錢形平次捕物控

花見の仇討

野村胡堂





「親分」
 ガラツ八の八五郎は息せき切つて居りました。續く――大變――といふ言葉も、容易には唇に上りません。
「何だ、八」
 飛鳥あすか山の花見歸り、谷中へ拔けようとする道で、錢形平次は後から呼止められたのです。飛鳥山の花見の行樂に、埃と酒にすつかり醉つて、これから夕陽を浴びて家路を急がうといふ時、跡片付けで少し後れたガラツ八が、毛氈まうせんを肩に引つ擔いだまゝ、泳ぐやうに飛んで來たのでした。
「親分、――引つ返して下さい。山で敵討がありましたよ」
「何?」
「巡禮姿の若い男が、虚無僧に斬られて、山は※(「睹のつくり/火」、第3水準1-87-52)えくり返るやうな騷ぎで」
「よし、行つて見よう」
 平次は少しばかりの荷物を町内の人達に預けると、獲物を見付けた獵犬のやうに、飛鳥山へ取つて返します。
 柔かな夕風につれて、何處からともなく飛んで來る櫻の花片、北の空は紫にたそがれて、妙に感傷をそゝる夕です。
 二人が山へ引つ返した時は、全く文字通りの大混亂でした。異常な沈默の裡に、掛り合ひを恐れて逃げ散るもの、好奇心に引ずられて現場を覗くもの、右往左往する人波が、不氣味な動きを、際限もなく續けて居るのです。
「退いた/\」
 ガラツ八の聲につれて、人波はサツと割れました。その中には早くも驅け付けた見廻り同心が、配下の手先に指圖をして、斬られた巡禮の死骸を調べて居ります。
「お、平次ぢやないか。丁度宜い、手傳つてくれ」
樫谷かしや樣、――敵討ださうぢやございませんか」
 平次は同心樫谷三七郎の側に差寄つて、踏み荒した櫻の根方に、あけに染んで崩折れた巡禮姿を見やりました。
「それが不思議なんだ、――敵討と言つたところで、花見茶番の敵討だ。竹光を拔き合せたところへ、筋書通り留め女が入つて、用意の酒肴さけさかなを開かうと言ふ手順だつたといふが、敵の虚無僧になつた男が、巡禮の方を眞刀で斬り殺してしまつたのだよ」
「へエ――」
 平次は同心の説明を聽き乍らも、巡禮の死體を丁寧に調べて見ました。笠ははね飛ばされて、月代さかやきの青い地頭が出て居りますが、白粉を塗つて、引眉毛、眼張りまで入れ、手甲、脚絆から、笈摺おひずるまで、芝居の巡禮をそのまゝ、此上もない念入りの扮裝こしらへです。
 右手に持つたのは、銀紙貼りの竹光、それははすつかひに切られて、肩先に薄傷うすでを負はされた上、左の胸のあたりを、したゝかに刺され、蘇芳すはうを浴びたやうになつて、こと切れて居るのでした。
「身元は? 旦那」
 平次は樫谷三七郎を見上げました。
「直ぐ解つたよ、馬道の絲屋、出雲屋の若主人宗次郎だ」
「へエ――」
「茶番の仲間が、宗次郎が斬られると直ぐ驅け付けた。これがさうだ」
 樫谷三七郎が顎で指すと、少し離れて、虚無僧が一人、留め女が一人、薄寒さうに立つて居るのでした。
 そのうちの虚無僧は、巡禮姿の宗次郎を斬つた疑ひを被つたのでせう。特に一人の手先が引き添つて、スワと言はゞ、繩も打ち兼ねまじき氣色を見せて居ります。
 次第に銀鼠色に暮れ行く空、散りかけた櫻は妙に白茶けて、興も春色もめると見たのも暫し、間もなく山中に灯が入つて、大きな月がもやの中に芝居の拵へ物のやうに昇りました。
 陰慘な、そのくせ妙に陽氣な、言ひやうもない不思議な花の山です。
「旦那、少し訊いて見たいと思ひますが――」
 平次は樫谷三七郎を顧みました。
「何なりと訊くが宜い」
「では」
 平次は茶番の仲間を一とわたり眺めやります。


「お前は?」
 一番俺に眼を着けたのは、天蓋てんがいだけ拂つて青白く佇んだ背の高い虚無僧でした。
「へエ、同じ町内の兼吉と申します、油屋渡世で」
「知つてるだけを話して見るが良い」
 平次の調子は冷たくて峻烈です。
「お花見も毎年のことだから、今年は趣向を變へて、敵討の茶番を出さうと言ひ出したのは、出雲屋さんでした」
「――」
「出雲屋さんは二枚目型だから、敵を討つ方の巡禮、私はこんな柄ですから、討たれる方の虚無僧で」
「――」
 平次は默つて先を促します。を塗つて、くまを入れた顏、尺八を持つて一刀を手挾たばさんだ面魂は、五尺五六寸もあらうと思ふ恰幅の、共に如何樣敵役に打つて付けの油屋兼吉です。
「此處で落合ふのは申刻半なゝつはん(五時)出雲屋さんが敵名乘を揚げて、二人が竹光を斬結んだところへ、良助さんが留め女に入つて、三味線を彈くと、巡禮の出雲屋さんと、六部になつた倉松さんの笈摺から、酒肴が出るといふ寸法で」
「その竹光を見せて貰はうか」
「へエ――」
 虚無僧の兼吉が、さやごと出した一刀、平次は引つこ拔いて見ると、是は紛れもない銀紙貼の竹光、人など斬れる代物ではありません。
「それから何うした」
「出雲屋さんは一足先へ出ましたが、あとの三人はおたなの人達と一緒に、バラバラに出掛けるうち、――私は家から使の者が來て、途中から瓦町かはらまちまで引返し、四半刻ばかり手間取つて來ると、この始末でございました、へエ――」
「家の方に何んな用事があつたんだ」
「それが不思議で、――瓦町の家へ引返すと、女房は使などをやつた覺えは無いと言ひます」
「フ――ム」
「私を手間取らせて置いて、私に化けた奴が山へ驅け付け、出雲屋さんを斬つたのでございませう」
「誰かそれを見た者は無かつたでせうか」
 平次は樫谷三七郎を顧みました。
「五人や十人は見て居た筈だ。が、花時の飛鳥山にはそんな茶番は毎日二つ三つある。血糊ちのりの使ひ方と、巡禮の落入り方がうまいなとは思つた相だが、これが本當の人殺しとは誰も氣が付かなかつたらしい。――そのうちに虚無僧は逃げてしまつたし、掛り合ひが怖いと思つたか、一人も進んでその時の樣子を話してくれる者は無い。――これは皆んな、茶店の老爺おやぢの口から出たことだ」
 樫谷三七郎は舌鼓でも打ち度い樣子でした。極度に掛り合ひを怖れたその當時の群衆は、よしや、眼の前で人殺があつたところで、默つて見て、默つて引揚げてしまつたことでせう。
とつさん、お前さんは最初から見てゐたんだね」
「へエ――、最初と申しましても、敵名乘が始まつてからでございます」
 茶店の老爺は逃げ隱れもならず、仕樣事なしの證人になりました。
「どんな事を言つたか知つてるだらう」
「何でも、芝居のせりふのやうな事を申しましたよ。――親の敵權太左衞門、此處で逢つたは百年目――とか何とか」
「それは斬られた方の巡禮の方だな」
「へエ――、すると、虚無僧は默つて引つこ拔いて斬り付けました」
「默つて?」
「何にも言はなかつたやうでございます。巡禮は少し見當が違つた樣子で竹光で受けましたが、虚無僧のは眞刀しんたうだつたと見えて、竹光は一ぺんに切れて、巡禮の肩先へ斬り付けました」
「フム」
「巡禮は驚いた樣子で、――手前は何だ、――人違ひなら、人違ひと言つてくれ――と逃げ腰になりましたが、虚無僧は追つかけて力任せに突いたと見ると、巡禮はあの通り胸をやられて、材木のやうにたふれました」
「――」
「お茶番の積りで見物に寄つて來た人達も、此時少し變だわいと思つた樣子でしたが、氣の付いた時はもう、虚無僧は逃げてしまつて、間もなく、六部のかたが來てびつくりした樣子で介抱して居るところへ、女形をやまの方や、いろ/\の方が驅け付け、それからお役人樣方が見えました。へエ」
 茶店の老爺の話は思ひの外井然せいぜんとして居ります。
「その虚無僧は、この人とは違ふのか」
 平次は油屋の兼吉を指したのです。
「へエ――」
 老爺は返事に迷つた樣子でした。
「背の高さは?」
「かなり高い方でございました」
「天蓋や、着附や、尺八は?」
「大概決りが御座いますから、よく似て居ります」
 老爺の穩かな調子のうちにも、兼吉は逃げ路を塞がれた心持でせう。隈取つた顏が眞つ蒼に變るのを平次は見落しませんでした。
 其處へ、ノツソリと現はれたのは、四十年配の浪人者です。
「宗次郎殿が殺された相ぢやないか、一體何うした事だ」
「あゝしとみの旦那、大、大變なことになりました」
 虚無僧姿の兼吉は泣き出しさうです。
「貴殿は?」
 同心樫谷三七郎は、横合からズイと出ました。二人にあまり物を言はせ度くなかつたのでせう。
「蔀半四郎と申す。出雲屋の食客ぢや――」
 半四郎は場所柄を考へたか、斯う言ひかけて、苦笑ひの唇をつぐみました。
「出雲屋の主人が斬られたと、何處で聽かれた」
 樫谷三七郎は追究します。
「遲れて夜櫻見物に參ると、山中の大評判ぢや。巡禮姿の男が、虚無僧に斬られたと聞いたが――これ、油屋、其方が宗次郎を斬つたのか」
 屹と兼吉を見据ゑます。磊落らいらくさうな調子ですが、なか/\油斷の無い面構へです。
「飛んでも無い、旦那」
 兼吉はもう一度顫へ上りました。
「肩はかすり傷だ、刀を胸へ突つ立てるなどは、町人の仕業だな」
 蔀半四郎は死骸を無遠慮に調べ乍ら、斯んな事を言ひます。


 續いて六部になつた倉松を調べました。が、これは背恰好が兼吉と似てゐるといふだけで何の得るところもありません。順當に馬道を出て、多勢と一緒に順當に飛鳥山へ來たことは、時刻から見ても先づ疑ひは無いやうです。
「お、こいつは眞刀が仕込んである」
 手先の一人は、倉松の持つて居た錫杖しやくぢやうが、眞刀を仕込んだ物騷なものだつたことを發見しました。
「有り合せの品でございます、へエ」
 倉松はギヨツとした樣子でしたが、思ひ直して苦笑ひをして居ります。錫杖に仕込んだ眞刀は、物々しい品には相違ありませんが、肝心の血が附いて居なかつたのです。
「お前は?」
 平次は錫杖などに構はず、その次に小さくなつて居る女形をやまに問ひかけました。
「へエ――、良助と申します」
 ヒヨイとお辭儀をしました。花見鬘はなみかつらを取つた野郎頭、厚化粧に振袖をだらしなく着て、三味線を抱いた姿は奇怪です。
「稼業は?」
「へエ――、つまらない商賣で、へエ」
 良助は首筋を掻きました。小作りのキリヽとした身體や、整つた眼鼻立は、成程女形に向きさうですが、稼業のことはあまり言ひ度くない樣子です。
「遊び人ですよ、親分」
 ガラツ八は囁きました。成程さう言へば、堅氣の人間らしくはありません。
「手前は默つて居ろ、――本人に言はせ度いんだ」
「へエ――」
 平次に極め付けられて、ガラツ八は一とすくみに縮んでしまひました。
「大層山へ來るのが遲れた相ぢやないか、家から使の者でも來たのか」
 と平次。
「それが不思議なんで、親分、油屋さんと同じやうな具合に、田圃から三河島へ拔けようとすると、後から追つかけて來た見知らぬ小僧が、家に用事があるから、ちよいと戻つてくれと、斯う言ふぢやありませんか。――おやと思ふと、もう小僧の姿も見えません。兎も角馬道の長屋まで戻ると、家はあつしが出た時のまゝで、何の變りもありません。まるで狐につまゝれたやうな心持で、引返しで山へ來ると、この騷ぎです」
 良助の話には仕方ジエスチユアが入ります。
「馬道の家には誰が居るんだい」
「獨り者で、生憎誰も居りません」
「お前が歸つたのを見た者は無いわけだな」
「へエ――」
 良助は落膽した樣子です。
「その扮裝なりで歩くと町内の者が氣が付く筈だが――」
「このお振袖ぢや、馬道は歩けません。扮裝こしらへは風呂敷包にして、王子の佐野屋で着換へました」
「フーム」
「佐野屋でお訊き下されば解りますよ、親分」
「まア、宜い。皆な佐野屋で着換へたのか」
「いえ、王子で着換へたのは女形のあつしだけで、あとは六部や虚無僧や巡禮だから氣が強いわけで、あの扮裝なりで淺草から繰出しましたよ、へエ」
 良助の話はよく筋が通ります。
 あとは出雲屋の手代佐吉、町内の者二三人、これはいづれも不斷着のまゝで、何んの變哲もなく、馬道を出たのも一緒ですから、疑ふ餘地は少しもありません。
 丁度その時、山の八方へ手分けをして、噂と證據を掻き集めました、五六人の手先が引揚げて來ました。
「樫谷樣、――虚無僧が逃げた樣子はございません」
「何?」
 報告は皆なこの調子です。
「敵討騷ぎの後前から、山を降りた虚無僧は一人もありません。山番や見廻りの者が言ふことですから、これは間違ひの無い積りで――」
「待て/\。すると、出雲屋宗次郎を殺した下手人は、まだ、この山の中に居るといふのだな」
 樫谷三七郎も豫想外の樣子です。
「花見客は驚いて大概歸りました。山の四方はすつかり見張つてありますから、怪しい者は、出やうも入りやうもありません」
「フーム」
 唸つた樫谷三七郎の眼は、自然油屋兼吉の虚無僧姿に戻ります。兼吉が、もう一度顫へ上つたのは言ふ迄もありません。
「平次、何うだ」
 三七郎は平次を顧みました。
あつしにも解りません、旦那」
「それぢや兎も角兼吉を番所まで伴れて行くとしよう。その他の者も掛り合ひだ、遠出はならぬぞ」
「へエ――」
 泣き出しさうな兼吉を追ひ立てゝ、樫谷三七郎は引揚げました。
 殘つたのは、平次とガラツ八と、山を見廻つて居た土地の役人だけ。
「親分、もう一度山中搜して見ませうか」
 ガラツ八は、沈み返つた親分の顏を覗くのです。
「虚無僧の隱れるやうな穴なんか無い筈だよ」
「へエ――」
「それより手前てめえは、馬道へ行つて、出雲屋の店中の者の出入りと、良助、倉松、兼吉三人の身元を洗つてくれ、――おつと、浪人のしとみ半四郎、あれも忘れちやならねえ」
「へエ――」
「宗次郎に怨のある奴は無いか、宗次郎が死んで儲かる奴は無いか――今日晝過ぎ何處へ行つたか、行方の判らなかつた奴は無いか、それを訊出すんだ」
「心得た」
 ガラツ八は氣輕に飛んで行きます。


「親分」
 後から靜かに聲を掛ける者があります。靜かながら、妙に艶めかしい聲、――平次はぼんのくぼを羽根で撫でられるやうな心持で振り返りました。
 櫻に松の交つた道灌山道だうくわんやまみち、月はかなり高く昇つて、夢見るやうなおぼろの中には、誰も居ません。
「誰だ」
 平次は思はず足を停めます。
「親分、私を忘れちや、懷中ふところの十手の手前義理が惡いでせう。ホ、ホ」
 取つて付けたやうな笑ひですが、それが例の羽根で撫でるやうなこびを、夜の空氣に漂よはせるのでした。
「お瀧か」
 平次は素氣ない調子で言ひました。王子のお瀧といふ、名題の女巾着切、二十四五の豊滿な肉體と、爛熟し切つた媚態とで、重なる惡事をカムフラージユして行く、その道では知らぬ者の無い大姐御です。
「お瀧か――はないでせう。錢形の親分さんともあらう者が、思案投首で、私の居るのも知らずに通り過ぎたりして」
「用事が無きや放つて置いてくれ、俺は忙しい」
 平次はクルリと背を向けて、其儘行手を急がうとすると、
「まア、待つて下さいな、親分」
 ヒラリと身をひるがへしたお瀧、平次の袖の下を潜るやうに先へ立塞がつて大手を擴げます。粹な潰し島田、縮緬ちりめんの花見衣裳、少し斜に構へて兩手を開いたポーズは、錢形平次の眼にも型になつて居りました。
「用事があるなら言へツ」
 以ての外の平次。
「出雲屋の若主人殺しの下手人は、見當だけでも付きましたか、親分」
「何?」
「それを教へて上げようと思つて、此處で待つて居たのですよ、親分」
「誰だ?」
「ホ、ホ、まるでお白洲しらすぢやありませんか、そんな怖い顏なんかしてさ。――ちつと恩に着なきや駄目」
「――」
「ね、親分さん、私は十年も前から、親分に岡惚れてるぢやありませんか、憎らしいねえ、本當に」
「十年前――お前が、小さい妹と二人で、兩國で赤い股引もゝひきを穿いて、玉乘りをして居た頃か」
「あら、よく知つてるのねえ、嫌になるぢやありませんか」
 お瀧は袂をひるがへして、平次を打つやうな素振りを見せました。
 さう言つたお瀧だつたのです。
「だから餘計な事を端折つて、肝心の事だけ言ふが宜い」
「叶はないよ、親分には。――ね、親分さん、樫谷の旦那は、油屋の兼吉さんを縛る積りのやうだけれど、あの人は、刄物を隱す隙も無かつたし、返り血も浴びてないぢやありませんか」
「それが何うした」
「私は出雲屋さんを斬つたのは、眞物の敵持の虚無僧ぢやないかと思ふが、どうでせう」
「フーム」
 お瀧は不思議なことを言ひ出しました。
「油屋兼吉さんが手違ひで遲れたと知らずに、巡禮になつて出雲屋さんが、眞物の虚無僧――それも敵持でビクビクしてゐるのか何かへ、いきなり敵名乘を揚げて、竹光でも何でも、ピカピカするので斬り付けたとしたら、何うなるでせう?」
「――」
「眞物の虚無僧はお茶番とは知らないから、すつかり眞に受けて、本當に返り討にする氣で殺さないとは限らないでせう――」
 お瀧の言ふことは、如何にも理に詰みます。
「あり相な筋だな」
 平次は靜かに應へました。
「眞物の虚無僧で敵持だつたら、今頃は大宮あたりまで逃げ延びてゐますよ。飛鳥山で腕組をし乍らお月樣を見たつて、親分さん」
 お瀧の舌は次第に辛辣しんらつになります。
「だがな、お瀧、――敵討騷ぎがあつてから、一人も山から逃げだした虚無僧は無いんだぜ」
「天蓋を取つて、袈裟けさを外して、笛を隱したら、虚無僧はどんな恰好になるでせう」
「――」
「そんな浪人者は、飛鳥山に二三十人居ましたよ、親分」
 平次は併し頭を振りました。虚無僧が人を返り討にしたところで、姿を變へて逃出す必要があらうとは思はれません。
「騷ぎの直ぐ後から、樂に逃げられた筈だ。姿まで變へる筈は無い。――姿を變へて逃げたものなら、矢張り出雲屋に掛り合ひの者か、茶番の仲間だ」
 平次の言ふのは道理です。變裝する以上は、顏を知られ度くない者の仕業に相違ありません。
「親分」
「もう宜い。――お前は誰かを助け度いんだらう、餘計な事をすると藪蛇になるぜ」
「――」
 女は默つて頭を垂れました。


 平次は足音高く谷中の方へ行くと見せて、そつと引返しました。おぼろの中を歸つて行くお瀧の姿が、何としても唯事では無かつたのです。
 道は松の闇を過ぎて櫻の朧に入りました。たゆたひ勝ちなお瀧の足取りから、平次は何やら讀み取るやうな心持で、再び飛鳥山の方へ向ひましたが、お瀧は山に登る樣子もなく、無關心に山裾を廻つて、王子の町へ出ると、その儘、後も振り向かずに、花見茶屋の佐野屋の暖簾のれんを潜ります。
 暫らく間を置いて、佐野屋へ入つた平次。
「今此處へお瀧が入つたやうだが――」
 うさんな眼を店中に配りました。
「これは、錢形の親分さんで。へエ/\、ツイ今しがた、お瀧姐さんが來ましたよ。何でも、色氣違ひに後をつけられて、うるさくつて仕樣がないから、裏口からそつと逃がしてくれ――といふ頼みで――」
 番頭は揉手をし乍ら、およそ尤らしい調子でこんな事を言ふのでした。
「ハツハツハツ、ハツ、ハツ、――この平次が色氣違ひに見えるかえ、番頭さん」
「飛んでもない親分さん」
「まア、宜い、若い女の後をけて來たに違ひないから、何と言はれても一言も無いよ、ところで、番頭さん」
「へエ/\」
「今日、山の上であの騷のある少し前に、馬道の良助が、此處で着物を變へた相だ。それは、何どきだつたらう」
 平次は調子を戻して、大事な事を訊ねました。
酉刻むつ(六時)少し前でございましたよ。なア、お作」
「良助親分が女の着物を着て山へ行くと、間もなく酉刻むつが鳴りましたよ」
 下女のお作といふのが階子段へ片足かけたなりで應へます。
「敵討騷ぎのある前か後か」
「いえ、騷ぎが此處へ聞えたのは、それから少し經つてからですが、馬道の良助親分が、女形をやまになつて山へ行つたのは、多分敵討騷ぎの最中だつたでせう」
「山へ行く時、此處へどんな物を預けて行つたえ」
「馬道の親分が、着て居たものだけでございました」
「フーム」
 良助に對する疑ひも次第に薄れて行きます。いや、佐野屋の番頭に訊く迄もなく、山の茶店の老爺の言ふのが本當なら、宗次郎を殺した虚無僧は大男で、良助のやうな小男は、最初から疑ひの圈外に置かるべき筈です。
 お瀧にもてあそばれたやうな氣持で、平次はムシヤクシヤし乍ら神田へ歸つて來ました。
「親分、いろ/\の事が判りましたぜ」
 それを待ち構へて居たのはガラツ八の八五郎です。
「何が判つたんだ、順序を立てゝ言つて見るが宜い」
 と平次。
「順序も何もありやしません。お茶番へ出た連中で、宗次郎に怨の無いのは一人も無い位のもので」
「フーム」
「虚無僧になつた油屋の兼吉は、出雲屋から金を借りて、眼玉の飛出すやうな高い利息を七年越し拂はされてますぜ」
「それから」
「六部になつた倉松は、町内の顏役で、日頃宗次郎とは、角突き合ひばかりして居ますよ。宗次郎が死んで一番伸々するのは倉松で」
「フーム」
「遊び人の良助は女の怨だ。――出雲屋の新造といふのは元吉原なかの藝者で、良助と深い仲だつたといふから、これも命の二つや三つは取り度かつたでせう。それから――」
「まだあるのか」
「番頭の喜八、これは馬道の店で留守をしてゐた相ですが、近所で訊いて見ると、遣ひ込みだらけですよ――それから女房のお夏は藝妓上りのくせに恐ろしい嫉妬やきもちで、亭主の首を締め兼ねない女だといふ評判ですぜ」
「首を締めたんぢや無い、虚無僧になつて飛鳥山で返り討にしたんだ。留守番の番頭と女房のお夏は下手人げしゆにんぢや無い」
「すると、下手人は誰でせう、親分」
「良助は山へ行つた時刻が騷ぎの後だし、虚無僧の扮裝こしらへを隱しやうは無い、その上身體が小さい。倉松は皆なと一緒に馬道から來て居る。兼吉は一番怪しいが、敵名乘を揚げられて一言も言はなかつたり、宗次郎を殺して何處かへ行つて、又元の姿で來るとは思はれない。それに、こんな時は、一番怪しい奴は大抵罪の無いものだ」
「――」
「もう一つ、兼吉だつたら、血刀の始末をどうしたか、それも判らない。素人があれだけの事をしたんだから、返り血位浴びた筈だが、兼吉の身體にはそんな跡は一つも無い」
「すると、怪しいのは、一人も無いぢやありませんか、親分」
「怪しくないのを取のけた、殘りの怪しい奴だ――」
しとみ半四郎」
「その通りだ、今のところ蔀半四郎が一番怪しい。が、浪人でも二本差しだ、うつかり縛るわけにも行くまい」


「親分、番頭の喜八は、頭痛がすると言つて、昨日は晝から寢込んで居た相ですよ」
 馬道の出雲屋へ行つたガラツ八、二度目には變なことを聽込んで來ました。
「遣ひ込みのあるといふ番頭だな」
「へエ、その野郎で」
「行つて見ようか、八」
 二人は直ぐ飛んで行きました。昨夜樫谷三七郎に引かれて行つた、油屋の兼吉は、申譯相立ち難く其儘留め置かれ、八丁堀の空氣は、もうこの事件を解決と見て居る樣子なのが、ひどく平次を焦立たせたのでした。
「やア、岡つ引」
「へエ」
 店へ入ると、食客浪人蔀半四郎、朝つぱらから酒臭くなつて四方あたりを睨め廻して居ります。
「貴樣は、この蔀半四郎を怪しいと睨んだ相だな」
「飛んでもない、旦那」
「今更胡麻ごまを摺つても追つ付かぬぞ、――其方の家來、そのあごのしやくれた野郎が、昨日拙者が何をして居たか、くどく訊き居つたぞ。不都合千萬、――斯う見えても武士だ、舊主の御名は憚るが、嘗ては西國筋の大名に仕へ、百五十石をんだ蔀半四郎だ。三月越し養つて貰つた、宗次郎殿を殺してよいものか惡いものか、考へて見ろ」
「恐れ入りました、――決して蔀樣しとみさまを疑ふといふわけぢやございません。出雲屋に出入りの者、昨日の茶番に掛り合ひの者は、一應取調べるのが、あつしの仕事で、へエ」
「何だ? 岡つ引が武士を調べる? 飛んでも無い野郎だ、――それへ直れ、手討にしてくれる、ウーム」
 手の付けやうがありません。平次は這々はふ/\の體で逃出して、手代の佐吉を小蔭に呼びました。
「番頭さん、變な事を訊くが、あの浪人者は、亡くなつた御主人とは、どんな引つ掛りなんだい」
「何でもありません、用心棒に雇つただけで――」
「用心棒? ――町人が用心棒に、浪人を雇つて居たと言ふのか」
「へエ、――まア、用心棒といふ程でも無いでせうが」
「何の爲の用心棒だ」
「お金を用立てた方に怨まれて居りましたし、それに、へツ」
 佐吉は妙な笑ひやうをするのです。
「女ですよ、親分。死んだ此處の主人と來たら、男も良かつたが、名題のはうきで、捨てられて首をくゝつた女も、騙されて身投した女もあるといふ話ですよ」
「成程な」
 平次は考込みました。斯う多勢の男女に怨まれて居るやうでは、誰を目當てに縛りやうはありません。
 兎にも角にも、昨日半日寢込んだといふ、番頭の喜八の部屋を見せて貰ひましたが、これは一方口で、脱け出すやうな筈も無く、拔け出したところで、此處から飛鳥山まで飛んで待つて、虚無僧に化けて主人を殺すにしては、喜八は少し年を取過ぎて居ります。
 飛鳥山の上で、敵討騷ぎのあつた時刻まで、蔀半四郎は何處に居たか、これが、今のところ一番望みのある手掛りですが、憤々ぷん/\として當り散らしてゐる蔀半四郎に訊ねるわけにも行かず、平次は其儘出雲屋を引揚げる外に工夫も無かつたのです。


「あの浪人者でせうか、親分」
 ガラツ八はたまり兼ねて追ひすがりました。馬道から、何を考へたか平次の足は、又飛鳥山の方へ向つて居るのです。
「いや、あの浪人者ではあるまい。宗次郎の傷は、武家――人の用心棒にでもならうと言ふ、腕に覺えのある武士の仕業にしては、あんまり素人臭い。武藝は命がけの業だ、腕はなか/\隱せるものでない、それに」
「それに?」
「虚無僧の扮裝こしらへを隱しやうは無い、山には何百何千といふ人が居た筈だ」
「何處か――着換へる場所は無かつたでせうか、親分」
「待つてくれ、八、今お前は何とか言つたな?」
 平次は立止りました。
「何處かで、そつと着換へる場所は無かつたでせうか――と」
「それだ」
 平次は豁然くわつぜんとしました。一切の不可能を取拂つた後に殘るものは、それが一應不可能に見えても、可能でなければなりません。
「八、解つた。お前はもう一度花見をする氣は無いか」
「宜うがすとも、親分」
「それぢや飛鳥山へ行つて、日の暮れるまで頑張つてくれ。あの昨日の騷ぎのあつた櫻の木の下だぞ、――どんな事があつても動くな、宜いか」
「親分は?」
「俺は少し訊き込み度いことがある。上野の暮れ六つが鳴つたら、王子の佐野屋の方へ降りて來い」
「へエ――」
「茶店から眼を放すな、――手前の姿なんか隱すことがあるものか。のどが渇いたら、時々あの老爺の茶店へ入つて茶を貰ふが宜い」
「それつ切りですか、親分」
「さう/\、手前相變らず財布が空だらう。飮まず食はずぢや見張りもなるめえ、手を出しな」
「へエ――」
 ガラツ八の大きな手の中へ、小粒を二つばかり落すと、平次はそのまゝきびすを返して吉原の方へ行つてしまひました。
 それから夕方まで、ざつと半日。
 ガラツ八は根氣よく櫻の根つこで、老爺の茶店を見張りました。昨日の騷ぎを聞傳へた人達は、物好き半分、櫻の根と老爺の茶店に殺到して、此邊の混雜といふものはありません。
 ガラツ八は時々茶店へ行つて、無駄話をしたり、茶を呑んだり、團子をつまんだり、用事のあるやうな無いやうな、取止めの無い顏で日暮れを待ちました。
 やがて、雀色時すゞめいろどき、櫻の梢を渡つて、上野の暮れ六つの鐘が鳴ります。
とつさん、左樣なら、明日又來るぜ」
 ガラツ八は愛想の好い老爺に挨拶して、輕い心持で山を降ります。
「八」
「へエ――」
 何處からともなく現はれたのは平次でした。
「此處で、暫らく樣子を見るんだ」
「へエ――」
 二人は物蔭に入つて小半時も經つたでせう。
「見ろ、八」
 平次の指す方を見ると、次第にまだらになつた人を縫つて、茶店の親父は山を降りて來ます。もう店を仕舞つたのでせう、肩に擔いだのはクルクルと卷いた毛氈まうせんが二三枚、片手に大きな箱を提げて、何のこだはりもなく百姓地の方へ入つて行くのです。
「親分」
「シツ、今に面白いものが見られる、靜かに後を跟けるんだ」
 二人はそれつ切り默つて、老爺の後に從ひました。幸ひの夕闇、一丁とも離れずに、樂々と後が追へます。
 三河島のとある家、――貧しく哀れな藁屋わらやの入口へ老爺は足を停めました。
 鍵も何にも掛つてゐなかつたものか、ガタガタと戸を開けて入ると、火打鎌を鳴して行燈に灯を入れ、骨を引拔かれたやうに、その行燈の傍に崩折れる老爺です。今まで年より達者に見えたのは、氣が張つてゐたせゐでせう。
「御免よ」
「――」
 老爺がギヨツとした樣子で顏を擧げました。片手は卷いた毛氈をひしと掴んで居ります。
「俺だよ、ぢいさん、驚かなくても宜い」
「親分」
「その毛氈の中を見せて貰ひに來たよ」
「――」
「虚無僧が山を降つた樣子が無いといふと、お前の店へ飛込んで着換をした筈だ。こんな判り切つた事が、どうして今日迄俺に判らなかつたらう」
「――」
「お前があんまり正直さうな顏をして居たからだ」


 平次は靜かに老爺の傍へ腰をおろしました。
「曲者――宗次郎を殺した虚無僧は背の高い男だつた――と言つたのはお前だ。掛り合ひが恐ろしさに、誰も口を出す者は無かつたから、お前が自分の都合の良いやうに言へた。――俺は多勢の口から曲者は小男だつたといふ話を聞くのに今日半日かゝつたよ」
「――」
 老爺の眼は魚のやうに大きく見張られたまゝ、その手はワナワナと顫へて居ります。
「怨のある宗次郎を殺すには、何處でも宜いわけだが、多勢の見て居るところで、此方の顏を誰にも見せずに殺したかつたらう、――曲者の芝居氣だ」
「――」
「幸ひ、飛鳥山のあの茶店の前で仇討の茶番をする話を聽いた。――お前は、前の日あの茶店を五兩といふ大金を出して株を讓り受けた筈だ――それを聽き込むまでも無く、俺には何も彼も解つてしまつたよ。虚無僧の天蓋てんがいはどんな頭でも顏でも隱せるし、宗次郎を殺して茶店の裏から逃込んで、着物を換へるのは、ほんの煙草二三服のひまで出來るからなア」
「――」
 老人はガツクリ首を垂れました。平次の論告を承服した姿です。
「天蓋と尺八と血刀と紋附は、持出しやうが無くて一と晩あの茶店に隱して置いた筈だ。今日八五郎に見張らせたのは、晝のうちに持出させない爲だつたよ」
 平次の用意には寸毫すんがうの手ぬかりも無かつたのです。
「親分さん、恐れ入りました。如何にも、宗次郎の野郎は、この老爺が手に掛けて殺したに違ひございません。あれは、私の娘を殺しました。吉原なかで鳴らした藝者の小稻、去年の秋宗次郎に捨てられ、氣が狂つて自分の子を殺して、自分も身を投げて死んだことは御聞きでせう」
 老爺は板敷の上に双手もろてを突きました。
「それを詮索するのに半日かゝつたよ、とつさん」
「お繩を頂戴いたします、親分さん」
「いや違ふ、宗次郎を殺したのはお前ぢやない」
「親分さん、この私でございます。私一人でやつた事でございます」
「いや違ふ、――宗次郎を殺した下手人は今晩にも此處へ樣子を見に來る筈だ」
「親分さん」
 老爺はツト身を退くと、毛氈の中から一刀を引拔きました。
「あツ」
 驚く間もなく、まだ斑々たる血潮のこびり付いたのを、自分の喉笛のどぶえへ――。
「待つた」
 平次の手は辛くもそれを拂ひ退けて、必死ともがく老爺の手から血刀を取上げます。
「なア、とつさん、――俺に下手人の解つたのは斯う言ふ段取だ。油屋の兼吉が下手人の疑ひを受け、言ひ解きやうが無くなつた時、――本當の下手人は俺を追つかけて、兼吉は下手人でない、宗次郎は眞物の虚無僧の敵持に、茶番と知らずに斬られた――と言つたよ」
「――」
「誰かをかばつて居るのかと思つたら、下手人は、無實の罪に落ちさうな兼吉を助けたかつたんだ――俺はその心持をくんでやらうよ」
「――」
「下手人によく言ふが宜い。宗次郎は惡い野郎だ、血も涙も無い奴だ。幾人もの男があの宗次郎に高利の金を借りて死んだし、幾人もの女は宗次郎の男前に引かされて一緒になり半年か一年で捨てられたり騙されたりして死んだ。――お前の娘、下手人の妹の小稻もお夏に見代へられて子供まで殺して死んだ筈だ。宗次郎は鬼とも蛇とも言ひ樣の無い惡黨だ」
「――」
「だが、どんな惡人でも、人を殺して濟むものぢやない。――今更首を縊つたところで、腹を切つたところで追付くわけは無いから、一番心を入れ換へて自首して出るか、坊主になるか、何方かにするが宜い――あのいきな渡し島田を剃り落すのは可哀相だが、首が無くなるよりはそれでもましだらう。妹の敵を討つた氣で濟して居ては天道樣の罰が當るぞ」
「親分さん」
「泣かなくたつて宜い、――女巾着切とか、何とか、御法の裏をくゞる稼業をするなら、この平次が承知しない、――解つたかい、爺さん」
「――」
「お前からよく下手人にさう言つて、明日にも決心のほどを俺に見せてくれるが宜い」
「親分さん、有難う御座います」
 老爺はヘタヘタと土間に崩折れて、子供のやうに聲を立てゝ泣き出しました。入口から射し入る青白い月、何やら鳥のやうなものが、その先をサツとさへぎります。
「さア、歸らうか、八」
 平次は立上りました。
「宜いんですかい、親分」
「宜いとも、此上の事は神樣がして下さるよ」
 二人は肩を組むやうに、狹い戸口を出て、月の光を踏み乍ら、江戸の方へ辿りました。次第に夜のおぼろの中に消え込む二人の後ろ姿を、老爺の藁屋の前に見送る二つの影がありました。
 一つは泣き濡れた老爺、一つは、匂ふばかりの若い女。
 平次は斯うして、又一つの手柄をフイにしてしまつたのです。





底本:「錢形平次捕物全集第六卷 兵庫の眼玉」同光社磯部書房
   1953(昭和28)年6月10日発行
初出:「オール讀物」文藝春秋社
   1937(昭和12)年5月号
※題名「錢形平次捕物控」は、底本にはありませんが、一般に認識されている題名として、補いました。
入力:特定非営利活動法人はるかぜ
校正:門田裕志
2015年5月6日作成
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