怪談会 序
泉鏡花
序
傳ふる
處の
怪異の
書、
多くは
徳育のために、
訓戒のために、
寓意を
談じて、
勸懲の
資となすに
過ぎず。
蓋し
教のために、
彼の
鬼神を
煩らはすもの
也。
人意焉ぞ
鬼神の
好惡を
察し
得むや。
察せずして
是を
謂ふ、いづれも
世道に
執着して、
其の
眞相を
過つなり。
聞く、
爰に
記すものは
皆事實なりと。
讀む
人、
其の
走るもの
汽車に
似ず、
飛ぶもの
鳥に
似ず、
泳ぐもの
魚に
似ず、
美なるもの
世の
廂髮に
似ざる
故を
以て、ちくらが
沖となす
勿れ。
泉 鏡花
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