仲村渠




氏は書を能くし
発句や謡をたしなみ 就中 たいてい柔道二段ぐらゐの腕まへあり
氏は毎朝 東天遙拝 のちラヂオ体操
たのまれて話の屑籠なども執筆なさるのだ
氏は 氏の一挙手一投足は逸話となつて細大洩らさず新聞などに珍重され
氏の巾広い声量バスは氏の身代のやうに潤沢
たとへば除幕式などに周知の風采をあらはして一言もつて祝辞などを述べ
給ふ





底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩※(ローマ数字1、1-13-21)」国書刊行会
   1991(平成3)年6月6日第1刷
入力:坂本真一
校正:良本典代
2017年4月3日作成
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