「鷹」
坂口安吾
石川淳さんのように正しく古典を解するとともに正しく近代に身を置く人は稀にしかない。彼の文学の浪曼性は虚妄の秩序をしりぞけること、いきおい悪の華を開花せしめる如くに展開するが、その思考の基は古代から現代に至るまで一貫して揺ぎのない正論の選択と発見の上に成り立っている。一朝一夕に思いついたところは微塵といえどもないのである。彼の文学は怱卒な現代に於て味読に価する最も意味の深遠な作品と言えよう。
底本:「坂口安吾全集16」ちくま文庫、筑摩書房
1991(平成3)年7月24日第1刷発行
底本の親本:「鷹」大日本雄辯會講談社
1953(昭和28)年7月20日発行
初出:「鷹」大日本雄辯會講談社
1953(昭和28)年7月20日発行
※初出時の表題は「坂口安吾氏評」です。石川淳著「鷹」に付された帯に発表されました。
入力:持田和踏
校正:ばっちゃん
2024年2月22日作成
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