さかほがひ

上田敏





阿古屋あこやの珠を
きたる酒は
のこさで酌まむ。
ほせよさかづき
ほせよ、ほせよ、さかづき
のめや、うたへや、
うたへや、のめや。
あゝ、おもしろ
あゝ、おもしろの
さかほがひ。

かをりはたかき
さゆりの花は
かざしにさゝむ。
たをれ、かざしに、
たをれ、たをれ、※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)かざし頭に
のめやうたへや、
うたへや、のめや。
あゝ、おもしろ、
あゝおもしろの
さかほがひ。

色さへさへ
たへなるひとを
あかずもこよひ
みるが樂しさ、
みるが、みるが樂しさ。
のめや、うたへや、
うたへや、のめや。
あゝおもしろ。
あゝおもしろの
さかほがひ。





底本:「上田敏詩集」玄文社詩歌部
   1923(大正12)年1月10日発行
入力:川山隆
校正:岡村和彦
2013年1月22日作成
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