なぐさめ

林芙美子





 美しい東京の街も、この數ヶ月の激しい變化で根こそぎ變つてしまひ、あの見果てぬ夢のやうな、かなしい都會のいとなみが、もう何も彼もみぢんにくだかれてしまつた。歩いてゐるひとたちは、長い戰爭の苦しかつた殘酷な思ひ出に、若いひとまで表情のどこかに皺をつくつて、苦味と落膽とで呆んやりした姿で歩いてゐる。
 戰爭のためにおほかたの家がなくなつたことは勿論だけれども、第一、食べることが極度に苦しくなり、工面をして買へば小さい鰯一つが買へないこともなかつたけれども、そんな鰯が一尾四十錢もすると云ふのでは……全くべらぼうなことになつてしまつた。だけど、いまはもう、あの苦しい戰爭も終つて、穩當な秩序が少しづつ息を吹きかへしてきてゐる。荒涼として都會に家はなかつたけれども、――重吉も家を持たなかつた。淺草で家を燒かれて孫の清子に別れてからはすつかり一人ぽつちになり、靜岡の弟のところへ行つてみたのだけれど、これも子澤山で貧しい生活だつたので、重吉は二週間位してまた東京へ舞ひもどつて來て間もなくの終戰であつた。
 家はなかつたけれども重吉は終戰となつた事にほつとするものを感じた。矛盾撞着の葛藤を引きずつたまゝ大きな敗戰の前に、日本といふ樹木はほんたうの神風にあふられてゐるやうに、澤山の哀れな落葉をあたり一面にふりはらつてゐる。一枚の落葉である重吉も呆然とこの時代のなかに生きてゆかなければならないのだ。
 四谷の驛の前で重吉は暫く四邊を眺めてゐた。下町と違つて、燒けのこりの一隅がところどころにこんもりと樹木にかこまれてゐる。御所の建物も並木の向うの霧のなかにけぶつてみえた。重吉は家と云ふものを美しいと思つた。まとまつて清潔に建つてゐる家をみると重吉は、人間にとつて家と云ふものは最大の贅澤品だと思はずにはゐられない。あの家の中には女がゐる。私の家だけは燒けなくてよかつたわねと云ひさうな女達が、疎開先きから荷物をとりよせて、幸福げに荷ほどきをしてゐる姿がありありと心に浮んでくる。
 重吉は昨日日比谷の公園のなかでひろつた煙草の吸殼を出して竹のパイプにさした。外國人が捨てたのであらう、火をつけるといゝ匂ひの煙がたゞようてゆく。重吉は段々吸殼をひろふのが名人になり、さかりばを歩けば五つ六つの吸殼をひろふことが出來た。――山の手の燒けのこりの家を眺めながら、重吉は清子のことを考へてゐた。無性に清子に逢ひたかつた。三月九日の夜別れたきりである。
 小柄だけれど肉づきのいゝ、笑ふと小粒な皓い齒が清潔さうで可愛い娘であつた。まだ十七だつたので、重吉はもう生きてゐられるわけはないと思つてゐた。杳として樣子が判らなかつたし、自分達の逃げた隅田公園の邊には澤山の死人も出したりしてゐたから。
 ぼろぼろの電車が走つてゆく。輕快なジープが走つてゆく。黄昏近い燒けた街は、霧のやうなもやをかぶつてゐるせゐか、灰色のコンクリートや赤い煉瓦の崩れたのがかへつて美しい眺めになつてゐた。
 重吉は腹が空いてゐたので、煙草を吸ふとぐらぐらと眼が舞ひさうであつた。歩くことが苦痛だつたけれど停つてゐるわけにもゆかないのだ。五日目位には友達の家へ配給のものを取りに行かなければ宿なしの重吉には食つて行けないのだ。友達の家は四谷の箪笥町にあつていまだに壕舍生活をしてゐた。地下生活は家族中の躯を惡くしていつたけれどもバラックを建てる金もないので、ずるずるとその日暮しで、穴のなかで寢そべつてゐるより仕方がない。以前は箪笥の職人だつたのだけれど、太田の飛行機會社に職工にとられて終戰と同時に壕舍に變り果てた我家に戻つてゐたのである。重吉も古い箪笥職人であつた。二人とも釣りが好きで、よくさそひあつては泊りがけで釣りに行つたものであつた。


「藤さんゐるかね?」
「あゝ重吉さんかい……」
 穴の中から顏をまつかにした藤三郎が出て來た。骨組ががつちりしてゐてまるで重吉の息子のやうに若々しかつた。重吉よりずつと若いのだつたが、重吉の五十七といふのは嘘のやうに思へた。老けてまるきり七十の老人のやうな枯れかたなのである。頭髮はきたなく禿げてゐたし、前齒はぬけおちて、あごがとがつてゐるのが年をとつた犬のやうに見えた。さすが、職人だけあつて、重吉の生々したところといつては大きい掌ぐらゐのものであらうか、手以外のところはすつかり憔悴しきつてゐるのだ。
「面白くねえから一杯やつてゐたのさ」
「ほう……そりやア豪氣だ、闇酒かね」
「まア、そんなもんだな。五合八十圓で買つたんだが、安いさうだ」
 穴のなかは三疊位のもので、ごちやごちやと荷物を押しこめてあるので狹くて坐りどころもないやうだつた。壁の板は白い粉をふいてしまつて、指で押せば、ぼこつと穴があきさうにくさりかけてゐる。
「まるきり、どうもかうもねえ世の中になつてしまつたなア。薯一貫目が十五圓ときたが、よく世間ぢやアやつてゆくよね」
「全くだよ。だけどなア藤さん、昔はよかつたね。金一で働いて、かへりは市場で秋刀魚の一皿も買つてさ、おまけにバナナも十錢がとこ買つて歸りやア、げつぷが出たほど食へたもんだぜ。――まるきり、お化けみてえなもンよ。出ねえ出ねえと思つてゐたお化けが出て來たやうな、めつぽふ不思議なこんこんちきと云ふ世の中に變り果ててしまつた。お前はまだ神さんも子供もあるが俺は清子にゆかれて何もかもけりと云ふわけさ。たゞ生きてゐるつてものでね、――でもまア、面白いものだよ。これで、死んでしまひたいなんて少しも思はないンだがね。一人ぼつちで淋しいから、えゝくそ死んだ方がましだなんては少しも考へないね。第一ありがたい事には何も思つてみた事がねえンだからね。薯のふかしたの食つてごろりと寢るだけだから、人間つてものも、萬物の靈長たア云へないやね、さうぢやないかねえ」
「まアいゝやね、お互に生きてるんだものなア、これも不思議なものさ。……まア一杯やりな。酒でも呑んで元氣つけて、生きてゐなくちや申しわけねえ。折角、怪我もしずにかうして穴の中に生きてゐるんだからね」
「全くだね。――あゝうめえ酒だね。一杯いくらにつくかね。まるで舌の上がお神樂だ。ぴりぴりとしてしびれるぜ藤さん。いゝ酒だなア。酒は百藥の長だぜ。一杯いくらにつくンだね。有難いねえ」
 重吉はあつめた吸殼を出して臺の上に置いた。藤三郎はすぐそれを貰つて火をつけた。
「神さん達は……」
「船橋へ魚買ひに行つた」
「お前のところは金があつていゝ」
「金なんかないよ。もうつかひ果してしまつて、あと一ヶ月もちやアいゝ方だ」
 藤三郎は七輪に木裂きぎれをもやしながら、時々重吉に酒をすすめた。重吉は腹が空いてゐたのですぐ醉つた。
「面白い世の中だつたな、昔は……」
「全くだ」
「もう、あんな時代にやかへるめえなア」
「戻りつこねえやな。みんなが、よつてたかつて惡く仕上げたンだものねえ。俺は新聞つてものには一杯くつたなア。勝つた勝つたて、勝つた事ばかり數字が出てるんだからねえ。赫々の戰果つて云ふ奴を新聞は判こ捺すみたいに毎日書いてやがつたものね。あれにはうまく引つかゝつたよ」
「あゝ、酒はいゝもんだ。このごろ、こんなめでてえ酒を呑んだことはねえ。淋しい暮しだつたからねえ。もう、あといくらも配給のものをとりには來られめえと思つてゐたのさ。金もなくなつてくるし、第一着るものもねえし、清子さへゐてくれりやア、まだ何とかなつたンだがね」
「お清さんは、ありやアべつぴんだつたねえ。いゝ子だつた。昔、赤坂に萬龍つて藝者がゐたが、あの寫眞によく似てゐたよ。ぷつくりとしていゝきりやうだつたなア。――いままでかへつて來ねえンぢや死んだンだねえ」
「だけど、死んだとは見えねえよ。だからさ、戸籍の方もまだ清子の死んだのはとゞけてねえンだ。生きてゐるやうな氣がしてね。此間も日本橋でな、夕方、ジープに乘つてゐる娘がゐてね。ほんの一寸すれ違ふ時だつたが、それが清子にいきうつしでね。茶色の服をきてゐたンで違ふんだが、三月の晩は、紫色の銘仙のもんぺを着てゐたンだから、違ふ事はたしかだが、時々、清子の奴、食べる事も出來ねえで、ダンスでもしてゐるんぢやアねえかと思つてね。――淺草生れで賑やかな事が好きだからね……ところで、わしたちは、釣りにも長いこと行かないねえ。何處かへ行つてみてえと思ふよ、藤さん……」
「さうだねえ、一遍行きてえなア、何とかしてね。お前と違つて、釣道具だけは持つて逃げて、燒けなかつたからな」
 重吉はいゝ氣持ちに醉つた。大豆の煎つたのが肴なのだけれども、重吉にはだんだん龍宮の夢のやうな虹色にぼけたものが瞼のうらを雲散霧消してゆく。そのくせ、長い人生のおくびを牛のやうに反芻しながら、重吉はその酢つぱい反芻の動作に耐へられなくなつて、小さい聲で唄をうたつた。
「だいぶん御機嫌だなア」
「あゝ、めつぽふいゝ氣持ちになつたぜ。持つべきものは友達だ。――俺はいゝ氣持ちになつたんで、哀しくなつちまつた」
 重吉がこぶしで涙を拭いた。切實に清子に思ひが走つてゆく。住家もなく轉々としてゐるみじめさが息苦しくなつてきた、重吉は臺の上に額をつけた。


 船橋から戻つて來たお神さんに鰯を三尾ほど貰つて、配給の米だの薯だのを風呂敷に包んで背負ふと、重吉はすつかり暮れかけた街へ出て行つた。文明が殘してゐるもつとも麗はしい電燈の光が、廢墟の街に點々とまばたいてゐた。何處かで汽車の音がしてゐる。ポーと汽笛を鳴らしてゐるのが、燒野原の夜空に哀愁をこめて。東京の夜の街は、この荒涼とした景色に永遠に膠着してゐるのだぞと云つたやうに、四圍は森閑として、時々、電車や自動車が走つてゆくだけである。夜霧の深いなかを重吉はふらふらと四谷見附に歩いて行つた。
「おい爺さん、何か落ちたぜ」
 重吉は吃驚してふりかへつた。學生のやうな男が立ちどまつて煙草に火をつけてゐる。重吉は急に煙草が吸ひたくなつた。箪笥町へおいてきたのが殘念で仕方がない。
「どうも有難うござんした……」
 重吉は立ちどまつて、學生が煙草に火をつけるのを見てゐた。かちりと固く卷かれた新しい煙草に火をつける學生の身分が羨ましくて仕方がない。重吉は煙草だけは配給を貰ひそこねてゐるので、新しい紙卷の煙草はながい間の魅力であつた。
「旦那、いゝ晩ですな」
 學生は驚いたやうに重吉の姿を透かしてみるやうなかつかうで、
「だいぶいゝ氣持ちさうだね」
 といつた。
「呑んだんで、へえへえへえ……」
「何處か呑むところあるのかい」
「いゝや、何ね。友達のとこでね、よばれたンでさア……」
「さうかい、羨ましいね」
 學生は酒を呑んでふらふらしてゐる男に興味もなかつたのか、煙草の火を一二度赤く吸ひこむと、外套のポケットに兩手を入れてさつさと市ヶ谷の方へ歩いて行つてしまつた。
 重吉はまた薯を落した。何となくひろふ元氣もない。もうどうでもいゝといふ氣持ちだつた。すつかり何も彼もに疲れきつてゐたのだ。只、無性に煙草が吸ひたかつた。濛々とした煙草の煙の渦が息のやうに吸ひたかつた。
 重吉のそばを轟々と市電が走つてゆく。
「えゝ、あの長靴千圓ならはなすつて」
「軍隊からたゞで取つて來て、千圓だつて……」
「たゞで貰つて來たからなほさら高く賣りたいのよ」
 二人の若い女がしやべりながら歩いてくる。二人とも大きな包みをさげてゐる。重吉は歩くことが厭になつてゐた。森々と夜氣が冷えてきて、醉ひもさめてきさうである。燒跡の石塀のところに少しばかりあたゝかさうな場所をみつけて重吉はそこへ荷物をおろした。肩が輕くなるとまた上機孃に[#「上機孃に」はママ]なつた。躯が輕いと云ふことは何と云ふ氣持ちのいゝ事だらう。重い荷を背負つてゐると、何も彼もむしやくしやして仕方がない。――重吉はうとうとして兩方の膝小僧をかゝへこんでゐた。髮にリボンを結んで、赤い袴をはいた清子の古風な姿が浮んで來る。
 何處かでラジオの美しいピアノの音色がしてゐる。荒涼とした夜景のなかにも、昔の都會の雰圍氣が霧のなかに舞ひあがつてゐた。敗れた國の敗れた美しさが風のやうに一瞬とほりすぎて行く。都會の持つあらゆるものが、敗戰と同時に省略された。蛇のやうな長いものから芋蟲のやうに、――都會のこの巨きな不幸な姿は、何百人の代議士の雄辯よりも國民を納得させる力がある。動くがまゝに、流れるまゝに、敗れたまゝに今宵の街はふけて行くのだ。
 暫くして重吉にはまた面會者があつた。
「おい、をぢさん、氣分でも惡いのかね」
 だぶだぶの國民服を着た十二三の男の子が重吉の前に立ちどまつた。
「氣分なんか惡かねえよ」
「醉つぱらつてるのかい」
「醉つてなんかゐないよ」
「莫迦な爺だなア」
「莫迦な爺だよ」
「烏!」
「あゝ、かあかあだよ」
 少年は重吉の肩の上に足を乘せた。まるで靴みがきの男でもするやうに……。重吉は呆んやりと眼をあげて、靜かに少年の足を拂ひのけた。
「榮養失調だな、爺は……」
「ふざけちやいけないよ。家で待つてるよ」
「家なんかないよ。燒けちまつたんだよ」
「ほう、お前も燒けちまつたのかい」
「燒けたさ、きもちよくぺらぺらと燒けて灰が殘つたきりさ……」
「どこで燒けたンだい?」
「銀座」
「ほう、銀座……」
 少年は重吉の風呂敷包みを手でつかむと、そのまゝさつさと暗い方へ足早に行つてしまつた。重吉は默つて見送つてゐた。あの子供は煙草を持つてやしないかな、一口吸はしてくれといへばよかつたと思つた。
 少し風が吹きはじめた。夜霧のなかに赤い灯が一つ見える。重吉は立ちあがつた。歩きたくもないのに歩かなければ先が遠い感じである。
 重吉は腰のポケットから財布を出してとある灯の下で十錢札を二枚出した。淺草までかへらなければならないといふ意識がはつきりして來る。腹が空いてゐるので胸がむかむかするやうだつた。ポケットにしのばせてきたさつきの酒の肴の煎豆を重吉は口へはふりこんだ。豆をぷつんぷつんと噛んでゐと[#「噛んでゐと」はママ]、重吉は自分だけでも生きのこつてゐる事がうれしかつた。淺草ではぞつとするほど澤山の人が死んでゐたものだ。震災の時なんかどころではなく澤山の人が燒けこげて死んでゐたが、自分はかうして生きてゐるのだと思ふと、重吉はほくほくするやうなうれしさを感じた。でつかい飛行機が來て、毎日毎夜火の雨を降らさないだけでもほつとした。重吉には一人の敵もないのだから、あんな大きな飛行機と戰爭するわけがないのである。重吉は外國を知らないから、澤山の子弟を兵隊にして戰爭をしなければならないわけがないのである。重吉は昔の東京の街がなつかしかつた。四谷見附のそばには三河屋と云ふ肉屋があつたものだと思つた。さぬき屋と云ふうなぎやも昔はあつた。いまは空爆であとかたもない通りを、重吉はふらふらと歩いてゆく。
 藤三郎が藝者の萬龍のやうだと云つてくれた、美しい孫娘をなつかしがつて、重吉はいまにも兩手を擴げさうな淋しさを感じてゐた。
 禿げた頭が金物のやうにずしりと地面にぶつつかつた。重吉は笑ひがこみあげて來るやうな妙な顏で眼を細めた。一寸恥づかしいほどまぶしかつた。遠くに投げ出した足の上をきいきいと強いきしみかたで重いものが通りすぎた。全身が火のやうに熱くなり重吉は呻いた。理解されない急激な痛みが走つたが、すぐ靜まつてゆき、何ともいへない愉樂が全身に滿ちてくる。地面が石油のやうに匂つてくる。重吉は一寸愍みを乞ふやうにもがいてみた。氣が遠くなつてゆくうちに重吉の身から血がにじみ出してきた。血の量は眞理を語つてゐるかのやうに電車のレールにも光つて行つた。
 塹壕のなかで最後まで戰つた兵士のやうにひどいきずつきかただつたが、重吉は清子の手にも觸れたし、甘い聲もきいた。
「おぢいちやん馬鹿だねえ、こんなところに寢て。早くおうちへ歸つて、あたゝかいものでも食べませう……」
「おうちなんかとつくに燒けちまつたよ。べらんめえ、いままで何處歩いてゐたんだ。心配させやがつて……」
 耳のうへで賑やかな音がした。人の聲も遠くにきこえたが、それは夏の日の蝉のやうでもあつた。
 少しづつ時がたち、少しづつ夜が白みかけてきたが都會はまだ動かない。夜更けてからかゞやきわたつた月の光が、夜更けとともにますます光をまして、雪のやうに四圍は明るかつた。お壕の堤のなだらかな地面に、重吉は穴だらけの地下足袋の足を出して菰をきせられてゐた。悲劇的な死にかたのやうでゐて、重吉はまるで名譽の死にかたのやうにあをむいて顏の上に菰をかぶつてゐた。ひどい死にかたではなく、全く幸福げな死にかたであつた。無限の自然のなかに重吉は一つの石のやうにそこに長々と寢そべつてゐた。
 軈てまた都會は昨日のくりかへしが夜明けとともに始まり、汽車のポーがきこえてくるであらう。
 藤三郎はそのうち一人で釣りに行くことであらう。





底本:「林芙美子全集 第五巻」文泉堂出版
   1977(昭和52)年4月20日発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。
※「一人ぽつち」と「一人ぼつち」の混在は、底本通りです。
入力:しんじ
校正:阿部哲也
2018年10月24日作成
青空文庫作成ファイル:
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