人生

竹内浩三




映画について


むつかしいもの。この上もなくむつかしいもの。映画。こんなにむつかしいとは知らなんだ。知らなんだ。

金について


あればあるほどいい。又、なければそれでもいい。

女について


女のために死ぬ人もいる。そして、僕などその人によくやったと言いたいらしい。

酒について


四次元の空間を創造することができるのみもの。

戦争について


僕だって、戦争へ行けば忠義をつくすだろう。僕の心臓は強くないし、神経も細い方だから。

生活について


正直のところ、こいつが今一ばんこわい。でも、正体を見れば、それほどでもないような気もするが。

星について


ピカピカしてれや、それでいいのだから。うらやましい。





底本:「竹内浩三全作品集 日本が見えない 全1巻」藤原書店
   2001(平成13)年11月30日初版第1刷発行
   2002(平成14)年8月30日初版第5刷発行
入力:坂本真一
校正:雪森
2014年10月13日作成
青空文庫作成ファイル:
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