手紙

元治元年六月二十八日 坂本乙女あて

坂本龍馬




かの小野小町が名(歌)よみても、よくひで(日照)りの順のよき時ハうけあ(請合)い、雨がふり不申。あれハ北の山がくもりてきた所を、内※(二の字点、1-2-22)よくしりてよみたりし也。
につただゝ(ママ)つねの太刀おさめてしほ(潮)の引しも、しほ時をしりての事なり。
天下に事をなすものハねぶともよく/\(腫)れずてハ、はり(針)へハうみ(膿)をつけもふさず候。
おやべどのハ早、子ができたなどゝ申人あり、いかゞ私しがいゝよるというておやり、かしこ。
六月廿八日
龍馬
おとめさまへ
此手がみ人にハ(決)して/\見せられんぞよ、かしこ。





底本:「龍馬の手紙」宮地佐一郎、講談社学術文庫、講談社
   2003(平成15)年12月10日第1刷発行
   2008(平成20)年9月19日第7刷発行
※底本手紙の写真のキャプションに、(土佐山内家宝物資料館蔵)とあります。
※丸括弧付きの語句は、底本編集時に付け加えられたものです。
※直筆の手紙の折り返しに合わせた改行は、省いて入力しました。
入力:Yanajin33
校正:Hanren
2010年7月24日作成
2011年6月17日修正
青空文庫作成ファイル:
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