新世紀への伴奏

今野大力




(1)


行け! 私達自然の教徒よ
高く高く燃え燃ゆる自然の精霊の上へ
人間の生命の魂を
(ママ)べくして燃えざりし炬火きょか
天日の情熱に投げこんで
紅蓮ぐれんの焔を眺めつつ
歌え、歌え、輝かせよ
 (大地よ、ゆるぐべきものよ古哲の教授よ
  何と皮相なよろこびなる
  草ものびる、私も育つ
  ああ、生長への伴奏よ
  葬送への奏楽ぞ)

(2)


行け! 私達一切への戦士よ
異国のはるかにへだてし虹霓こうげいの先端に
露ぬるる髑髏しゃれこうべの丘よ
我等が人類への檄文を草せよ
社会の高塔に輝く存在の栄誉の
影を見事にせしめて
歌え、歌え、歓喜せよ
 (墓場深く埋ずもれし祖先の屍は
  今朽ち果てて
  宇宙の心に帰ろうとする
  魂ありしものの苦悶は
  地上にありし時の
  かなしき懺悔の苦戦である)





底本:「今野大力作品集」新日本出版社
   1995(平成7)年6月30日初版
初出:「旭川新聞」
   1924(大正13)年8月4日
入力:坂本真一
校正:雪森
2015年2月17日作成
青空文庫作成ファイル:
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