『Out of the East(「東の国から」)』(1895・明治28年)所収。作者自身の注記によると1894(明治27)年の初めに書かれたので、熊本第2の家(現・坪井2丁目)の時期である。ハーン自身は同年10月末には、熊本を離れ神戸に転居する。 新任地である、西南戦争後すぐの熊本の町の印象や九州の独特の気質、またフレンドリーだった松江中学校の生徒との対照からはじまり、第五高等中学校(のち五高。熊本大学の前身)の学生たちの蛮カラや剛毅・冷静を装った彼ら若い顔の下に隠された人間性や感情に関心を寄せる。英語教師としての授業や学生とのやり取りの中から、学生の幼児期の繊細な感受性や道徳・モラルに触れ、次第に彼らの考え方や気質など日本人の内面を解き明かしていく。 本作品のもっとも早い訳として、不老庵主人「九州学生と居る」龍南会雑誌49号31-36頁(1896年10月24日刊)(http://hdl.handle.net/2298/4560)がある。ただし本作品の1と5の抄訳。 なお、ハーンの英語教育に関しては、つぎのものが参考になろう。(林田清明)
ラフカディオ・ハーン「From the Diary of an English Teacher(「ある英語教師の日記から)」、Glimpses of Unfamiliar Japan (1894)(『日本瞥見記』)所収 アラン・ローゼン= 西川 盛雄『ラフカディオ・ハーンの英作文教育』弦書房(2011) 平川 祐弘 (監修) 『ラフカディオ・ハーンの英語教育 《友枝高彦・高田力・中土義敬のノートから》』弦書房(2013) 平川祐弘『ラフカディオ・ハーンの英語クラス《黒板勝美のノートから》』 弦書房(2014) |