みなさん。このおはなしは、うそみたいですけどね、ほんとうのおはなしなんですよ。わたしは、このおはなしを おじいさんからききました。
おじいさんは、はなしてくれるたびに、いつもいつも、こう いっていました。
「こりゃあな、ぼうや。まちがいなく、ほんとうのはなしなんだよ。こうよりほかには、はなしようがないんだからな。」
ところで、その おはなしというのは、こうなんです。
お日さまは、
こうして、
はりねずみは、じぶんの
こうやって、ぼんやり ひとりで、
(そうだ、
そのかぶというのは、はりねずみの
それで、そのかぶはじぶんのものだ、とおもいこんでいたのです。
(いいことは、いそいでやるんだ。)
はりねずみは、おもての
ところが、まだ、いくらも いかないときです。はたけのてまえにある 木のしげみのところを、かぶばたけのほうへ まがろうとしました。すると、そこで ばったり、うさぎにであったのです。
うさぎも、やっぱり、おなじようなようじで やってきたところでした。つまり、うさぎのほうは、じぶんのキャベツばたけを、みまわりにきたのです。
はりねずみは、うさぎのすがたをみると、あいそよく、
「おはよう。」と、あいさつしました。
ところが、うさぎときたら、いやに こうまんちきで、おえらいだんなのような つもりでいます。だから、はりねずみがあいさつしても、へんじもしません。
それどころか、ひどく ばかにしたような
「おいおい。いったい どうしたわけで、こんなに
「さんぽですよ。」と、はりねずみはこたえました。
「へえ、さんぽとはねえ。いくら、おまえの
と、うさぎは、わらっていいました。
こう いわれると、はりねずみは、ひどく おこりました。
ほかのことなら、なにをいわれても がまんできます。けれども、
「なんだと。それじゃ きさまの
「あたりまえよ。」と、うさぎはこたえました。
「ようし。それじゃ、たしかめてみよう。かけっこをすりゃ、おれのかちに きまってら。」と、はりねずみはいいました。
「わらわせるない。その よこっちょにまがった
と、うさぎはいいました。でも、すぐ つづけて、いいました。
「だけどな、おまえが そんなにやりたいんなら、おれは やったっていいぞ。で、なにをかけるんだ。」
「
「うん よかろう。じゃ、すぐ はじめるか。」
「いやいや、そう あわてなくてもいい。おれは、まだ
と、はりねずみはいいました。
うさぎはしょうちしました。そこで、はりねずみは、うちへもどりました。
そして、かえる
(うさぎのやつめ。あのながい
はりねずみは、
「おい、はやく したくをしろ。おれといっしょに、はたけへいくんだ。」
と、いいました。
「いったい、どうしたのさ。」と、おかみさんはたずねました。
「うさぎのやつと、かけをしたんだ。
これをきくと、はりねずみのおかみさんは びっくりして、大きな
「あきれたねえ おまえさんは。
「だまってろい。おれさまのすることだ。男の
と、はりねずみはいいました。
はりねずみは、いったい、おかみさんを どうするつもりなんでしょうか。おかみさんは、いやでもおうでも、ついていくよりほか しかたがありませんでした。
ふたりは、ならんで あるいていきました。すると、はりねずみが おかみさんにいいました。
「おれのいうことを、ようく きいていてくれよ。ほら、あそこに、ながいはたけがみえるだろ。あそこで、かけっこをするんだ。うさぎのやつが、ひとつの うねのなかをかけて、おれさまは、もうひとつの うねのなかをかける。どっちも、上のほうからかけだすんだ。
ところで おまえは、こっちの 下のほうの うねのなかにたってくれ。それだけで、なんにもしなくていい。ただ、うさぎが むこうにやってきたら、やつにむかって、『おれは、もう きてるぞ。』と、どなってくれ。」
そのうちに、ふたりは、はたけにつきました。はりねずみは、おかみさんに、たっているばしょを おしえてから、はたけの上のほうへ のぼっていきました。
いってみると、うさぎは、もう ちゃんと きて、まっていました。
「どうだ、はじめるか。」と、うさぎがいいました。
「いいとも。」と、はりねずみもいいました。
「じゃ、いくぞ。」
こう いって、ふたりは、それぞれ、じぶんがはしる うねのなかへはいりました。
うさぎは、「一、二、三。」と、かぞえおわったとたん、あらしのように、はたけをかけおりていきました。
ところが、はりねずみのほうは、ほんの
うさぎは、おもいきり はしっていきました。もうすこしで、下のほうへつきそうです。
ところが そのとき、むこうから、はりねずみのおかみさんが、
「おれは、もう きているぞ。」と、どなったではありませんか。
うさぎは びっくりぎょうてん。ふしぎでふしぎで なりません。もちろん、
なぜって、はりねずみというのは、だれでもしっているとおり、おかみさんも、だんなさんと そっくりなんですからね。
(こいつは、どうもおかしいな。)と、うさぎはおもいました。そこで、
「もういっぺん かけっこしよう。それっ まわれ
と、さけぶといっしょに、またもや、あらしのようにかけだしました。うさぎの
うさぎは、はたけの上のほうへ、いっさんに はしっていきました。
こんどは、はりねずみのだんなさんのほうが、
「おれは、もう きているぞ。」と、どなりました。
うさぎは、かんかんに おこって、
「もういっぺん やろう。まわれ
「ああ、いいとも。おまえの
と、はりねずみはこたえました。
そこで、うさぎは、それから 七十三べんも、かけっこをしました。そのたびに、はりねずみがかちました。
うさぎが、上へいったり 下へいったりするたびに、はりねずみか、はりねずみのおかみさんの どちらかが、「おれは、もう きているぞ。」と、どなりました。
けれども、七十四へんめには、とうとう うさぎも、おしまいまで はしることができませんでした。はたけのまんなかで、ばったり たおれてしまったのです。そして、
はりねずみは、かけでかった
ブクステフードの
このはなしをきいて、ためになることがありますね。
まず だい一に、たとえ じぶんが、どんなに えらいとおもっても、うぬぼれて、ほかのものを ばかにしてはいけない、ということです。あいてが、はりねずみみたいなものでもですよ。
そのつぎには、およめさんをもらうなら、じぶんとおなじ