ねがひ

仲村渠




あなたの白い手
冷くならんだ五指の甲でこの頬が打たれたい

落葉に敲かれるシルクハツトは悲しげである
凛乎と美しい反りで悲しげである

一座の花形 美少女の平手に敲かれる道化役ピエロの頬より悲しげである
キヤフエの紳士 白皮の手套に敲かれる酔漢よつはらひの頬より悲しげである

ねがひは降りしきる落葉
素裸に立つ僕のからだは悲しげである





底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩※(ローマ数字1、1-13-21)」国書刊行会
   1991(平成3)年6月6日第1刷
入力:坂本真一
校正:良本典代
2016年9月9日作成
青空文庫作成ファイル:
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