今年
大根さんは毎日お父さんが方々の
ある日、二人は大根さんのお友達の玉ねぎさんのお
玉ねぎさんと大根さんはすつかり困つてしまつて、にかわを買つて来て一本一本つぎたしました。けれども、一本の所へ二本くつつけたりしたので、とても変てこになりました。
玉ねぎさんのお父さんはこれを見てすつかりおこつてしまつて、大根さんとお父さんを門の外へつき出して、
「もう、二度と お前たちには用事はないよ。」
と申しました。ほんとに困つたことになりました。
これを聞きつけた町の人たちは誰れも彼れも、大根さんのお父さんに髪を切つてもらふことを
「桑原、桑原。あんな頭にされるといやだからねえ。」
と申しました。
大根さんもお父さんも大変悲しみましたが仕方がありません。それから一と月位たつてから、
「何か別の商売を初めて見やうかしらん。」
と考へましたが、何といつても髪床やさんより外には、大根に向いた商売はないのでした。二人は困りました。ところが、この
「大根さん、私の頭を刈つて下さい。」と方々からたのんで来るやうになりました。お父さんの大根さんは大よろこびでもあり、不思議でもありましたが、どうしても、そのわけがわかりませんでした。けれども、子供の大根はすぐそのわけがわかりました。そしてお父さんに、
「お父さん、玉ねぎさんの髪の毛が、もとのやうに、伸びたからだよ。」と申しました。
そしてそれは、ほんとのことでした。