手紙

文久三年八月十四日か 坂本乙女あて

坂本龍馬




此は(な)しハまづ/\人にゆ(言)ハれんぞよ。すこしわけがある。
長刀順付ハ千葉先生より越前老公へあがり候人江(へ)、御申付ニて書たるなり。此人ハおさなというなり。本ハ乙女といゝしなり。今年廿六歳ニなり候。馬によくのり劔も余程手づよく、長刀(なぎなた)も出来、チカラハなみ/\の男子よりつよく、先たとへバうちにむかしをり候ぎんという女の、力料(ばかり)も御座候べし。かほかたち平井(加尾)より少しよし。
十三弦じうさんげんのことよくひき、十四歳の時皆傳カイデンいたし申候よし。そしてゑもかき申候。
心ばへ大丈夫ニて男子などをよばず。夫ニいたりてしづかなる人なり。ものかずいはず、まあ/\今の平井/\。
○先日の御文難有拝見。杉山へ御願の事も拝見いたし候。
其返しハ後より/\。
十四日
乙様





底本:「龍馬の手紙」宮地佐一郎、講談社学術文庫、講談社
   2003(平成15)年12月10日第1刷発行
   2008(平成20)年9月19日第7刷発行
※底本手紙の写真のキャプションに、(札幌市 某家蔵)とあります。
※丸括弧付きの語句は、底本編集時に付け加えられたものです。
※直筆の手紙の折り返しに合わせた改行は、省いて入力しました。
入力:Yanajin33
校正:Hanren
2010年7月24日作成
2011年6月17日修正
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