晴れわたる
秋の遠山は、らんじゅくした、女のらたい、ふっくらとした、山肌は、女の、いんこうのごとき、谷をきざむ。ああ、はるかに見る、秋の山山は肉感的なるかな
十時五分前
太陽はさんらんと放散するのに馬車にへこんだ、村の道を、詩人があるく
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一せいに高い、けやきの枝は、やみ上がりの女のかみのごとく、うすく宙をねらう
土蔵の壁の白く明るく。
村を吐き出されたひとびとは、
絵のごとく、でんぱたにうごく高い空――
十時。
地蔵が、もくして立つ、詩の入り口に詩人がつく。