露西亜の船の沈んだ片身に残したと聞く石を抱いて
われは又ある日のざんげをするか
函館山は高く
要塞地として秘密を冠る
おごそかな
壮大なる岩礁の牢たる屹立は
東方に面して
何をひそかに語りつつあるか
黒鳥のあまた 岩に群がり
波に浮び 魚を捕う
かつてここら立待岬のアイヌ達は
魚群の
東海の波濤のすさまじく寄せ打つ処
崖上の草地にマントを着たる四五人の少女等
寝そべりてハーモニカを吹き、微かに歌をうたう
蟹とたわむれ 充たし得ぬ薄幸詩人の最后の願いは
この函館の地に死ぬことを願いしと碑銘に物語る
その碑は今この岬へ行く山腹の
我をしも死地の願いを言わば
この地に