「女人芸術」という名をかえることには大いに賛成です。しかし、「女人大衆」というのは、どうでしょうか。「女人」という字は、もう数年前、日本でブルジョア女性解放運動が盛んだった時分、「女も人なり」という意味で新鮮さが感じられた言葉だったろうと思います。
けれども、現代のわれわれ、及び、これからこの雑誌をよむ人が「女人」という字に新しい力を感じるかと云うと、どうも逆らしく思う。「婦人大衆」としたらどうでしょう。粉飾なくていいではありませんか。「婦人」という字のわからない女はない。だが「女人」という文字をこのむ女には、われわれが清算しようと努力する過去の階級的遺物がきっとある。題を、スッパリ分りやすくすることによって、先ず雑誌の啓蒙的立場を明かにしようではありませんか。
〔一九三一年五月〕