明日を創る

――婦人民主クラブ発起人のことば――

宮本百合子


 朝の太陽が、一刻一刻と地平線の上にさしのぼって来るように、日本には人民が自身の幸福建設のために支配者として生活し得る可能がましています。
 これまで永い間、重い歴史の蓋をかぶせられて、日本の老いも若きも、何と暗い無智におかれ、理非をいわせぬ犠牲となって一生を過して来たことでしょう。
 今やわたくしたちは元気よく立ち上ったその肩の力で、人間生活を圧し殺して来た圧迫を徹底的にとりのぞかなければなりません。そして、自分たちのただ一度しかない人生を、自分として納得出来るしかたで充実させて行かなければならないと思います。
 智慧のよろこびも、肉体の歓喜も奪われた日々の裡で、若さゆえに、一筋の情熱を守って自身の成長を念願してきた女性の心情こそ、明日へ伸びてゆく日本の浄き母なる力です。
 私たちは正しい希望と発案とを集め、それを組織することを学びましょう。組織してそれを着々と実現してゆく力量を、私たちの身についたものとしてゆきたいと思います。どう現実のものとしてゆくかということは、私たちの熱意と実行力にかかっております。





底本:「宮本百合子全集 第十五巻」新日本出版社
   1980(昭和55)年5月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
初出:「婦人民主新聞」見本紙
   1946(昭和21)年6月発行(推定)
入力:柴田卓治
校正:米田進
2003年6月4日作成
青空文庫作成ファイル:
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●表記について