妖怪学講義

緒言

井上円了




哲学館主  井上円了述

 美妙なる天地の高堂に座して、霊妙なる心性の明灯を点ずるものはなんぞや。だれも問わずして、その人間の一生なるを知る。果たしてしからば、その一生中、森然たる万有を照見するものは実に心灯の光なり。しかして、その光を養うものは諸学の油なり。ゆえに、諸学ようやく進みて心灯ようやく照らし、心灯いよいよ明らかにして天地いよいよ美なり。吾人すでに心灯を有す、あに諸学の講究を怠るべけんや。これ余が先年、妖怪学研究に着手したるゆえんなり。方今、大政一新、文運日に興り、明治の治蹟また、まさに大成を告げんとす。皇化のうるおすところ遠く草莽そうもうに及び、余のごとき微臣、なお茅屋の下に安臥して閑歳月に伴うを得。ああ、窓間一線の日光もまた、君恩の余滴にあらざるなし。余輩、あに碌々ろくろくとして徒食するに忍びんや。ここにおいて、積年研究せる妖怪学の結果を編述して、世人に報告するに至る。けだしその意、同胞とともに一点の心灯をかかげきたりて、天地の活書を読まんとし、かつ自ら満腔の衷情をくみきたりて、国家の隆運を助けんとするにほかならず。今やわが国、海に輪船あり、陸に鉄路あり。電信、電灯、全国に普及し、これを数十年の往時に比するに、全く別世界を開くを覚ゆ。国民のこれによりて得るところの便益、実に夥多かたなりというべし。ただうらむらくは、諸学の応用いまだ尽くさざるところありて、愚民なお依然として迷裏に彷徨ほうこうし、苦中に呻吟しんぎんする者多きを。これ余がかつて、今日の文明は有形上器械的の進歩にして、無形上精神的の発達にあらずというゆえんなり。もし、この愚民の心地に諸学の鉄路を架し、知識の電灯を点ずるに至らば、はじめて明治の偉業全く成功すというべし。しかして、この目的を達するは、実に諸学の応用、なかんずく妖怪学の講究なり。国民もし、果たしてこれによりて心内に光明の新天地を開くに至らば、その功すこしも外界における鉄路、電信の架設に譲らずというも、あに過言ならんや。妖怪学の研究ならびにその説明の必要なること、すでにかくのごとし。世間必ず、余が積年の苦心の決して徒労にあらざりしを知るべし。
 妖怪学とはなんぞや。その解釈を与うるは、すなわち妖怪学の一部分なり。今、一言にしてこれを解すれば、妖怪の原理を論究してその現象を説明する学なり。しからば妖怪とはなんぞや。その意義、茫然ぼうぜんとして一定し難し。あるいは曰く、「幽霊すなわち妖怪なり」と。あるいは曰く、「天狗てんぐすなわち妖怪なり」と。あるいは曰く、「狐狸こりの人を誑惑きょうわくする、これ妖怪なり」と。あるいは曰く、「鬼神の人に憑付ひょうふする、これ妖怪なり」と。あるいは陰火、あるいは竜灯、あるいは奇草、あるいは異木、これ妖怪なりというも、かくのごときは、みな妖怪の現象にして、妖怪そのものの解釈にあらず。しかして、妖怪そのものの解釈に至りては、けだし、だれも確然たる定説を有せざるべし。あるいはこれを解して不思議といい、あるいはこれを釈して異常もしくは変態というも、これみな、妖怪はすなわち妖怪なりというに異ならず。もしこれをもって妖怪の定義とするときは、なにをか不思議といい、なにをか異常というやを解説せざるべからず。しからざれば、思議のなにものにして、常態のいかなる事柄なるやを考定せざるべからず。しかりしこうして、通俗一般に了解するところによるに、妖怪とは普通の知識にて知るべからず、尋常の道理にて究むべからざるものをいうなり。しからばさらに問いを起こして、普通の知識、尋常の道理とはなんぞや。たとえ知識、道理に高下の別ありとするも、いかなる標準を立ててこの分界を定むべきや。かくのごとく推問するときは、その結局、知るべからず解すべからずといいてやむよりほかなし。けだし人知の関するところは、なにごとも四面めぐらすに、不可知的の境壁をもってすることを記せざるべからず。しからば、妖怪は全く不可知的なるか。もし、これを不可知的と断定すれば、これを研究するの愚なることを知らざるべからず。しからば、妖怪はよく知り得べきか。もし、これを可知的とすれば、さらに種々の疑問ありて起こる。これを要するに、妖怪そのもののなんたるを究めてこれに説明を与うるは、すなわち妖怪学の目的とするところなり。しかしてその定義に至りては、妖怪学本論を講ずるときに詳述すべし。
 世人多くは、自己の心鏡に照らして知るべからざるものを妖怪という。ゆえに、甲の妖怪とするものは乙これを妖怪にあらずとし、乙の妖怪とするものは丙これを妖怪にあらずとす。愚民は、なにを見てもその理を知るべからず。ゆえに、事々物々みな妖怪となる。学者は、よく愚民の知るべからざるものを知る。ゆえに、その妖怪を指して妖怪にあらずという。しかれども、もし学者にして妖怪全くなしといわば、これ学者の妄見なり。例えば愚民の妖怪ありとするは、あたかも船に乗りて自ら動くを知らず、対岸のはしるを認めて真に動くと信ずるがごとし。ゆえに、学者は大いにその愚を笑う。しかして学者の妖怪なしとするは、あたかも地球に住息して太陽の上下するを見、これ地球の動くにあらずして太陽の動くなりと信ずるがごとし。もし赫々かくかくたる哲眼を開ききたりてこれを徹照しきたらば、またその愚を笑わざるを得ず。なんとなれば、学者の妖怪にあらずとするもの、また一種の妖怪なればなり。仰いで天文を望めば、日月星辰、秩然ちつぜんとして羅列するもの、一つとして妖怪ならざるはなし。して地理を察するに、山川草木、鬱然うつぜんとして森立するもの、またことごとく妖怪なり。風の蕭々しょうしょうとして葉上に吟ずるも、水の混々として石間に走るも、人の相遇って喜び、相離れて悲しむも、怪中の怪、妖中の妖ならざるなし。それ、一杯の水は一滴の露より成り、一滴の露は数個の分子より成り、分子は小分子より成り、小分子は微分子より成り、微分子はすなわち化学的元素なり。もし、そのいわゆる元素はなにより成るを問わば、けだし、だれもこれに答うるものなかるべし。これ、すなわち一小怪物なり。人身の大なる、これを国土に比すれば、滄海そうかいの一粟にも及ばず。国土の大なる、これを地球全体に比すれば、また九牛の一毛にも及ばず。地球の大なる、これを太陽系に較すれば、その微小なる、譬喩ひゆの及ぶところにあらず。太陽系の大なる、これを無涯の空間に較するに、また比例の限りにあらず。しかして、空間そのもののなんたるに至りては、実に人知の及ばざるところにして、これまた一大怪物なり。果たしてしからば、これを小にしてもこれを大にしても、妖怪その両岸を築きて、人をしてその外に出ずることあたわざらしむ。これ実に真正の妖怪なり。しかして、その間に架したる一条の橋梁は、すなわち人の知識なり。学者この橋上に立ちて、愚俗下流の輩の頑石の間にわだかまり、迷いてその道を知らざるを見て、世に妖怪なしと断言するは、その識見の小なるを笑わざるを得ず。しかりしこうして、愚俗の妖怪は真怪にあらずして仮怪なり。仮怪を払い去りて真怪を開ききたるは、実に妖怪学の目的とするところなり。
 およそ妖怪の種類は、これを細別するにいくたあるを知らずといえども、これを概括すれば、物怪、心怪の二大門に類別するを得べし。物怪はこれを物理的妖怪と称し、心怪はこれを心理的妖怪と称す。しかしてまた、この二者相互の関係より生ずる一種の妖怪あり。例えば、鬼火、不知火しらぬいのごときは単純なる物理的妖怪にして、奇夢、霊夢のごときは単純なる心理的妖怪なり。しかして、コックリ、催眠術、魔法、幻術のごときに至りては、物心相関の妖怪というべし。
 世人、妖怪の種類を挙ぐるときは、耳目に触るるところの感覚上の妖怪に限るも、余のいわゆる妖怪は感覚以外に及ぼし、卜筮ぼくぜい、人相、九星きゅうせい、方位のごとき観理開運に関する諸術、ならびに鬼神、霊魂、天堂、地獄のごとき死後冥界めいかいに関する諸説、またみな妖怪の一種に属するなり。およそ世間に人の最も恐れ、かつ最もその心を苦しむるものは、生死の境遇よりはなはだしきはなし。もし、生死の迷門を開きて死後の冥路を照らすものあらば、その人間に与うる福利、これより大なるはなし。しかして、余のいわゆる妖怪学は、実にこの門を開く管鑰かんやくにして、またこの道を照らす灯台なり。かつまた、人だれか一身の幸福、一家の安全を祈らざるものあらんや。しかして禍難ときに一身を襲い、災害また一家を侵す。これを予防せんと欲するも、自ら前知するあたわず。ここにおいて、百方力を尽くして、吉凶を予定する風雨しんを発見せんとし、ついに卜筮、人相のごとき諸術の世に行わるるに至る。もしそれ、その風雨鍼のたのむに足らざるを知りて、これに代うるに、禍難に際会するもさらにその害を感ぜざる一種の避雷柱を適用するに至らば、その世を利するや、生死の迷門を開示するとなんぞ異ならん。しかして、これまた妖怪学応用の結果なり。ゆえにその学の講究、あに忽諸こっしょに付すべけんや。
 妖怪学は哲学の道理を経とし緯として、四方上下に向かいてその応用の通路を開達したるものなり。もし哲学の火気を各自の心灯に点じきたらば、従来の千種万類の妖怪、一時に霧消雲散し去りて、さらに一大妖怪の霊然としてその幽光を発揚するを見る。これ、余がいわゆる真正の妖怪なり。この妖怪ひとたびその光を放たば、心灯の明らかなるも、これとその力を争うあたわずして、たちまちその光を失うに至るべし。あたかも旭日ひとたび昇りて、衆星その光を失うがごとし。仮にこの大怪を名付けて、これを理怪という。余の妖怪研究の目的の、仮怪を払い去りて真怪を開き示すと唱うるゆえん、ここに至りて知るべし。
 理怪とはなにをいうや。無始の始より無終の終に至るまで、無限の限、無涯の涯の間に、飄然ひょうぜんとして浮かび塊然として懸かり、自生自存、独立独行、霊々活々の真体をいう。だれもその名を知らずして、その体あるを知る。その体あるを知るも、これに名付くるゆえんを知らず。けだしその体たるや、知るべきがごとくにして、しかして知るべからず、知るべからざるがごとくにして、しかして知るべし。これ実に大怪物なり。これを称して神妙、霊妙、微妙、高妙、玄妙というも、その体より発散せる光気の一部分を形容したるに過ぎず。あるいはこれをあざなして、老子は無名といい、孔子は天といい、あるいは易に太極といい、釈迦は真如といい法性といい仏といい、ヤソは天帝といい、わが国に神というも、みなその体の一面に与うる仮名に過ぎず。余はこれを理想と称するも、また一部分の形容のみ。だれか、よく有限性の名をもって無限性の体をあらわし得るや。むしろ、これを大怪物として名付けざるをよしとす。しからざれば、有限性の名称を階梯かいていとして、その裏面に包有せる無限性を感知領得することをつとむべし。
 吾人、仰いでして察するときは、自然に一種高遠玄妙の感想を喚起す。これすなわち、理想の大怪物の光景に感接したるときなり。これより、ようやくその心に精究すれば、ようやくその真相を開顕し、ついに心天渺茫びょうぼうたるところ、ただ理想一輪の明月を仰ぎ、一大世界ことごとく霊然たる神光の中に森立するを見るべし。このときはじめて、この世界の理想世界なることを了知するなり。すでにひとたび理想世界なるを知りて再び万有を観見すれば、囀々てんてんたる鳥声も妍々けんけんたる花容も、みな理想の真景実相なるを領得すべし。これ、いわゆる哲学的悟道なり。ここにおいて、理想に本体と現象との別あるを知るべし。物心万有は現象なり。現象の本体におけるは、影の形に伴うがごとく須臾しゅゆも相離れず、しかして二者その体一つなり。ゆえに、万有を推究してその神髄に体達しきたれば、ただちに理想の真光に接触すべく、また、理想の本体を悟了して目前の世界を照観しきたれば、事々物々の葉上に霊妙の露気を浮かぶるを感見すべし。三春の花香鳥語における、中秋の清風明月における、夏木の葱々そうそうたる、冬雪の皚々がいがいたる、一つとして美かつ妙ならざるなし。これすなわち、理想の真相の自然に外界に鍾発しょうはつしたるものにあらずしてなんぞや。けだし、理想の本体は宇宙六合りくごうを統轄する無限絶対の帝王にして、この世界に下すに物心二大臣をもってし、吾人をしてその二大臣の従属たらしむ。しかして、吾人の体の物心の二根より成るを知り、ひとたび心灯をかかげきたりて天地を照見するときは、たちまちそのいわゆる二大臣は、全く理想帝王の現象にほかならざるを知るべし。ああ、吾人この美妙なる世界に生まれながら、終身その真相を観見せずして死するもの多し。誠に哀れむべし。もしその人、一団の心灯を暗室に点じきたらば、一大天地たちどころに美妙の光景を現じ、破窓敝屋はそうへいおくもたちまち変じて金殿玉楼となり、衆苦多患の世界も仙境楽園となり、そのはじめ妖中の妖たる理想の大怪物、ここに至りて神妙、霊妙、高妙、玄妙、精妙、美妙を現呈し、徹頭徹尾、妙中の妙となるべし。この理を人に示すは実に妖怪研究の目的にして、さきに仮怪を払って真怪を開くとはこれ、これをいうなり。
 かくのごとく仮怪を払い去れば、人をして超然として迷苦の関門外に独立せしむることを得、また、かくのごとく真怪を開ききたらば、人をして泰然として歓楽の別世界に安住せしむることを得べし。ゆえに妖怪研究の結果は、心内の暗天地に真知真楽の光明を与うるにあり。これ余がその功、鉄路、電信の架設に譲らずというゆえんなり。
 世人、一方には妖怪を信じて事実明確、疑うべからざるものとし、一方にはこれを排して無根の妄説なりとす。しかして、これを信ずるものは、単にこれを真とするのみにて、さらにその真なるゆえんを証明せず。いわゆる独断なり。また、これを排するものは、単にこれを虚なりとするのみにて、さらにそのしかるゆえんを説示せず。これまた独断なり。しからざれば懐疑の弊を免れず。これみな説明の、そのよろしきを得ざるものにして、到底一致することなかるべし。けだし、この二種の論者の間に、一条の溝渠こうきょありて相隔つるによる。例えば、甲論者は現に妖怪を実視せりといい、乙論者はこれ神経作用なりという。しかして甲は、なにゆえに実視したるものは必ず真理なるやを証明せず、また乙は、神経作用そのもののなんたるを説明せず。ゆえをもって、世の文運の進むにかかわらず、旧来の妖怪依然としてその形を改めず、かえってその勢力を張らんとす。ここにおいて、余は哲学の利器を提げきたりて、一刀両断の断案をその上に下さんとす。
 余の妖怪説明は哲学の道理によるというも、妖怪中物怪のごときは、その説明は理学をまたざるべからず。また、人身上に発する妖怪のごときは、医学の解釈によらざるべからず。ゆえに余は哲学を礎とし、理学、医学を柱とし壁とし、もって妖怪学の一家を構成せんとす。
 妖怪の種類は、さきに大別するところによれば、物怪、心怪、理怪の三種に分かち、物怪、心怪を仮怪とし、ひとり理怪を真怪とするなり。今、「妖怪学講義」もこの分類に従って順序を立つべきはずなるも、余はこれを諸学科の上に考えて説明を与えんとし、かつ、『哲学館講義録』の上において講述せんとする意なれば、さらに左のごとき部門を設くるに至る。

妖怪学講義
第一類  総論
第二類  理学部門
第三類  医学部門
第四類  純正哲学部門
第五類  心理学部門
第六類  宗教学部門
第七類  教育学部門
第八類  雑部門
 これ実に講義の順序なり。もし、その各部門の種類を挙ぐれば左のごとし。
総論     定義、種類、原因、説明等
理学部門   天変、地異、奇草、異木、妖鳥、怪獣、異人、鬼火、竜灯、蜃気楼しんきろう、竜宮の類
医学部門   人体異状、癲癇てんかん、ヒステリー、諸狂、仙術、妙薬、食い合わせ、マジナイ療法の類
純正哲学部門 前兆、予言、暗合、陰陽、五行、天気予知法、易筮えきぜい御鬮みくじ淘宮とうきゅう、天元、九星きゅうせい、幹枝術、人相、家相、方位、墨色すみいろ、鬼門、厄年、有卦無卦うけむけ、縁起の類
心理学部門  幻覚、妄想、夢、奇夢、狐憑きつねつき、犬神、天狗てんぐ、動物電気、コックリ、催眠術、察心術、降神術、巫覡ふげきの類
宗教学部門  幽霊、生霊、死霊、人魂、鬼神、悪魔、前生、死後、六道、再生、天堂、地獄、たたり、厄払い、祈祷きとう、守り札、呪咀じゅそ、修法、霊験、応報、託宣、感通の類
教育学部門  遺伝、胎教、白痴、神童、記憶術の類
雑部門    妖怪宅地、怪事、怪物、火渡り、魔法、幻術の類
 これ大体の分類に過ぎず。そのうち二種もしくは三種の部門に関係を有するものあるも、余は講義の便宜に従って、随意に一方の部門にこれを掲ぐ。例えば幽霊のごときは、心理学に関係を有するもこれを「宗教学部門」に掲げ、巫覡のごときは、宗教学に関係を有するもこれを「心理学部門」に掲ぐ。また、卜筮ぼくぜい、予知法のごときは、間接に種々の部門に関係を有するも、直接に関係する部門なきをもって、純正哲学の一門を設けてその中に属す。別に妖怪宅地、怪事、怪物のごときは、種々の部門混合せるをもって、雑部門を設けてこれに摂す。これ、ただ便宜に従うのみ。かつ、この分類のごときも、学科上より見るときは不規律、不整頓の感なきにあらざるも、年来収集せる事実にもとづきて種目を定めたるをもって、かくのごとく部門を設けざるを得ざるに至れり。もし、さらに詳細の種目を列挙すれば左のごとし。
第一類  総論
第一編 定義  第二編 学科  第三編 関係  第四編 種類  第五編 歴史  第六編 原因  第七編 説明
第二類  理学部門
第一種(天変編)天変、日月、しょく、異星、流星、日暈にちうん※(「虫+兒」、第4水準2-87-58)こうげい、風雨、霜雪、雷電、天鼓、天火、蜃気楼、竜巻
第二種(地妖編)地妖、地震、地陥、山崩れ、自倒、地雷、自鳴じめい潮汐ちょうせき、津波、須弥山しゅみせん、竜宮、仙境
第三種(草木編)奇草、異穀、異木
第四種(鳥獣編)妖鳥、怪獣、魚虫、火鳥、雷獣、老狐ろうこ九尾狐きゅうびのきつね白狐びゃっこ古狸ふるだぬき腹鼓はらつづみ妖獺ようだつ猫又ねこまた天狗てんぐ
第五種(異人編)異人、山男、山女、山姥やまうば、雪女、仙人、天人
第六種(怪火編)怪火、鬼火おにび、竜火、狐火きつねび蓑虫みのむし、火車、火柱、竜灯、聖灯、天灯
第七種(異物編)異物、化石、雷斧らいふ、天降異物、月桂、舎利しゃり
第八種(変事編)変化へんげ、カマイタチ、河童かっぱ釜鳴かまなり、七不思議
第三類  医学部門
第一種(人体編)人体の奇形変態、死体の衄血じくけつ、死体強直、木乃伊ミイラ
第二種(疾病編)疫、痘、ぎゃく、卒中、失神、癲癇てんかん、諸狂(そう性狂、うつ性狂、妄想狂、時発狂、ヒステリー狂等)、髪切り病、恙虫つつがむし
第三種(療法編)仙術、不死薬、錬金術、御水、諸毒、妙薬、秘方、食い合わせ、マジナイ療法、信仰療法
第四類  純正哲学部門
第一種(偶合編)前兆、前知、予言、察知、暗合、偶中
第二種(陰陽編)河図かと洛書らくしょ、陰陽、八卦はっか、五行、生剋せいこく、十干、十二支、二十八宿
第三種(占考編)天気予知法、運気考、占星術、祥瑞しょうずい鴉鳴からすなき、犬鳴き
第四種(卜筮ぼくぜい編)易筮えきぜい亀卜きぼく銭卜ぜにうら歌卜うたうら太占ふとまに口占くちうら辻占つじうら兆占ちょうせん夢占ゆめうら御鬮みくじ神籤みくじ
第五種(鑑術編)九星きゅうせい、天元、淘宮とうきゅう、幹枝術、方位、本命的殺ほんみょうてきさつ八門遁甲はちもんとんこう
第六種(相法編)人相、骨相、手相、音相、墨色すみいろ、相字法、家相、地相、風水
第七種(暦日編)歳徳としとく金神こんじん八将神はちしょうじん、鬼門、月建げっけん、土公、天一天上、七曜、九曜、六曜、十二運
第八種(吉凶編)厄年、厄日、吉日、凶日、願成就日、不成就日ふじょうじゅび有卦無卦うけむけ、知死期、縁起、御弊ごへいかつぎ
第五類  心理学部門
第一種(心象編)幻覚、妄想、迷見、謬論びゅうろん、精神作用
第二種(夢想編)夢、奇夢、夢告、夢合ゆめあわせ、眠行、えん
第三種(憑付ひょうふ編)狐憑きつねつき、人狐にんこ式神しきがみ狐遣きつねづかい、飯綱いづな、オサキ、犬神、狸憑たぬきつき、蛇持ち、人憑ひとつき、神憑かみがかり、魔憑まつき、天狗憑てんぐつ
第四種(心術編)動物電気、コックリ、棒寄せ、自眠術、催眠術、察心術、降神術、巫覡ふげき、神女
第六類  宗教学部門
第一種(幽霊編)幽霊、生霊いきりょう、死霊、人魂ひとだま魂魄こんぱく、遊魂
第二種(鬼神編)鬼神、魑魅ちみ魍魎もうりょう、妖神、悪魔、七福神、貧乏神
第三種(冥界編)前生、死後、六道、再生、天堂、地獄
第四種(触穢しょくえ編)たたりさわり、悩み、忌諱きい、触穢、厄落とし、厄払い、駆儺くだ祓除ふつじょ
第五種(呪願じゅがん編)祭祀さいし、鎮魂、淫祀いんし祈祷きとう、御守、御札、加持、ノリキ、禁厭きんよう呪言じゅげん呪咀じゅそ、修法
第六種(霊験編)霊験、感応、冥罰みょうばつ、業感、応報、託宣、神告、神通、感通、天啓
第七類  教育学部門
第一種(知徳編)遺伝、白痴、神童、偉人、盲唖もうあ、盗心、自殺、悪徒
第二種(教養編)胎教、育児法、暗記法、記憶術
第八類  雑部門
第一種(怪事編)妖怪宅地、枕返し、怪事
第二種(怪物編)化け物、舟幽霊、通り悪魔、轆轤首ろくろくび
第三種(妖術編)火渡り、不動金縛り、魔法、幻術、糸引き
 以上数種の妖怪は、学科の部門に応じて八類に分かちたるものなれば、これを『哲学館講義録』に掲げ、第七学年度講義録をもって「妖怪学講義録」となさんとす。それ本館発行の講義録は毎年十一月上旬初号を発行し、翌年十月下旬に至りて完結するを例とす。よって、本年十一月上旬より発行する講義録に「妖怪学講義」を掲げ、これを他学年の講義録に区別せんために、第七学年度講義録と名付くるなり。しかして、その講義は理学、哲学諸科の原理に照らして説明を付するものなれば、これを通読するものにひとり妖怪の道理を知らしむるのみならず、あわせて各学科の大要を講究するの便を得せしめ、決して『哲学館講義録』の名義にたがわざらんことを期す。
 そもそも余が妖怪学研究に着手したるは、今をさること十年前、すなわち明治十七年夏期に始まる。その後、この研究の講学上必要なる理由をのべて、東京大学中にその講究所を設置せられんことを建議したることあり。これと同時に、同志を誘導して大学内に不思議研究会を開設したることあり。当時、余の意見に賛同して入会せられたるものは左の諸氏なり。
三宅雄二郎  田中館愛橘  箕作 元八  吉武栄之進  坪井 次郎  坪井正五郎  沢井  廉  福家梅太郎  棚橋 一郎  佐藤勇太郎  坪内 雄蔵
 しかして、その第一会は、明治十九年一月二十四日、大学講義室においてこれを開きたり。その後、会員ようやく増加せしも、余久しく病床にありて、その事務を斡旋することあたわざるに至り、ついに休会することとなれり。
 また、当時全国の有志にその旨趣を広告して、事実の通信を依頼したることあり。その今日までに得たる通知の数は、四百六十二件の多きに及べり。
 またその間、実地について研究したるもの、コックリの件、催眠術の件、魔法の件、白狐の件等、大小およそ数十件あり。その他、明治二十三年以来、全国を周遊して直接に見聞したるもの、またすくなからず。かつ数年間、古今の書類について妖怪に関する事項を捜索したるもの、五百部の多きに及べり。今その書目を挙ぐること左のごとし。
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妖怪学研究参考ならびに引用書目


 この書目は、余が手帖中に記載せるままここに掲ぐ。序次錯雑なるも、請う、これをゆるせよ。〔原本はいろは順の旧仮名遣いで配列されているが、五十音順に直した。〕

の部
※(「土へん+蓋」、第3水準1-15-65)嚢鈔あいのうしょう 東鏡〔吾妻鏡あずまかがみ〕 愛宕宮笥あたごみやげ 熱海誌 「アネロイド」晴雨計詳説及用法 阿弥陀経 安斎随筆 安政雑書万暦大成

の部
云波草いえばぐさ 伊香保温泉遊覧記 厳島宮路の枝折 医道便易 稲荷神社考 稲生物怪録いのうもののけろく 淫祀論いんしろん 印判秘決集 陰陽五行奇書

の部
宇治拾遺〔物語〕 雨窓閑話 空穂物語〔宇津保物語〕 雲萍雑志うんぴょうざっし

の部
永代大雑書三世相えいたいおおざっしょさんぜそう 永代重宝〔記〕 易学啓蒙 易学通解 易経 閲古随筆 江戸名所図会 淮南子えなんじ 淵鑑類函えんかんるいかん 延喜式

の部
王充論衡 往生要集 王代一覧 欧米人相学図解 大磯名勝誌 大雑書おおざっしょ 大雑書三世相 鋸屑譚おがくずばなし 小田原記 織唐衣おるからきぬ 温知叢書

の部
怪談御伽桜おとぎざくら 怪談御伽童おとぎわらわ 怪談実録 怪談諸国物語 怪談全書 怪談登志男としお 怪談録 貝原養生訓 怪物輿論よろん 河海抄 学芸志林 格致叢書 花月草紙 花史左編 家相図説大全 家相秘伝集 家相秘録 合璧事類がっぺきじるい 河図洛書示蒙鈔かとらくしょじもうしょう 仮名世説 漢事始からことはじめ 神明憑談かんがかり 元三大師百籤がんざんだいしひゃくせん 元三大師御鬮みくじ判断 閑散余録 漢書 観相奇術 広東通志 韓非子

の部
奇術秘法 鬼神新論 鬼神論 奇説集艸きせつあつめぐさ 奇説著聞集 木曾路名所図会 吉凶開示 亀卜秘伝きぼくひでん 救急摘方 救荒事宜きゅうこうじぎ 嬉遊笑覧 九星きゅうせい方位早操便覧 牛馬問ぎゅうばもん 窮理隠語 強識略 今古未発日時九星弁 近思録 近世奇跡考 近代世事談 禁中日中行事 錦嚢きんのう智術全書 禁秘抄きんぴしょう

の部
旧事記くじき 奇魂くしみたま 倶舎論くしゃろん 蜘蛛くもの糸巻 群書類従 群芳暦 訓蒙浅語 訓蒙天地弁

の部
※(「禾+丸」、第4水準2-82-80)苑日渉げいえんにっしょう 芸文類聚 桂林漫録 家語 ※(「くさかんむり/(言+爰)」、第3水準1-91-40)園十筆けんえんじっぴつ 言海 元元集 元亨釈書げんこうしゃくしょ 元史 源氏物語 儼塾集げんじゅくしゅう 玄同放言 原人論げんにんろん 元明史略

の部
孝経 考証千典 皇朝事苑 黄帝陰符経 黄帝宅経 弘法大師一代記 古易察病伝 古易八卦考 吾園随筆 後漢書 五行大義 国語 国史略 国朝佳節録 極楽物語 古語拾遺 古今考 古今事類全書 古今神学類聚抄 五魂説 古今著聞集 古今八卦拾穂抄ここんはっけしゅうすいしょう 古今妖魅考 古今類書纂要 五雑俎ござっそ 古事記 古始太元図説 古事談 五趣生死輪弁義ごしゅしょうじりんべんぎ 滑稽雑談こっけいぞうだん 諺草ことわざぐさ 護法新論 艮斎文略ごんさいぶんりゃく 今昔物語 昆陽漫録

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西国事物紀原 再生記聞 瑣語さご 三界一心記さんがいいっしんき〔三賢一致書〕 三元八卦九星方位占独判断 三国仏教略史 三国仏法伝通縁起 三才図会 三災録 三代実録 山堂肆考さんどうしこう 算法闕疑抄さんぼうけつぎしょう 三余清事

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塩尻 塩原繁昌記 史記 詩経 事言要玄集 地獄実有説じつうせつ 自娯集 事纂 子史精華事類統編 資治通鑑 地震考 七十五法名目みょうもく 視聴雑録 十訓抄じっきんしょう 実験須弥界説じっけんしゅみかいせつ 支那教学史略 島田幸安幽界物語 沙石集 拾芥抄しゅうがいしょう 周書 十八史略 宗門略列祖伝 周遊奇談 宿曜経 朱子語類 修善寺温泉名所記 出定後語じゅつじょうこうご 出定笑語 主夜神修法しゅやじんしゅほう 周礼しゅらい 荀子 春秋左伝 遵生八牋じゅんせいはっせん 春波楼筆記しゅんぱろうひっき 商家秘録 消閑雑記 蕉窓漫筆 掌中和漢年代記集成 成唯識論 初学便蒙集 諸活幹枝大礎学 書経 続日本紀しょくにほんぎ 続日本後紀 書言故事大全 諸国怪談空穂猿うつほざる 諸国奇談西遊記 諸国奇談東遊記 諸国奇談漫遊記 諸国奇遊談 諸国古寺談 諸国新百物語 諸国里人談 諸子彙函 庶物類纂 神易選 人家必用〔小成〕 人国記 新古事談 神社啓蒙 神社考 神籤しんせん五十占 神相全編〔正義〕 新続古事談 神代口訣くけつ 新著聞集 神童憑談ひょうだん 神皇正統記じんのうしょうとうき 神変仙術錦嚢きんのう〔秘巻〕 神幽弁論

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水経 隋書 水土解弁すいどかいべん 墨色指南すみいろしなん 墨色小筌しょうせん 墨色伝 駿台雑話すんだいざつわ

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聖学自在 星経 ※(「敖/耳」、第4水準2-85-13)ぜいご 正字通 精神啓微 西籍せいせき[#ルビの「せいせき」は底本では「さいせき」]慨論 清明通変占秘伝せいめいつうへんうらないひでん 清明せいめい秘伝速占 性理字義 性理大全 世事百談 世説 摂西せっさい奇遊談 説郛せっぷ 善庵随筆 山海経せんがいきょう 戦国策 洗心洞剳記せんしんどうさっき 仙台案内 先哲叢談 先哲像伝

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葬経 宋元通鑑 宋高僧伝 荘子 相州大山記 宋書 相庭高下伝 宋稗類抄そうひるいしょう 草木子 続高僧伝 続古事談 続文献通考 祖志 息軒遺稿 素問 徂徠集そらいしゅう

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大学 太極図説 〔大乗〕起信論 大聖日蓮深秘伝 大道本義 大日本史 大日本人名辞書 太平記 太平御覧 太平広記 高島易占 高島易断 太上だじょう感応篇 霊能真柱たまのみはしら 譚海たんかい 耽奇たんき漫録

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竹窓随筆 中古叢書 中庸 長寿食事戒 朝鮮征伐記 珍奇物語

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通変亀鑑

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庭訓往来ていきんおうらい 輟耕録てっこうろく 天元二十八宿指南 伝習録 天朝無窮暦 天地麗気記 天地或問珍てんちわくもんちん秉燭へいしょく或問珍〕 天変地異 天変地妖決疑弁蒙〔決疑弁蒙〕 天保大雑書てんぽうおおざっしょ 伝法智恵の海

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東海道名所図会 淘宮学とうきゅうがく軌範 淘宮学秘書 唐詩選 唐宋八大家 動物電気論 東方朔秘伝置文とうぼうさくひでんおきぶみ 東洋心理初歩 兎園小説とえんしょうせつ 読書録

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夏山閑話 南留別志なるべし 南翁軒相法 南斎志 南史 南朝紀伝 南畝なんぽ叢書

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二十八宿一覧表 日用晴雨管窺かんき 日用早覧 二程全書 日本往生全伝 日本居家秘用 日本歳時記 〔日本〕社会事彙 日本書紀 日本仏法史 日本風土記 二礼童覧にれいどうらん 人相指南 人相千百年眼 人相早学にんそうはやまなび

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年山紀聞 年中吉事鑑ねんじゅうきちじかがみ 年中行事大成 年中八卦手引草はっけてびきぐさ 年暦調法記

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農家調宝記 農政全書 信友随筆のぶともずいひつ

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梅園叢書 梅花心易掌中指南 売買極秘 馬関土産 博異記 博物筌はくぶつせん 博聞叢談 博覧古言 八門九星はちもんきゅうせい初学入門 八門遁甲或問鈔はちもんとんこうわくもんしょう 八卦辻占独判断 八宅はったく明鏡弁解 初夢歌合はつゆめうたあわせ 万金産業袋ばんきんすぎわいぶくろ 万物怪異弁断〔怪異弁断〕 万物故事要略 万宝大雑書ばんぽうおおざっしょ 万宝全書 万宝鄙事記ひじき 万暦ばんれき大雑書三世相大全

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秘事思案袋 秘事百撰 秘伝世宝袋 一宵話ひとよばなし 百物語評判ひゃくものがたりひょうばん〔古今百物語評判〕 百法問答抄 ※(「門<虫」、第3水準1-93-49)びんしょ

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風雨賦国字弁ぶこくじべん 巫学談弊ふがくだんぺい 袋草紙ふくろぞうし 不思議弁妄 扶桑ふそう見聞私記 扶桑略記 物学秘伝 仏国暦象編 仏祖統紀 物理訓蒙 物理小識 物類相感志 筆のすさび 文海披沙ぶんかいひしょう 文会筆録 文献通考

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秉燭譚へいしょくだん 秉穂録へいすいろく 闢邪小言へきじゃしょうげん

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法苑珠林ほうおんじゅりん 方角即考 方角重法記 方鑒必攜ほうかんひっけい 方鑒弁説 蓬生庵ほうせいあん随筆 茅窓ぼうそう漫録 ※(「竹かんむり/甫/皿」、第3水準1-89-74)※(「竹かんむり/艮/皿」、第4水準2-83-69)ほき 北越雪譜 卜筮早考ぼくぜいそうこう 卜筮増補※(「筑」の「凡」に代えて「卩」、第3水準1-89-60)もうきょう 北窓瑣談さだん 卜法ぼくほう類書 法華経 法華宗御鬮絵鈔みくじえしょう 本草綱目ほんぞうこうもく 本朝奇跡談 本朝高僧伝 本朝語園 本朝人相考 本朝年代記 本朝列仙伝 本命的殺即鑑ほんみょうてきさつそっかん

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まじなひ三百ヶ条 魔術と催眠術 魔睡術

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水鏡 道の幸 妙術博物せん 妙薬妙術集 民家必用永代大雑書三世相 民家分量記

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夢渓筆談 無量寿経

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明治震災輯録 名物六帖めいぶつろくじょう

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蒙求もうぎゅう 孟子 文選もんぜん 文徳実録

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夜譚随録やたんずいろく 大和怪異記 和事始やまとことはじめ 大倭国やまとのくに万物記原 大和本草

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唯一神道名法要集ゆいいつしんとうみょうほうようしゅう ※(「車+鰌のつくり」、第3水準1-92-47)ゆうけん小録 酉陽雑俎ゆうようざっそ 愈愚ゆぐ随筆 夢合長寿宝ゆめあわせちょうじゅだから 夢はんじ

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妖怪門勝光伝ようかいもんしょうこうでん 楊子太玄経 擁書ようしょ漫筆 妖婦録

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礼記 雷震記 羅山文集

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利運談 履園叢語 理斎随筆 琉球談 劉向りゅうきょう新序 梁書 旅行用心集 呂氏春秋

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類聚国史 類聚名物考

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霊獣雑記 暦講釈 暦日諺解 暦日講釈 列子 列仙伝 簾中抄れんちゅうしょう

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老子 論語

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和漢三才図会 和漢珍書考 和漢年代記集成 和漢名数 和漢洋開化年代記 和漢暦原考 和訓栞 和名類聚抄わみょうるいじゅしょう
その他、雑誌、新聞ならびに西洋書籍の目次はこれを略す。

 その書目中、極めて通俗卑近のものまでを掲ぐるは、妖怪の問題は通俗の間に存するもの多きによる。
 それ、余がこのことに拮据きっきょするや、ここに十年の星霜を経過すといえども、生来才学拙劣、究索その功を見ず。これに加うるに近年業務多端、もっぱら力をその一事に尽くすあたわず。忙裏荏苒じんぜん今日に至り、いまだ一回もその結果を世間に報告せざりしをもって、四方より妖怪事実を寄送せられたる諸氏は、これを督責してやまず。余、実に赧然たんぜんたらざるを得ず。ここにおいて、その研究の未熟を顧みず、匆々そうそう編成しきたりて、ここにこれを世に公にするに至る。その疎漏、誤脱の多き、余もとよりその責を任ず。碩学大家の嗤笑ししょうを招くも、またあえて辞せざるところなり。ただ余が微意は、さきに述ぶるがごとく、国家の隆治を助けて国民の本分を尽くさんとするにあれば、もしこのことにして幸いに文運の万一を裨補ひほすることを得ば、いずれの本懐かこれに過ぎん。余、もと無資無産なれば、実業を興して民力の伸暢を助くることあたわず。また、世情に暗く事理に通ぜざれば、政治を論じて国憲の拡張をはかることあたわず。ゆえに、その妖怪研究に着手したるは、余が衷情のやむべからざるに出ず。請う大方の君子、その微衷を察してこれを推恕すいじょせよ。
 哲学は余が専門とするところなれば、年来多少これを研究したるも、理学、医学に至りては、余の全く知らざるところなり。しかれども、この部分を欠きて妖怪学を完結することあたわざれば、ここにその二科を加うるに至りたるも、その説明のごときは、余の憶測をもって論断を下したるものすくなしとせず。これまた、専門の諸士の批正を請わざるを得ず。しかして、哲学に属する部分も、その学とも〔に〕既設の学科にあらずして未設の学科なれば、余の独断憶想にかかるものまた多し。もしその誤解に至りては、他日再考のうえ訂正を加うることあるべし。余自ら知る、この事業は一人一代の力よく成功を期すべからざるを。けだし、その大成のごときは、数世の後をまたざるべからず。ゆえに余は、ただその苗種を学田中に培養するのみ。
 妖怪の事業は多く東洋に伝わるものを収集し、西洋に存するものはわずかに参考として掲ぐるに過ぎざるは、その研究の目的、わが国の妖怪を説明するにあればなり。しかしてわが国の妖怪は多くシナより入りきたり、真に日本固有と称すべきものははなはだ少なし。余の想定するところによるに、わが国今日に伝わる妖怪種類中、七分はシナ伝来、二分はインド伝来、一分は日本固有なるもののごとし。ゆえに、わが国およびシナの書類は、微力の及ぶ限りひろく捜索したるも、西洋の書類は、わずかに数十部を参見せしに過ぎず。
 およそ妖怪の研究は卑賤の事業に似たるも、その関係するところ実に広く、その影響するところ実に大なれば、その説明のごときは、教育家、宗教家に必要なるは論なく、医師、文人、詩客、画工、俳優、史家、警官、兵士、政治家、法律家に至るまで、参考を要することは明らかなり。また、民間にありては、農工商のごとき実業に従事するもの、および婦人、女子に至るまで、みなことごとくその理を知るを要するは、余が弁をまたざるなり。ゆえに講義の目的は、広く通俗をして了解せしむるを主とし、例証はなるべく実際に適切なるものを選び、文章はなるべく簡易明瞭を本旨とし、他書引用のごときは、その書名、巻数、もしくは編名、丁数を掲げて、その捜索に便にす。読者請う、これを了せよ。
 余、先年この研究に着手せし以来、文科大学の速成を教授せんと欲して哲学館を創立し、また国学科、漢学科、仏学科の専門部を開設せんと欲して全国周遊の途に上れり。ゆえをもって、余の研究も一時中止せざるを得ざるに至れり。しかれども地方巡回の際、実地見聞したるものすくなからざれば、研究の一助となりしことは疑いをいれず。その巡回の場所は、このことに関係するところあれば、左に掲記すべし。
 巡回中滞在せし場所は、一道、一府、四十八国、二百十五カ所(もしこれにその際通行の国数を加うれば六十二国となる)。
伊勢国(山田、松阪、津、一身田、四日市、桑名) 尾張国(名古屋、熱田、津島、大野、半田) 三河国(豊橋、岡崎、北大浜、西尾、蒲郡、豊川) 遠江とおとうみ国(掛川、浜松、平田、中泉) 駿河するが国(静岡、小川、清水、藤枝) 相模さがみ国(大磯) 武蔵国(忍) 上総かずさ国(千葉、茂原) 近江おうみ国(大津、豊蒲、五ヶ荘、愛知川、八幡、彦根、長浜) 美濃国(岐阜) 上野こうずけ国(安中、松井田、里見、高崎、八幡) 岩代いわしろ国(福島) 陸前国(築館、一迫) 陸中国(盛岡、花巻) 陸奥むつ国(弘前、黒石、板屋野木、鰺ヶ沢、木造、五所川原、青森、野辺地) 羽前うぜん国(米沢、山形、寒河江、天童、楯岡、新庄、鶴岡) 羽後うご国(酒田、松嶺、湯沢、十文字、横手、沼館、六郷、大曲、秋田、土崎、五十目、能代、鷹巣、大館、扇田) 越後国(新井、高田、直江津、岡田、安塚、坂井、代石、梶、新潟、沼垂、葛塚、新発田、亀田、新津、田上、加茂、白根、三条、見附、浦村、片貝、千手、六日町、塩沢、小出、小千谷、長岡、大面、寺泊、地蔵堂、新町、加納、野田、柏崎) 丹波国(亀岡、福知山) 丹後国(舞鶴、宮津、峰山) 但馬たじま国(出石、豊岡) 因幡いなば国(鳥取) 伯耆国(長瀬、倉吉、米子) 出雲国(松江、平田、今市、杵築) 石見いわみ国(波根、太田、大森、大国、宅野、大河内、温泉津、郷田、浜田、益田、津和野) 播磨はりま国(龍野) 備前びぜん国(閑谷) 備後びんご国(尾道) 安芸国(広島、呉) 周防すおう国(山口、西岐波、宮市、徳山、花岡、下松、室積、岩国) 長門ながと国(馬関、豊浦、田辺、吉田、王喜、生田、舟木、厚東、萩、秋吉、太田、正明市、黄波戸、人丸峠、川尻、川棚) 紀伊国(高野山、和歌山) 淡路国(市村、須本、志筑) 阿波国(徳島、川島、脇町、池田、撫養) 讃岐さぬき国(丸亀、高松、長尾) 伊予国(松山、宇和島、今治) 土佐国(高知、国分寺、安芸、田野、山田、須崎) 筑前国(福岡、若松) 筑後国(久留米、吉井) 豊前ぶぜん国(小倉、中津、椎田) 豊後ぶんご国(日田) 肥前ひぜん国(長崎、佐賀) 肥後ひご国(熊本) 渡島おしま国(函館、森) 後志しりべし国(江差、寿都、歌棄、磯谷、岩内、余市、古平、美国、小樽、手宮) 石狩国(札幌、岩見沢) 天塩てしお国(増毛) 胆振いぶり国(室蘭)
 これよりこの「緒言」を結ぶに当たり、余の素志、宿望を述べて、天下の諸士に告げんとす。吾人は身心の二根によりて天地の間に樹立する以上は、真理を愛し国家を護するの二大義務を有するものなり。これを内に顧みては、心天雲深きところ真理の明月を開ききたりて、これを愛しこれを楽しむは学者の本分なり。これを外に望みては、世海波高きところ国家の砲台を築ききたりて、これを護しこれを防ぐは国民の義務なり。余は一人にして、この二大目的を達せんとす。ゆえに余、つねに曰く、「権勢の道に奔走して栄利を争う念なく、毀誉の間に出没して功名をむさぼる情なく、ただ終身、陋巷ろうこうに潜みて真理を楽しみ、草茅に座して国家を思うの赤心を有するのみ」と。その言、狂に近しといえども、余、朝夕心頭に銘じて片時も忘るることなし。さきに妖怪研究に着手し、つぎに哲学館を創立し、つぎに専門科開設を発表し、今また『妖怪学講義』を世上に公にするは、みな護国愛理の二大目的を実行せんとするものにほかならず。妖怪の原理を究めて仮怪を排し真怪をあらわすは、真理を愛するの精神にもとづき、これを実際に応用して世人の迷苦をいやし世教の改進をはかるは、国家を護するの衷情にもとづく。果たしてしからば、妖怪研究の一事、よくこの二大目的を兼行するを得るなり。
 それ、余は理想の実在を信ずるものなり。これを物界の上に考うれば、天地万有ことごとく理想の結晶、凝塊なるを信じ、これを人界の上に考うれば、皇室国体はまたみな理想の精彩光華なるを信ずるものなり。ゆえをもって、世界の上にありては、万有の美妙と心性の霊妙と相和して、天地六合ことごとく靄然あいぜんたる神気の中に浮かぶを見、国家の上にありては、皇室神聖の純気とわれわれ忠孝の元気と相映じて、国体全く霊然たる神光の中に輝くを見る。今、余が妖怪研究の結果、よく仮怪を排して真怪を開くを得ば、人をしてこの理に体達せしむることを得べしと信ず。近年、世情ようやく澆季ぎょうきに移り、人心ようやく菲薄ひはくに流れ、国体まさにその神聖を減じ、忠孝まさにその活気を失わんとするに当たり、広くこの理を開示するは、ひとり真理のために要するのみならず、実に国家の急務とするところなり。
 さらに一言を宗教、教育の上に加えて、この一論を結ばんとす。余おもえらく、今日の宗教家も教育家もともに、迷雲妄霧の中に彷徨ほうこうして帰宿する所を知らず。しかして、よくこの雲霧を一掃すべきものは、実に妖怪学の講究なり。妖怪学によりてこれを一掃するは、あたかも心田の雑草を鋤去じょきょするがごとし。ここにおいて、はじめて宗教、教育の苗種を繁茂せしむるを得べし。ゆえに余、まさに言わんとす、「妖怪学は宗教に入るの門路にして教育を進むるの前駆なり」と。宗教のいわゆる自力、他力の二宗も、ひとたび妖怪学によりて仮怪の迷雲をはらい去りてのち信念得道すべく、教育のいわゆる知育、徳育も、ひとたび妖怪学によりて真怪の明月を開ききたりてのち開発養成すべし。しかして宗教そのもの、教育そのものに至りては、やや余論にわたるをもって、ここにこれを述べず。これを要するに、妖怪学の目的は仮怪、仮妖を払って、真怪、真妖を開くにほかならず。余が巻首に提唱したる、心灯を点じて天地を読むとはこれをいうなり。ああ、これ人間最上の真楽にあらずや。そのつまびらかなるは、本論に入りて講述すべし。
〔原本(三版)には、このつぎに「妖怪学講義緒言に題す」という一文(明治二十六年八月十日付)が掲げられているが、すでに同文が本書十三頁八行目より十四頁二行目に掲載されているので、当該文は割愛した〕

参考書目拾遺


 前に掲げたる書目の外に参考せし書類、およびその後に参考書として購入したる書類を集めて、左にその〔書〕目を示す。〔原本はいろは順の旧仮名遣いで配列されているが、五十音順に直した。〕

の部
威儀略述 夷堅志いけんし 頤生輯要いせいしゅうよう 一言いちごん雑筆 因果物語

の部
雲臥紀談 雲室随筆 雲楽見聞書記

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英華故事 煙霞綺談 役君形生記えんくんぎょうしょうき 燕石雑志えんせきざっし 燕南記譚

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往生要集 往生要集指麾鈔しきしょう 思出草紙 温故要略

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怪妖故事談 垣根草かきねぐさ 学山録 鶴林玉露かくりんぎょくろ 嘉多比沙志かたびさし〔傍廂〕 学海余滴 伽藍雑記がらんざっき 閑際筆記 韓詩外伝 閑聖漫録 勧善懲悪集 閑窓倭筆 感応編かんのうへん

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擬山海経 鬼神集説 鬼神俚諺鈔りげんしょう 義楚六帖ぎそろくじょう 橘庵きつあん漫筆 祈祷感応録きとうかんのうろく 奇病便覧 笈埃きゅうあい随筆 教苑摘要 玉石雑誌 居行子きょこうし 近世百物語

の部
空華くうげ随筆 空華談叢

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荊楚けいそ歳時記 啓蒙雑記 啓蒙随録 芸林蒙求もうぎゅう 決疑弁蒙 現世利益弁げんぜりやくべん 顯密威儀便覧

の部
孝感冥祥録こうかんめいしょうろく 好生録 礦石集こうせきしゅう 広大和本草こうやまとほんぞう 国字蒙求こくじもうぎゅう 古今雑談集 故事文選 五朝小説 谷響集こっきょうしゅう 谷響続集 護法資治論 ※(「山+昆」、第4水準2-8-45)玉撮要集こんぎょくさつようしゅう 今昔拾遺物語 今昔夜話

の部
雑説嚢話ざつせつのうわ 簔笠雨談さりゅううだん 猿著聞集 山陰雑録 三界義さんがいぎ 山海里 三国塵滴問答 三才彙編 三才因縁弁疑 三才窺管 三才諸神本紀 三省録 三宝感応録

の部
慈恩伝 支干考 思斎漫録 地震海嘯考じしんかいしょうこう 七帖見聞〔天台名目類聚鈔〕 信田白狐伝しのだびゃこでん 事物紀原 持宝通覧 釈氏蒙求しゃくしもうぎゅう 釈氏要覧 釈門自鏡録 拾遺往生伝 拾遺記 拾遺三宝感応伝 宗鏡録 十七史蒙求 修身雑話 修験しゅげん故事便覧 修験三十三通記 修験道伝記 修験道便蒙 述異記 須弥山略説しゅみせんりゃくせつ 修要秘決集 春秋累筆 消閑雑記 笑戯自知録 想山著聞集しょうざんちょもんしゅう 小窓間語 松亭漫筆 聖鬮賛しょうきさん 諸国怪談実記 諸国故事談 除睡抄 塵荊博問鈔じんぎょうはくもんしょう 新語園 人国記 新沙石集 心性罪福因縁集 神道名目類聚鈔しんとうみょうもくるいじゅしょう 人物故事 神仏冥応論みょうおうろん

の部
随意録 瑞応塵露集 瑞兎奇談ずいときだん 蒭蕘集すうじょうしゅう

の部
西域記 西京雑記せいけいざっき 晴明せいめい物語 積翠せきすい閑話 施食せじき通覧 世説故事苑 禅苑蒙求ぜんおんもうぎゅう 僊術狗張子せんじゅついぬはりこ

の部
僧史略 捜神記 草茅危言そうぼうきげん 叢林集 続毘陽漫録 俗説弁 続蒙求 祖庭事苑

の部
大黒天霊験記 大蔵法数 大蔵輔国集 太平楽皇国性質たいへいらくみくにかたぎ 太上感応篇持験記 玉櫛笥たまくしげ 談鋒資鋭だんぽうしえい

の部
智恵鑑ちえかがみ 長命衛生論 長明発心集 樗山ちょざん漫筆 鎮火用心車

の部
通俗五雑俎 通俗和漢雑話

の部
提醒紀談ていせいきだん 天狗名義考てんぐめいぎこう 天竺往生験記 天柱五岳余論 天文義論 天文俗談

の部
唐才子伝 当世両面鏡とうせいりょうめんきょう 桃洞遺筆 唐土訓蒙図彙 童蒙故事談 東遊雑記 它山石とやまのいし

の部
南海寄帰伝 南嶺子なんれいし

の部
日月行道図解にちがつぎょうどうずげ 日本往生極楽記 日本人物史 日本霊異記 烹雑にまぜの記 庭の落葉 忍辱にんにく雑記 人天宝鑑

の部
梅窓筆記 博物志 万金産業袋ばんきんすぎわいぶくろ

の部
秘事睫ひじまつげ 秘密安心往生要集 百因縁集 百家※(「王+奇」、第3水準1-88-6)行伝きこうでん 白虎通 病堂策

の部
風俗通 福田殖種纂要ふくでんじきじゅさんよう 武家故事要言 扶桑隠逸伝ふそういんいつでん 扶桑怪談弁述鈔 扶桑故事要略 扶桑蒙求ふそうもうぎゅう 峰中根源記ぶちゅうこんげんき 仏牙舎利縁起ぶつげしゃりえんぎ 仏国暦象弁妄 仏舎利験伝 仏神感応録 仏祖通載 仏法蔵 分類故事要略

の部
報応影響録ほうおうようごうろく 法林輯要 北越奇談 北越七奇考 法華経持験記 法華霊験伝 本朝医談 本朝怪談故事 本朝高僧伝 本朝語園 本朝故事因縁集 本朝諸国風土記 本朝神社考 本朝捜神記〔扶桑怪談弁述鈔〕 本朝俗諺志ぞくげんし 本朝俚諺 翻訳名義集みょうぎしゅう

の部
万年草

の部
宮川舎漫筆みやがわのやまんぴつ 冥加訓みょうがくん 民間歳時記 民生切要録

の部
無鬼論弁

の部
名家略伝 明和神異記

の部
夜窓鬼談 夜談随筆 破柳骨やぶれこり 大和三教論

の部
愈愚ゆぐ随筆

の部
桜陰腐談よういんふだん 養生主論 養生嚢ようじょうぶくろ 養生弁 養生物語

の部
梨窓随筆 律相感通伝 隆興仏教編年通論 竜舒浄土文りゅうじょじょうどもん 両部神道口訣鈔りょうぶしんとうくけつしょう 霖宵茗談りんしょうめいだん

の部
霊魂問答

の部
撈海一得ろうかいいっとく〔漫画随筆〕

の部
和漢合壁〔夜話〕 和漢雑笈或問ざっきゅうわくもん〔和漢珍書考〕 或問止啼銭わくもんしていせん〔法界或問止啼銭〕





底本:「井上円了 妖怪学全集 第1巻」柏書房
   1999(平成11)年3月31日第1刷発行
底本の親本:「哲學館第七學年度講義録 妖怪學講義 合本第一册 緒言及總論」哲學館
   1897(明治30)年8月5日増補3版発行
初出:「妖怪學講義緒言」
   1893(明治26)年8月24日
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。
※〔 〕内は、底本編者が加えた補記です。
入力:門田裕志
校正:Juki
2021年5月27日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(https://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。




●表記について


●図書カード