足跡

蔵原伸二郎




ずつと昔のこと
一匹の狐が河岸の粘土層を走つていつた
それから
何万年かたつたあとに
その粘土層が化石となつて足跡が残つた
その足跡を見ると、むかし狐が何を考えて
 走つていつたのかがわかる





底本:「近代浪漫派文庫 29 大木惇夫 蔵原伸二郎」新学社
   2005(平成17)年10月12日第1刷発行
※底本は新字新仮名づかいです。なお拗音、促音が並につくられているのは、底本通りです。
入力:kompass
校正:大久保ゆう
2016年1月1日作成
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