洗濯デー

木村好子




ぷんとにおって来る力強い体臭!
おお この汚れ物のにおいこそ
獄内の闘いのはげしさを語る
あの人達の生々しいいぶき――

さあ みんな 元気で初めよう
あたしはポンプ押し
千代ちゃんはすすぎ役
みんなそろって
ごし ごし ざあざあ
うらみをこめて洗い流す
奴等のテロルに汚された垢を油汗を

空は秋晴れ
あつらえ向きの洗濯日和
なかでがんばる同志達に
せめて小ざっぱりした物を着せるため
わたし達の胸はあつく腕に力はこもる!
(『プロレタリア詩』一九三一年十一月号に発表)





底本:「日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二)」新日本出版社
   1987(昭和62)年6月30日初版
底本の親本:「プロレタリア詩」
   1931(昭和6)年11月号
初出:「プロレタリア詩」
   1931(昭和6)年11月号
入力:坂本真一
校正:雪森
2015年9月1日作成
青空文庫作成ファイル:
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