結党の焔

波立一




誰が 資格審査を反動政府に頼むだか?
結党は労働者農民の決心だ!

四月十日に胸の党員章をはずしたけれど
労働者と農民を解散出来るか!

「合法」とは奴らのものだ
被圧迫民衆の生計は「非合法」だ。

幾人が横腹に泥靴を喰い肉を裂き
血にむせびつつ虚空を掴むだか……

警察の調書と暗黒裁判の判決書を
結党の焔もて焼きすてろ!

地主の倉と立入禁止の立札を
結党の焔もて焼きすてろ!

出兵要求権を兵卒の銃剣でくすぐる日まで
罷業権は血に塗れて進まねばならぬ。

若しも 政府の涙雨が降ったならば
油に滲むだ仕事着を焔の中に……

未だに党員証を破らぬ俺達の胸に
デモをたたみこむで結党大会へ――
(発表誌不詳 一九二九年七月戦旗社刊『一九二九年版日本プロレタリア詩集』を底本)





底本:「日本プロレタリア文学集・38 プロレタリア詩集(一)」新日本出版社
   1987(昭和62)年5月25日初版
底本の親本:「一九二九年版日本プロレタリア詩集」戦旗社
   1929(昭和4)年7月
※×印を付してある文字は、底本編集部による伏字の復元です。
※本文末の編者による注記は省略しました。
入力:坂本真一
校正:雪森
2015年6月12日作成
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