信じるより他は無いと思う。私は、馬鹿正直に信じる。ロマンチシズムに
信じる能力の無い国民は、敗北すると思う。だまって信じて、だまって生活をすすめて行くのが一等正しい。人の事をとやかく言うよりは、自分のていたらくに
信じて敗北する事に於いて、悔いは無い。むしろ永遠の勝利だ。それゆえ人に笑われても
だまされる人よりも、だます人のほうが、数十倍くるしいさ。地獄に落ちるのだからね。
不平を言うな。だまって信じて、ついて行け。オアシスありと、人の言う。ロマンを信じ給え。「共栄」を支持せよ。信ずべき道、他に無し。
甘さを軽蔑する事くらい容易な業は無い。そうして人は、案外、甘さの中に生きている。他人の甘さを
「生活とは何ですか。」
「わびしさを堪える事です。」
自己弁解は、敗北の前兆である。いや、すでに敗北の姿である。
「敗北とは何ですか。」
「悪に
「悪とは何ですか。」
「無意識の殴打です。意識的の殴打は、悪ではありません。」
議論とは、往々にして妥協したい情熱である。
「自信とは何ですか。」
「将来の燭光を見た時の心の姿です。」
「現在の?」
「それは使いものになりません。ばかです。」
「あなたには自信がありますか。」
「あります。」
「芸術とは何ですか。」
「すみれの花です。」
「つまらない。」
「つまらないものです。」
「芸術家とは何ですか。」
「豚の鼻です。」
「それは、ひどい。」
「鼻は、すみれの匂いを知っています。」
「きょうは、少し調子づいているようですね。」
「そうです。芸術は、その時の調子で出来ます。」