母なるをとめ、わが子のむすめ、
賤しくして、また、なによりも尊く、
永遠の謀のさだかなるめあて、
君こそは人性を尊からしむれ、
物みなの造りぬしも、
其造りなるを卑まざりき。
その胎に照りたる愛は、
この花をとこ世に靜けく、
温め生ふし開き給ひぬ。
ここにゐては愛の
下界人間に
大なる哉、徳ある哉、われらの君よ、
君の御前にまだ來ぬは、
その願ひ翼なくして飛ぶを思ふや。
御
おのづから願に先だつこと多かり。
君に憐、君に悲、君に惠、
造化のよしといふよき物は君に
茲に今、宇宙の池のいと深き底より、
この天堂にしも、また昇り、
靈のひとつびとつを眺むるもの、
伏して願はくは、終の
今彼の眺を望むばかり、
己が眺を望む時にも切ならざりし吾。
茲に一切の祈を捧げて、
足らざること勿れと念ず。
君よ、人間の迷雲を此人より拂ひて、
至上の悦をえさせたまへ。
重ねて祈り申さく
思のまゝのなべてを行ふ
かゝる大觀の後までも、
かれが心をそこなはず、
君の護のあるが故に、
人間の混亂を滅ぼし給へ。
わが祈に添ひてベアトリチエと諸聖と、
合掌祈念するをも、うけさせ給へや。