あるところに大変そそつかしい本屋さんがありました。
森の入口で、リスさんに会ひました。大変
兎さんは大よろこびで、リスさんの
遠い/\お
ところが、その時ちやうど六時が打つて、リスさんの村では、夕方の六時カツキリに電気がつくのです。電気がつきました。
リスさんは今買つたばかりの御本を、大きな/\英語や、ドイツ語や、ロシア語の字引を積みあげてあるお机の上でひろげました。
表紙には「尋常小学一年生読本」と書いてありました。
リスさんは「僕は医科大学の先生だのに」といつて、大変おこりました。そして兎さんをおつかけて行つてつつ返してやりました。兎さんは大変恥しくなつてかういひました。
「あなたはお子さんがありますか」
リスさんは答へました。
「小学一年の子供がひとりあります」
「それでは、これをそのお子さんに上げて下さい。お金はいりません」といつて逃げ出しました。
リスさんは兎さんが大変気の毒になつたので、あくる日、お金をとどけてやりました。
兎さんは、ベツドの中でうん/\うなつてゐました。なぜといつて、兎さんは、
リスさんはお医者さんでしたから、兎さんの指にヨードチンキを塗つてあげました。
兎さんはリスさんと、それから大変仲よくして、新しい本が来ると、いつでも十銭くらゐづつ安くしてあげましたさうです。