手紙

慶応三年九月二十四日 渡辺弥久馬あて

坂本龍馬




 渡辺先生   左右
一筆啓上仕候。
然ニ此度云々の念在之、手銃一千挺芸州蒸汽船に積込候て、浦戸に相廻申候。(まいり)がけ下ノ関に立より申候所、京師の急報在之候所、中々さしせまり候勢、一変動在之候も、今月末より来月初のよふ相聞へ申候。二十六日頃は薩州の兵は二大隊上京、其節長州人数も上坂(是も三大隊斗かとも被存候。)との約定相成申候。小弟下ノ関居の日、薩大久保一蔵(長州)ニ使者ニ来り、同国の蒸汽船を以て本国(薩摩)に帰り申候。御国(土佐)の勢はいかに御座候や。又後藤参政はいかゞに候や。(京師の周旋くち下関にてうけたまわり実に苦心に御座候。)乾氏はいかゞに候や。早々拝顔の上、万情申述度、一刻を争て奉急報候。謹言。
九月廿四日
坂本龍馬





底本:「龍馬の手紙」宮地佐一郎、講談社学術文庫、講談社
   2003(平成15)年12月10日第1刷発行
   2008(平成20)年9月19日第7刷発行
※底本本文の末尾に、(桑名素男旧蔵)とあります。
※丸括弧付きの語句は、底本編集時に付け加えられたものです。
入力:Yanajin33
校正:Hanren
2010年10月9日作成
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