採炭夫の歌

後藤謙太郎




底だ 底 底 どん底だ
この世の底だ どん底だ
もしも堤防が崩れたなら
瓦斯ガスが爆発したならば
水攻め 火攻め その上に
天井がバレたら生き埋めだ

底の底なるどん底に
この世の底のどん底に
俺は炭掘る採炭夫

飽食暖衣のブルジョアの
****が見憎けりゃ
腕にゃ覚えたツルがある
汚れた世界の果までも
赤い血潮で染めてやる。
(三池炭坑時代)
(『労働・放浪・監獄より』を底本)





底本:「日本プロレタリア文学集・38 プロレタリア詩集(一)」新日本出版社
   1987(昭和62)年5月25日初版
底本の親本:「労働・放浪・監獄より」後藤謙太郎遺稿集刊行会
   1926(大正15)年4月
※×印を付してある文字は、底本編集部による伏字の復元です。
※「****」は底本では、伏字あるいは復元不可能な削除をあらわしています。
入力:坂本真一
校正:雪森
2015年12月12日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。




●表記について


●図書カード