仔牛

新美南吉




仔牛は日向に
たつてゐた

細い四足すつきり伸びて
さいひづめは繁縷はこべらふんで。

日永、半日
たつてゐた

青いお目々は牡丹をみつめ
黝いお鼻は匂ひにぬれて。

すると日暮にお角が生えた。
空に小さく三日月でゝた。





底本:「日本児童文学大系 第二八巻」ほるぷ出版
   1978(昭和53)年11月30日初刷発行
底本の親本:「チチノキ」
   1935(昭和10)年2月
初出:「チチノキ」
   1935(昭和10)年2月
入力:菅野朋子
校正:noriko saito
2011年1月4日作成
青空文庫作成ファイル:
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