芝の芽
土田耕平
芝の芽の萌えるころは
ふるさとの丘を思ひだす
ゆるやかにふわふわと雲の浮かんだ
あの丘山を
犬ころが走り
凧があがり
ぼくらは寝そべつてゐたつけが
「どこへ行かうかな」
「大きくなつたら」
「海へ――空へ――遠いところへ――」
誰やかれやみんな叫びあつた――
芝の芽の萌えるころは
ふるさとの丘を思ひだす
ゆるやかにふわふわと雲の浮んだ
あの丘山を
ああ誰もかれも
みんな大きくなつただらうな
●表記について
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