ぶんぶんすばらしくうなりながら
私の目の前にいつでもいつでもあらわれてくる調帯
うとうととまどろみかけた頭のなかに
すぐぶんぶんとひびきながら
私の身体のところどころをへし折りはねとばし
すばらしい勢いで回転している調帯の幻影
いつでもいつでも
夜でも昼でも私は調帯にせめられている
まっくらがりのなかで
ぶんぶんうなりながら回転している調帯!
手を折られ足を折られた私のめのまえへ
疲れきったあたまのなかから
ひょっくりひょっくりあらわれてくる
(発表誌不詳 一九二九年一月平凡社刊『新興文学全集』10を底本)