回覧板への注文

宮本百合子




 私のところは、割におうようなので、些細なことで何や彼と廻してくるようなことはありません。
 ただ、その表現がなかなか整理されず――つまりは、皆の人によくのみこませようとするのでしょうが、重複したりして煩わしいものがあります。
 一番関心を持たせられるのは、お役所などから廻ってくる印刷物に相当ムダがあって例えば“祝い終った、さあ働こう”など、全く言わでものことではないかと思います、まるで“朝になった、さあお起きよう”というのと同じことでしょう、こんな標語をレイレイしく印刷するより、もっと内容を厳選してほしいと思います。
〔一九四〇年十二月〕





底本:「宮本百合子全集 第十七巻」新日本出版社
   1981(昭和56)年3月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
初出:「都新聞」
   1940(昭和15)年12月3日号
入力:柴田卓治
校正:磐余彦
2003年9月15日作成
青空文庫作成ファイル:
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●表記について