むかし、ある男に七人のむすこがありました。けれども、むすめはひとりもありませんでした。それだけに、この男はむすめをたいそうほしがっていました。
そのうちに、おかみさんのおなかが大きくなって、子どもが生まれそうになりました。やがて生まれた子どもは、
この男はどんなによろこんだかしれません。けれども、子どもは小さくて、やせこけていました。そして、からだがよわいため、すぐにかりの
おとうさんは、男の子のひとりをおおいそぎで
みんなはぼんやりつっ立ったまま、どうしていいかわかりません。そして、だれひとりうちにかえろうとはしませんでした。
おとうさんは、いつまでたってもだれもかえってこないので、いらいらして、いいました。
「きっと、またあそびにむちゅうになって、
そのうちに、ぐずぐずしていると、女の子が
「
と、どなりました。
ところが、こういいおわるかおわらないうちに、頭の上でバタ、バタいう、
おとうさんとおかあさんは、さっきののろいのことばを、もうとりけすことはできません。ふたりは、七人のむすこをなくしたことを、たいそうかなしみました。でも、かわいらしい女の子がさずかりましたので、それでいくらかはなぐさめられました。
女の子は、まもなく力もついて、一日ごとに美しくなりました。
女の子は、じぶんににいさんたちのあったことを、長いあいだ知りませんでした。というのは、おとうさんもおかあさんも、この子のまえで、にいさんたちのことを話さないように気をつけていたからです。
でも、とうとうある日、みんながこの子のうわさをして、
「あの子は美しいけれども、七人のにいさんたちがあんなにひどいめにあったのは、もとはといえば、あの子のせいなんだからなあ。」
と、いっているのを耳にしました。
女の子は、すっかりかなしくなってしまいました。そして、おとうさんとおかあさんのところへいって、
「あたしには、にいさんたちがあったんですか。そして、そのにいさんたちはどこへいってしまったんですか。」
と、たずねました。おとうさんとおかあさんも、もうこれいじょう、この
「でも、にいさんたちがそうなったのは、
と、もうしました。
けれども、女の子は、まい日まい日、そのことばかり気にして、なんとかしてにいさんたちをたすけだして、もういちど、もとのようなすがたにしてあげなければならない、と思っていました。
女の子は、もうじっとしていられなくなりました。だれにも気づかれないように、こっそりと家をぬけだして、ひろい
女の子は、ほんのわずかのものしかもっていきませんでした。おとうさんとおかあさんの
さて、女の子は、どこまでもどこまでも、歩いていきました。とうとう、
そこで、お日さまのところへいきましたが、お日さまはとってもあついし、それに、こわくてたまりません。だって、小さな子どもを、がつがつ食べてしまうんですもの。
女の子は、あわててそこをにげだして、お月さまのところへかけていきました。ところが、お月さまはつめたすぎて、ざんこくで、おまけに、いじわるでした。
お月さまはこの子に気がつきますと、
「人間の
と、いいました。
それで、女の子はここをもいそいでにげだして、お星さまたちのところへいきました。お星さまたちは、しんせつで、やさしくしてくれました。そして、めいめいがとくべつのいすにこしかけていました。
「この足をもっていないと、ガラス山の門をあけることができないよ。きみのにいさんたちは、そのガラス山にいるんだよ。」
女の子はその足をもらって、だいじに
やがて、ガラス山につきました。門にはかぎがかかっていました。そこで、女の子は足をとりだそうと思って、布をあけてみました。ところが、なかはからっぽです。女の子は、しんせつなお星さまたちからもらったものをなくしてしまったのです。さあ、どうしたらいいでしょう。にいさんたちをたすけてはあげたいのですが、ガラス山の門をあけるかぎがありません。
心のやさしい妹は、
「きみ、きみ、なにをさがしているの。」
「七
と、女の子はこたえました。
すると、小人はいいました。
「カラスさんたちは、いまるすだよ。でも、かえってくるまで
それから、
そのとき、とつぜん、空のほうからバタ、バタいう
「さあ、カラスさんたちがかえってきたよ。」
まもなく、カラスたちはおりてきました。そして、食べたり、のんだりしようと思って、小さなおさらやかわいいさかずきをさがしました。けれども、すぐに、
「だれがぼくのおさらのものを食べたんだ。だれがぼくのさかずきのものをのんだんだ。こんなことをしたのは、人間の口にちがいない。」
と、カラスたちはじゅんじゅんにいいました。
しかし、七ばんめのカラスがさかずきをのみほしたとき、かわいい
「ああ、妹がここにいてくれたらなあ。そうすりゃ、ぼくたち、たすけてもらえるんだけど。」
女の子は戸のうしろに立って、そっときいていましたが、この
と、たちまち、カラスたちは一