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文壇の人にあうと探偵小説をすいている者が多いようである。『新青年』四月号のマイクロフォンを見てもその一班が知れる。ところが探偵小説の作者や翻訳者の中には、探偵小説にあきたりない感じをもっている人が少なくとも少しはある。江戸川乱歩氏はときどきそういう
「文壇小説」も「探偵小説」もひとしく行き詰まって新局面の打開を求めているらしいことが、双方の陣営から起こる嘆声によりてうかがわれるように思う。
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僕は体質上脂肪を要求しているので、鰻なら三人前位くうが、他のものにはあまり食欲がない。頭の方もそれに似ていると見えて、脳細胞をしびらせるような深刻なものを一番に要求する。こういう要求に答えてくれたものは今までにドストエフスキー一人位である。探偵小説にも僕はそういう種類のものを喜ぶこというまでもない。
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トルストイは、子供の時分の思い出を書いた中に、甘い菓子を食いながら、ベッドの上に寝ころんで面白い小説を読むのが人生至上の楽しみだったと言っている。汚い話だが、放尿し、脱糞し、
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今日は天気がよい。屋根瓦の上に堅い砂がちらばっていて、その上をトタン板を引きずる音がする。こんな音をきいたらビスマルクでも神経衰弱になるだろう。ただしこれは天気のよいことと別に関係はないのである。せっかく書いたものだから消さずにおいただけのことだ。