二の字点、1-2-22)大坂まで参り土老と一所に京方に押入、(まづ)日州の大本を立候との事、西郷も此度ハ必死覚ごのよし。
今日ハ外ニ用向もあり、是より印藤翁と出かけ候。
三吉慎蔵様
直柔
急報





底本:「龍馬の手紙」宮地佐一郎、講談社学術文庫、講談社
   2003(平成15)年12月10日第1刷発行
   2008(平成20)年9月19日第7刷発行
※底本手紙の写真のキャプションに、(上田 三吉家文書)とあります。
※丸括弧付きの語句は、底本編集時に付け加えられたものです。
※直筆の手紙の折り返しに合わせた改行は、省いて入力しました。
入力:Yanajin33
校正:Hanren
2010年8月26日作成
2011年6月17日修正
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