ある村に、お杉とお紺と云ふ仲の悪い二人の
ある晩方、つひ見たことのない、七八つ位のお
姉のお杉 妹のお紺
仲が悪くば 山の神様の
椋鳥 さまに お頼みなされ
仲が悪くば 山の神様の
と、山の方を指さし指さし
お母さんは、山の神様をおたづねして行けと云ふ意味の唄だと知りました。ある日、二人の姉妹をつれて山の神様をたづねて山へまゐりました。
一番高い山の上まで行きますと、山の神様は、木の根へ腰をかけて、長い真白な髭を撫でながらおゐでになりました。
お母さんと二人の
『よしよし、判つた。
『椋鳥、お前の国へこの姉妹をつれて行くのぢや。』
『かしこまりました』と椋鳥は、二人の姉妹に白い布で目隠しをして、
『この中に一本道があるから、何んにも考へずに、真直に歩いて行くんだよ』と二人の姉妹を空洞の中へいれて入口の戸をガチンと締めてしまひました。
二人は、真暗い空洞の中の一本道を椋鳥に云はれたやうに歩いて行きました。もう一里も来たと思ふ頃、そつと目隠しをとつて見ますと、そこは広い広い野原でありました。野原の中には、自分と同じ歳位の子供がそつちにもこつちにも立つてをりました。
姉のお杉は、一人の子供に、
『今日は』と云ひましたが、その子供は、石地蔵さんのやうに黙つてをりました。聞えないのか知らと、
『今日は、今日は』と
『今日は、今日は。』
『遊びませう、遊びませう。』
と云つて歩きましたが、誰一人相手になつてくれてがありませんでした。
妹のお紺も、
『今日は、今日は。』
『遊ばせて下さい。』
と云つて歩きましたが、皆な聞えない振りをして、後を向いてしまひました。
仲の悪い二人の
姉と生れて 妹となつて
仲が悪くて椋鳥 さんに
暗い一本道 送られました
ここは仲よい 姉妹ばかり
仲が悪くば のぼられませぬ
足がすくんで のぼられませぬ
仲が悪くて
暗い一本道 送られました
ここは仲よい 姉妹ばかり
仲が悪くば のぼられませぬ
足がすくんで のぼられませぬ
と、丘の上で、大勢の子供が
すると、
『かうすればあがれるんだよ。』
と二人の手を握らせてくれました。二人は不思議にも楽々と丘の上へあがることが出来ました。
いつも楽しく 遊びたければ
姉と妹と 仲よくなされ
姉と妹と 仲よくなされ
と、お杉とお紺の手をとつて、丘の上の子供達は
『いいかい、忘れてはいけないよ』
と二人の姉妹に、また白い布の目隠しをして、元来た暗い
山の神様は、
『それで結構結構。』
とおつしやつて、大層およろこびになられました。
二人は生れかはつたやうに、ほんたうの仲のよい姉妹になつて、お母さんと三人で、椋鳥におくられて、お