日比谷のベンチで
萩原恭次郎
日比谷のベンチで
雪と愛が悲しいSの字を描いてゐる
青い魚がどこともなく泳いで
空に寒い街並みが映つてゐる
頭の中に恋人の欧文字があつた
棄てゝある蜜柑の皮は自らを嘲笑ふ赤い舌である!
底本:「日本の詩歌 26 近代詩集」中央公論社
1970(昭和45)年4月15日初版発行
1979(昭和54)年11月20日新訂版発行
底本の親本:「死刑宣告」長隆舎書店
1925(大正14)年10月18日
入力:hitsuji
校正:染川隆俊
2024年10月23日作成
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