偏奇館吟草

永井壮吉




De la musique avant toute chose ――
Paul Verlaine.
詩は何よりもまづ音楽的ならむことを。
ポール、ヴヱルレーヌ

はしがき


わらふなかれ怪しむなかれ。
この集をひらきみる人。
この集に載せたる詩篇。
思出の言葉なきものあらざることを。
物一たび、去ればかへることなし。
かへらぬものはなつかしからずや。
あかるき今日の昼とても
暮れなばたちまちむかしなり。
休まざる時計のひゞきは
忘るゝな。思出でよと。
絶間なくわれにぞ告る。
思出は命の絲につながれし
珠のくさりに似たらずや。
命の糸のきるゝ時
まろびて珠は砕くべし。
でよ惜しめよ。思出を。
玉手箱のふたあけて
珠のかざりを取出す乙女の如くに
マルグリツトの如くに。
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なつうぐひす


樫の葉がくれ夕まぐれ。
夏うぐひすのつかれし調しらべ
何をかうたふ。
とりのこされて人里に
うらぶれて行くかなしみか。
かへりそびれし故里ふるさとの思出か。
老を歎かん。われもまた。
親しきものは皆去りぬ。
生きながらへてわれのみひとり。
むかしを慕ふ。
それかあらぬか
夏うぐひすのつかれし調しらべ
樫の葉がくれ夕まぐれ。
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からす


からす。
地獄の鳥。
月さえわたる庭にきて
蝉をな追ひそ。
合歓ねぶの葉は今しづかに眠り
合歓の花に露はかゞやく。
かなで続けし夏のしらべに
蝉はつかれていこへるを。
からす。
地獄の鳥。
汝飢ゑなば泥海の
干潟あさりて
くされしものをついばめ。
月夜の庭には
あかるき夏のあらゆる草木
その影もろともにいこへるを。
去れ。去れ。

からす。
地獄の鳥。
STYXスチクス の河辺はるかに。
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旧調きうてう


別れて後のいくとせ
またの逢瀬この世にて
かなはぬわけを知りしより
さとりの道をまなびしが。
さとりすませばまた更に
身にしみ/″\とさびしさの
堪へもやらねばそのむかし
いまだ悟らぬ宵ごとの
悩みもだえのさてなつかしと
せめては夢をたよりにて
夢のあふせをゆめみけり。
いのちあれば憂きおもひこそ絶えやらね。
さとればさびし鐘の声。
さとらねばつらし雨の音。
これが浮世。これが人の世。
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絶望ぜつばう


絶望は老樹の幹のうつろより深し。
幾年月の悲しみ幾年月の涙。
おのづから心の奥の底知れず
うつろの穴をうがちたり。
されど老樹は猶枯れやらず
残りし皮残りし骨に
あはれみにくき姿を日にさらす。
屈辱にひしがるゝ老の身は
義憤にうごめき反抗に悶えて
あはれいたましき形骸けいがいを世に曝す。
死は救の手なり虚無は恵なり。
吹けよ老樹にはあらし。
人の身には死よ。
されど願ふものは来らず
望むものは去る。
あはれあらしと死よ。
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こほろぎ


何とて鳴くや
庭のこほろぎ夜もすがら。
雨ふりそへば猶さらに
あかつきかけて鳴きしきる。
何とて鳴くや
こほろぎと問へど答へず。
夜のみならで
秋ふけ行けば昼も鳴く。
庭のみならで家のうち
くりやのすみにも来ては鳴く。

おもひ出しぬわかき時。
われに寄りそひ
わが恋人はたゞ泣きぬ。
慰め問へば猶さらに
むせびむせびて唯泣きぬ。

  何とて鳴くや
  庭のこほろぎ。
  何とて泣くや
  わが恋人。

たちまちにして秋は尽きけり。
冬もゆきけり。月日は過ぎぬ。
かくの如くにして青春は去りぬ。
とこしなへに去りぬ。

  何とて鳴くや
  庭のこほろぎ。
  何とて泣くや
  わが恋人。

われは今たゞひとり泣く。
こほろぎは死し
木がらしは絶え
ともし火は消えたり。
冬の夜すがら
われは唯泣くひとり泣く。
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小春こはる


小春の空の晴れつゞき。
返りさく山吹に蝶も舞ふなり。
いつはりの初夏。
去りゆく秋の名残り。
やるせなき思出の痕。
さめたる夢の消え行くかげ。
皆一瞬のまぼろしとは知れど
虚無のさびしさには優るべし。
されば堪へ難き悔と未練の苦しさも
われには嬉しわれにはいとし。
かへらぬよろこびの名残とおもへば。
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くらのくりごと


生きてかひなき身と知りながら
なにとて我は死なで在りや。
人の世には美とよぶもののあればなり。
美はいづこより来れるや。
美は詩篇より来る。
詩篇はたくみなる言葉より来る。
たくみなる言葉はいづこより来れる。
そはメロデイーより来る。
メロデイーはいづこより来れる。
そは悲しみより来る。
悲しみは人の本性より来る。
本性は伝統より来る。
伝統はいづこよりか来れる。
伝統は絶えざる人の世の流より来る。
さればわれ
生きてかひなき世と知りながら
今も猶死なで在り。
冬の日はさむし
冬の日はくらし。
われに与へよ。
わづかなるあたゝかさ。
つかのまの光を。
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ふゆくさ


風はなぎたり庭にでて
落葉かきつゝふと見れば
冬木のもとや石の下
名もなき草の芽ばえのみ
冬日に青くかゞやきぬ。

菊はしをれて垣は
鳩も声なく雀さへ
飢ゑてこゞゆる冬の庭。
踏まれながらに草の芽の
もゆるいのちぞいぶかしき。

いのちの泉さぐるとも
いかで解くべき世の謎を。
謎にも似ずや浮雲の
行方たづねて行くひまに
雲はあとなく消えぬべし。
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くちずさみ


夕やけ空の
  雨あがり
かゞやく雲を
  見るときは
なにか待たるゝ
  あすの空。
もとより捨てし
  世なれども。
のぞみは絶えし
  身なれども。

風に追はれて
  三日月の
水に落ちゆく
  影みれば
なぜか涙の
  さそはるゝ。
あきらめ果し
  身なれども。
つかれて飽きし
  世なれども。
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おほかみ


柴折りたきて旅人に
宿のおきなのかたりけり。

さむき夜には物皆飢ゑたり。
心して行け。わかき旅人よ。
暗き峠の夜道には
おくり狼といふけものあり。
道行く人のうしろに従ひ
その振返るを窺ひ飛つきて
のどぶえにくらひつくとかや。
されば旅人よ
踏み迷ふ山路に日のくれて
怪しき跫音きくとても
ゆめ/\後をな見たまひそ。
おもむろに行手を望みて
唯ゆきたまへ。
しののめの空しらみかゝれば
暗き夜にはびこるもの
おのづからひそみ隠れん。

消えかゝる焔ながめて
わかき旅人答へけり。

翁のなさけ、翁のをしへ
われなどか忘るべき。
さすらひの道のはたにも
教聞くこそ嬉しけれ。
人の世の末にも願くは教あれかし。
われは果なき途を唯ゆくべし。
過ぎこし方を顧みて何かはせむ。
わが来りし途のかなたには
恐怖と悔恨と屈辱の横はりしのみ。
かしこにわれは羨怨の牙鳴す蛇
糾弾きうだんの爪とぐ犬を見たりき。
翁よ。心やすかれ。
われは来しかたをかへり見ず
唯ゆくべし。
はてなきあこがれの空を仰ぎ
哀愁の泉を
忘却の林にいこひつゝ
唯行くべし。
さらば翁よ。
火は消えたり早やくいねよ。
われは行かんいざ行かん。
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日曜日にちえうび


ゆうべの雨にそぼぬれて
恋猫ひとりとぼ/\と
かへりて見ればわが家の
窓はとざされ戸口さへ
錠のさされてゐたりけり。

恋も忘るゝひもじさに
声をかぎりに呼びしかど
家の中には人気なく
騒ぐねずみの音ばかり
戸口あくべきやうもなし。

やがて鼠の声きけば
わが家の人はのこりなく
主人も妻も飯焚も
あそびに出でし日曜日
のどけき日足の猶高し。

猫はせんすべ尽きはてゝ
破れし恋のおもひでを
せめては夢と軒のした
つかれて寝れば屋根の上
女夫鴉めをとがらすのわらふ声。
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ふねうへ


声楽家×××女史のために

 さすらひの
身をななげきそ
 人の世は
ゆらるゝゆめの
 さだめなし
をさなきときは
 母の手に
ゆられてねむる
 ひざのうへ
むすめとなりて
 恋知れば
ゆめはゆらるゝ
 窓のかぜ
ふるさと遠し
 さすらひの
旅をな泣きそ
 人の身は
いつもゆらるゝ
 夢のかげ
行方はいづこ
 雲のかげ
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なみだ


声楽家×××女史のために

  泣きたいやうな
   かなしいことも
  泣くならせめて
   ふたりして

ふたりで泣けばかなしいことも
こゝろに残るおもひいで
消えずにのこるおもひいで
やがてうれしい夢になろ

  泣きたいやうな
   かなしいことも
  泣くならせめて
   ふたりして

ふたりで泣けばかなしいことも
泣いてゐるうち忘られる
せめてまぎれてわすられる
涙ふくなよこぼれても
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ふゆまど


作曲家××××氏のために

降る雨にさそはれて木の葉散る。
木の葉ちりては散りしく上に
そゝぎてやまぬ雨のこゑ。
ふと聞きとれてともし火も
ともし忘れし冬の窓。
宵闇よひやみの底に埋れて唯ひとり
さまたげられぬおもひいで。
したゝる雫のにつれて
ほしきまゝなる物おもひ。
誰にかたらむ誰にや告げむ
思出のこのさびしさと楽しさを。

そはバルコンの夕やみに
ふたり手をとり寄添ひて
眺めあかしゝ町はいづこぞ。
とちの木の間にきらめく燈火
車のゆきき人のかげ。

わかかりし其頃は二人とも。
町の灯の赤き光は燃る血潮。
車のひゞきは轟く胸の波。
広場をわたる河風に
花壇の花の香たゞよひて
かすかに聞ゆる糸のしらべ。
Harmonie de soir
暮方の楽の
Valse melancolique
Langoureux vertiges
かなしきワルス
くるめきのつかれ。

かの人は南のはて
わが身は東のはづれより
藝術たくみの道をまなぶべく
ふるさと遠き西の空。
あこがれし都の旅寝。
理想おもひは高し雲雀と共に
晴れわたる春の空。
希望はかゞやく秋の夜の
星のかずにもまさりしに。
一夜たちまち浮世のあらし。
渡鳥さへわたらぬ先に
涙の雨にたゞよひて
わかれわかれの岸の上。

絶望の沙漠にオワシスの影はなし。
無言の山はおごそかに掟の如く聳えたり。

三とせは過ぎぬ。
あるにかひなきわれは今
世のならはしに縛られて
こゝろは二ツ
身はいつはりのよそほひに
月日しづけき家のなか。

ふと聞く雨や風の声
宵闇の窓にたゝずみて
屋根の海原並木の雲
町の火影ほかげをのぞみ見て
過ぎこし方の思出
ひそかに耽る物おもひ。
誰にかたらむ誰にや告げむ
思出のこのさびしさと楽しさを。
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ハーモニカ


夜店の町のあかりさへ
二人は避けてそれとなく
抜ける横町河岸づたひ
橋にも遠き砂置場
石に腰かけかたりけり。

重く曇りし夏の夜は
宵より早くふけそめて
闇の底行く溝川の
あくたのなかの船の灯は
草の葉ずゑの蛍火か。

誰が家の子ぞ折からに
つゞく倉庫の向河岸
古き映画の忘られし
歌の一ふし繰返し
くりかへし吹くハーモニカ。

「アラあの曲は、ねえあなた。
去年の夏も今ごろよ。
あの映画見たかへりみち
雨もふり出す夜の河岸
あなた忘れはしないでしよ。」

「一生僕はわすれない。
その夜記念のプログラム
大事にしまつて持つてゐる。
もしも別れが来た時は
せめてはかない思出に。」

「あなた。わたしの真実まごころ
かたく信じておたがひに
強いこゝろで生きませう。
だけど何だか悲しいわ
どうして泣けてくるんでしよ。」

吹きくる風に行雲の
絶えまに出る八日月。
袖のしづくを照すとも
知らぬ向うのハーモニカ
とぎれては又つゞきけり。
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つばくろ


きのふの風けふの雨
河岸の柳は散つてゐる。
燕の群よ旅の支度はもうよいか。
冬の来ぬ中お前達は南へ行く。
時候はかはる世はかはる。
思ひかへせば桐の花
揚場のかしに匂ふころ
わが家の倉の軒下に
来て巣をつくる仮の宿
雛を育てゝもろともに
南をさしてかへり行く。
時候はかはる世はかはる。
燕よ支度はもうよいか。
河岸の柳は散つてゐる。
見ずや浮世の風のはげしさを。
お前達の行つたあと
わたしは店をしめるだらう。
あらしは烈しくなるばかり。
先祖のたてた老舗しにせも倉も
今年の風にはたまるまい。
燕の群よお前達は南へ行く。
わたし達はどこへ行く。
時候はかはる世はかはる。
燕の群よまた来る春に
お前達のまた来る時
今年の古巣はもうあるまい。
店は閉ざされ倉は倒れてゐるだらう。
さらばつばめよ。
さらば古巣よ。
さらばわが家わが老舗しにせ
時候はかはる世はかはる。
河岸の柳は散つてゐる。
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震災しんさい


今の世のわかき人々
われにな問ひそ今の世と
また来る時代の藝術を。
われは明治の児ならずや。
その文化歴史となりて葬られし時
わが青春の夢もまた消えにけり。
団菊だんきくはしをれて桜癡あうちは散りにき。
一葉いちえふ落ちて紅葉こうえふは枯れ
緑雨りよくうの声も亦絶えたりき。
円朝ゑんてうも去れり紫蝶してふも去れり。
わが感激の泉とくに枯れたり。
われは明治の児なりけり。
或年大地俄にゆらめき
火は都をきぬ。
柳村先生りうそんせんせい既になく
鴎外漁史おうぐわいぎよしも亦姿をかくしぬ。
江戸文化の名残けむりとなりぬ。
明治の文化また灰となりぬ。
今の世のわかき人々
我にな語りそ今の世と
また来む時代の藝術を。
くもりし眼鏡ふくとても
われ今何をか見得べき。
われは明治の児ならずや。
去りし明治の世の児ならずや。
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まどとり


うぐひすのまた来て鳴きぬ窓の竹。
去年こぞ来て鳴きしもこの鳥か。
春くるごとにをととしも
先をととしもわが窓に
来て鳴く声のおなじきに
思へば二十はたとせこの家に
文読むわが身はかはりけり。
わが身のみかは世のさまも
かはりかはりて古きもの
今は跡なく消えんとす。
あはれ鶯
いづこより来ていづこに去るや。
さすらひの定め知られぬ身ながらも
うたふ調しらべの年ごとに
かはりなきこそめでたけれ。
人のこゝろもかくぞあれ。
わがこゝろ、わがおもふ人の心。
願はくはかくぞあれかし
わが窓に鳴く小禽ことりの如くに。
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かどづけ


わしは門づけ
門づけのはかなき身こそ
をかしけれ。

はかなき身ぞと
門づけのさとれば易き
世わたりよ。

  「踏まれながらも
      土手の草
  露のめぐみに
      花もさく。」

わしは門づけ
門づけのはかなき身をも
うらむまじ。

  「目高はおよぐ
      たまり水
  目高はくぐる
      網の目も。」

わしは門づけ
門づけのはかなき身をも
おそれまじ。

  「逃げるそばから
      むらすゞめ
  つどへばすぐに
      また踊る。」

わしは門づけ
門づけのはかなき身こそ
あやしけれ。

  「ひるはかくれて
      よひ闇に
  はひでて歌ふ
      ひきがへる。」

風はさむくも
また今宵流しに行かう
うら町へ。

うら町ぬけて
色町へながしに行かう
たゞひとり。
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はと


ありがたや浅草の
大慈大悲観音薩※[#「土へん+埀」、261-3]のおんめぐみ。
定めなき人の世の幾百年
つきず絶えざる人の群。鳩の群。

おもへば我も幾十年
世は末ながら今もなほ
鳩とおなじく飢ゑもせで
鳩をながむる春の暮。

初てわが手をこゝに引き
鳩に豆まくたのしさを
共にながめてたのしみし
祖母はとく失せ母もまた
世になき人となりにけり。
やがてわが身はおひ立ちて
恋路の闇の二人づれ
末とげたさの念願を
籠めて御堂にいのりしも
風露一朝の夢なりき。
今来て見れば御手洗みたらし
あふるゝ水の音につれて
過し日の数かぎりなき思出
御堂の鉦の音と共に
浮び来りて望なき
老のこの身をなぐさむる。

ありがたや浅草の
大慈大悲観音薩※[#「土へん+埀」、263-1]のおんめぐみ。
老のこの身のいまはまで
守らせたまへ
わが胸の奥底ふかく
守らせたまへ
仮の世の消えぬべき思出を。
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墓詣はかまうで


過し世の蟲ばみし物の本
ふと読むまゝになつかしく
作者のこともおもはれて
ふけ行く秋の昼さがり
その墳墓おくつきをたづぬるに
場末の町のいくまがり
小家つゞきの道のはて
子供のさわぐ浄土寺
苔と落葉に埋れて
かけし地蔵ともろともに
はかなく残る石ひとつ。
手向たむけの花をさす竹の
筒もくさりて石ぶみの
文字も月日に消されたり。

南無阿弥陀仏。南無阿弥陀仏。
忘却の安けき国に遊べる君よ
歎き給ふな弔ふ人なき寂しさを。
君むしろ喜びたまへ
君が作品君が生涯
傷けられず皆そのまゝに残されて
現代文士が研究の
おそろしき犠牲とならざるを。
現代文士の研究は
君知らずや
わが名のために人の名を
砕きて食ふものなるを。

昼顔つゆ草猫ぢやらし
まかぬに生る草の花
これぞ手向の花なれや。
藪蚊こほろぎ絶間なく
寂滅為楽を唱へたり。
あゝ。忘られし君が墳墓おくつきの静けさよ。
願くはわが身の上にも疾く来れかし。
この静寂しづけさとこの果敢はかなさの疾く来れかし。
ひと日も早く。
南無阿弥陀仏なむあみだぶつ南無阿弥陀仏なむあみだぶつ
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影法師かげぼふし


夜はさむし燈火はくらし。
わが影法師われに問ひぬ。
君六十年書を読みて
何をか得たる。
君六十年ぶんりて
何をか得たる。
われは答へつ。
世のにくしみ人のそしり
この他に得たるもの我知らず。
思へばはかなき世なりけり。
わが師とわが友とは皆疾く去りぬ。
わかき人々のねたみそねみ
あなどりとさげすみと。
わが六十年の収穫はこれなりき。
帰去来兮かへんなんいざ
われに従ふもの今汝のみ。
帰去来兮。
われ立んとする時
ともし火は消えぬ。
ともし火消えて
影法師もまた去りぬ。
われを捨てゝまた去りぬ。
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拷問がうもん


人の世は牢屋ひとやなり。
鬼来りてわれをさいなむ。
わがはらわたいたみてきれもやせむ。
わが胸は裂けむとし
わがかしらは砕かれなむ。
わが五体或時は氷のごとく
またある時は※(「火+稲のつくり」、第4水準2-79-87)のごとし。
白衣びやくえ男女なんによおもてをつゝみ
あまた来りてわれを捕へ
刀もてわがししむらを裂きぬ。
針つきさして薬液を
つぎこむ時もあまたゝび。
わが髪常に切られて捨てられつ。
冬くれば猿ぐつわ、
夏くれば蚊帳のひとや汗の釜ゆで。
あはれ審判さばきの庭に
何聞かんとてや
われ等の神よ
などかくまでにわれをさいなむ。
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堀割ほりわり散歩さんぽ


汐の満干みちひに大川の
水は休まずながるゝを。
町の中なる堀割の
水は濁りて橋のした。
岸によどみてとゞこほ
浮ぶあくたともろともに
むされて腐れ
腐れてこゝに沈み行く。
腐れて沈む水の色。
絵師も知らじ。
蒸さるゝ水より湧く匂。
薬師くすしも知らじ。
腐りて沈む水の色
よろこび見るは何人ぞ。
蒸されて放つごみ
おそれず嗅ぐは何人ぞ。
沈滞は腐敗のみなもと
腐敗は悪臭の泉なり。
一代の栄華極りて腐れ
腐れて革命の嵐は来る。
はかなき人の世の行末や
よろこびも悲しみも
一たび倦怠けんたいの瀬によどめば
腐りて沈む虚無の淵。
声なき声はこゝより起りて
世をのろひ
匂なき匂はこゝより発して
人を病ましむ。

われは生れて町に住む
よどみし時代の児なりけり。
朝な夕なに堀割の
岸に杖ひく身なりけり。
冬ざれし溝川の汚きながめは
わが思出の世なりけり。
ごみの重さに芥船の動きかねたる悩みこそ
悔にもだゆるわが身ならずや。

わがうたふ歌をな聞きそ。をとめ子よ。
わが手かなづる琴をな聞きそ。ますらをよ。
わが歌きくは橋の下
芥をしとねの乞食あり。
わが琴きくは辻君の
過行く人を待つなるべし。
わが歌きゝそ乙女子よ。
わが琴きゝそますらをよ。
われは生れて町に住み
濁りし水のくされ行く
岸に杖ひく身にぞありける。
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落花らつくわかぜ


庭のうぐひすは
ふる里の谷間をおもひて啼く。
われはかへらぬむかしを思ひて歎く。

庭のうぐひすは
谷間にかへる日もあらむ。
その声なめらかにしてよろこびあり。

わが嘆きには
絶えし望の遣瀬なければ
その声枯れて聞く人もなし。

琴の絲
一たび断えては
誰かつぐべき。

わかき日のよろこび
一たび過ぎては
いつか還らむ。

君きかずや。
今日鬢絲禅榻畔こんにちびんしぜんたうのほとり
茶烟軽※(「風にょう+昜」、第3水準1-94-7)落花風さえんかろくひるがへるらつかのかぜ
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夜半よはかぜ


夜半の風何故に
いこへる木立をゆする。
木立何ゆゑに
かなしく歎く。

われ何故に
ひとり眠らず
夜のくらさに
何をか求むる。

さびしさは空に在り。
かなしみは夜に潜む。
空はさゝやき
土はなげく。

夜の魂は木立を覚し
木立のせいは人を呼ぶ。
声しめやかに
響しづかに。
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いぬこゑ


ふけわたる闇の夜を
  さびしければや
   犬吠ゆる。

消えかゝるともし火に
  われなど泣くや
   しのび音に。

犬なけばかなたより
  その友きゝて
   答ふるに。

われはそも何故に
  人聞けがしに
   叫ばざる。

うたがひとあなどりの
  世をおそろしと
   知るからに。
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すずめ


つれ/″\に雀馴らそと勝手口
ぱんの屑やら飯の粒
朝夕わすれずいてやる。
いてやつても雀は馴れず
戸のあく音に人の影
見れば雀はすぐにげる。
逃るを見れば猶更に
馴らして見たいものずきを
雀知るやら知らぬやら。
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暮春ぼしゆんには


晴れわたりぬ春の空
遠く聞ゆる花火の響人の声。
車の音もまじりたり。
けふは祭の日なりけり。
かどとぢて外にな出でそ。
町にな行きそ。
町には酔どれ押合ひ
車に人の争ふ日なり。
家にゐよ。庭を歩まむ。
若芽の垣にかこはれて
庭はしづかに苔ふかし。
春の名残の花は散り
しひの落葉はつもりたり。
散る花もろとも常磐木の
落葉をかけば時ならぬ
秋の夕のさびしさに
色なき月は空にあり。
ものうき鐘はおのづから
惜春せきしゆんの賦を奏るを。
われ一人きくそのしらべ
われ一人立つ庭のすみ。
さびしき思は落葉に似たり。
掃くとても掃くとても
積りつもりて限り知れねば。
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無題むだい


君心ありてわれを憐れまば
ねがはくは来りてわが門をたゝくなかれ。
われ一人住むといへど
幾月日いくとしつき[#「幾月日の」はママ]過ぎ来しかた
思出の夢のかづ/\限り知られず。
夏冬に散る窓の落葉は
言葉なき言葉にわれとかたらふ。
うぐひすは春の行く時
遣瀬なき思ひをわれに告げ
秋雨さむき夜となれば
声をかぎりに※(「虫+車」、第3水準1-91-55)こほろぎ
いまはの苦しみをわれに訴ふ。
果してわれは友なきや
果してわれはさびしきや。
君わがかたくななるを怒らずば
冀くは来りてわがかどを叩くなかれ。
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海月くらげうた


海月の歌以下四篇は大正二年われ父を失ひしころの所作なり

歌はむと欲すれども
生れながらに覚えたるわが言葉には
いんもなく旋律もなし。
旋律なく韻もなき言葉を
詩をつくらむとするはかなさは
骨もなく鰭もなき海月くらげの嘆か。
いづくと知らず心の波のうごくにつれて
たゞ浮び行くのみ。
流れ行くのみ。
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やま


山の手の昼ぞさわがしき。
山の手のわが家の垣にさく花は
砂利ひく車の地響に
しづ心なく散りて落つ。

山の手の夜ぞおそろしき。
山の手の空に鳴りわたる鐘の音に、
わが机の上のともし火は
ゆらめき動きて消えんとす。

山の手の年月はさびしく悲し。
もの言はば唇さむく吹く風に
かたくも窓をとざしてあれば。
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※(「糸+條」、第4水準2-84-53)さなだむし


わが父食ふべきゑばを欠し給はざりしかば
われ年久しく鳥の如く歌ふを得たり。
わが父常に美衣を購ふにやぶさかならざりしかば
われ宛ら宮廷の詩人の如くに奢るを得たり。
わが父のしゝむらに食ひ入りし
耳もなく目もなき※(「糸+條」、第4水準2-84-53)さなだむしのわが身よ。
わが父俄に病みたまふ。
嗚呼われ町に走りて
名医をたづねんか。
山に上りて仙薬を探らんか。
わが父すこやかなれば
※(「糸+條」、第4水準2-84-53)蟲のわが身とこしなへに餓ゑじ。
とこしなへに肥えなん。
わが思立つ孝のこゝろぞおそろしや。
おそろしや。いとはしや。あさましや。
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不浄ふじやうなみだ


われ父をうしなひし時
人々はおごそかにして清き父の名の下に
みだりに汚れたるわが名を連ねはやしき。
人々よ。われをな咎めそ。
われ父の死に臨みて人々の如くに
たやすくすみやかに声たかく
なげくこと能はざりしを。
われはあまりにおそれたるなり。
あしき藝術の夢にふけりて
馴れし不浄の心をもて
みだりにほしいまゝに
父の死を悼まんことを
われはあまりにおそれたるなり。
「救の主イヱスよ。
おん身を愛せとや。
そはあまりに畏れ多し。
われいかでか敢てし得べき。
今更おん身を愛することを……。」
思出づ。ヴヱルレーヌが詩のひとくだり。
われは悔恨のひと屋の中に
唯ひとり忍び音の
外に漏れんことをおそる。
Seigneurセニウール, c'est tropツロ !
Vraimentウレーマン jeジユ n'oseノーズ……
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※(「虫+車」、第3水準1-91-55)こほろぎ


泣いても泣いても
泣き足らで
夜は夜もすがら
昼さへも
猶泣きやまぬ※(「虫+車」、第3水準1-91-55)こほろぎ
その悲しみは
知らねども
あらんかぎりの
悲しみを
声のありたけ
泣きすだく
※(「虫+車」、第3水準1-91-55)の身ぞ羨し。

※(「虫+車」、第3水準1-91-55)よ。※(「虫+車」、第3水準1-91-55)よ。
泣くに泣かれぬ
悲しみに
泣かぬ人ある人の世の
その悲しみを
なれ知るや。
われに教へよ。※(「虫+車」、第3水準1-91-55)よ。
泣くに泣かれぬ
悲しみを
泣かで忘るゝ道あらば
われに教へよ※(「虫+車」、第3水準1-91-55)よ。
が泣く声に
また今宵
寝もせであかす人の世の
わがくるしみを
おもへかし。
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雨蛙あまがへる


雨蛙は青し青し。
草よりもみどりに
木の葉よりも青し。

科学者曰く
これ動物の保護色なり。
その身をまもるころもなり。

借問す人の世に
身を守るころもありや。
あらばとく着よ。

疾く着てあゆめ
長安の大道を。

傘さして人皆行かば
汝もゆけ傘さして。

空は照るとも
くもるとも。
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武器ぶき


生けるもの皆武器を持てり。
食を得んがためなり。
身をまもらんがためなり。
猫に爪あり。犬に牙。
人の世に住む弱きもの。
歌ひよ。詩人うたびとよ。
人の世に住む弱きもの
汝等そも何をか持てる。
まどはしの言の葉持てり。
世に媚び人におもねり
おのれを欺く
まどはしのたくみを知れり。
笑ふなかれ憎むなかれ。
人に向ひて道を説き
かくれてひとり酒のむ者を。
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秋窓風雨夕しうさうふううのゆふべ


原作紅楼夢第四十五回

いたましや秋の草花しをれ果て
その葉もいまは黄ばみたり。
すみわたる燈火に夜はふけやすく
見て飽かざりし窓の眺もつき果てぬ。
吹き添ふ風ふり添ふ雨のわびしさに
つれなくもきのふにかはる秋のいろ。
緑やさしき木蔭の夢はとくさめて
幾夜ねられぬ憂きおもひ。
引きまはす屏風のかげ燈火かき立つれば
蝋燭のながす涙にあたり明く
いとし恋しのいや増すばかり。
別れし後のさびしさ又一層ひとしほの切なさや。
あはれ秋風の吹入らぬ奥庭なきや。
秋雨の音のきこえぬ窓もがな。
夜のしとね重ねても重ねても肌薄く
ふけ行く時計の音につれていよゝ烈しき雨の声。
宵々ごとに降りまされば
宵々ごとにさびしさのみぞ増り行く。
霧か烟か庭もせに雨は音なくふる日あり。
さびしき窓にさら/\と竹の葉鳴す夜もあり。
待てどくらせど晴れぬ空
降りつ濺ぎつはてしなき雨と涙に我心
朽ちなば朽ちよ窓の簾ともろともに。
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ながきわかれ


原作 Lucie ― De Musset

  われ亡き後我友どち願くは
  一もとの柳を植ゑよおくつきに。
  あはれ頼りなげなる姿、柳の木立。
  淡き葉色のいとしさは
  柔きかげやつくらむ
  やがてこの身も眠るべきおくつきに。

われと乙女。その夜唯ふたりのみ。
ひしと寄添ひゐたりけり。
乙女は頭傾け白き指先運ばせて
深き思ひにくれつゝもクラブサン奏ではじめぬ。
されど其曲はさゞめきの声のごとく
そよ風遠く蘆のしげみを渡りつゝ
ねぐらの禽をさまさじと気づかふ如くしめやかなりき。
さびしくもふけ行く夜半のあたゝかき快感
花のしべより湧き出でて二人の身をば囲みたり。
広き庭に茂りしとちと年ふりし槲の木立
露に濡れつゝしめやかに其葉をゆする。
乙女とわれとは心澄して夜の底に耳傾けぬ。
半ひらきし窓よりは酣なる春夜の薫
絶るまもなく漂ひ来れり。
風は沈みて響なく牧場は寂として静なり。
乙女とわれと唯二人物も得言はず寄添ひゐたり。
乙女とわれと其時年は十五なりけり。
われは乙女リユシイがおもてを見まもりぬ。
リユシイは色蒼白く其髪はブロンドなりき。
其のやさしき目容まなざしは青空の如く澄み
青空の如く神秘なりき。
恍惚としてわれは其美に打たれぬ。
この人よりも美しきものこの世にありや。
されど乙女の身より湧出る気高さに
わが恋は妹を思ふ愛なりけり。
二人はしばらく黙然として言葉なし。
わが手はいつかその手に触れぬ。
われは夢みる如く憂はしくも又優しき
その額をのみながめやりぬ。
われは始て人の世の苦しみを慰むるもの
形容と情緒こゝろのうら若さ。平和と幸福のうら若さ。
この二ツのみなるを思ひ知りぬ。
月は雲なき空にのぼりて
白金の長き光に乙女の面をひたしたり。
乙女はその面影わが眼の底にやどれるを知りしにや。
天使の如くほゝゑみて
歌の一ふしうたひ出しぬ。
  ………………………
  ………………………
あゝ憂愁の女性よ。
HARMONIEアルモニー HARMONIEアルモニー
そも/\愛のために詩人のつくり出しゝ
アルモニイといふこの言の葉。
そは知れざる空の彼方より起りて
伊太利亜の地に堕ち伊太利亜より移りて
わが仏蘭西にまで響き来りし言葉なり。
心の秘密を包みしまゝにかよわき乙女の
唯それとしもなく打ちあけし
心と心に通ふ優しき無声のこの言の葉よ。
わが胸よりほとばしり出る呼吸いきづかひ
乙女の汚れなき吐息に打まじりて
その悲しさはその心にひとしく
そのやさしさはその響に同じく
悩める身にのみ唯あきらかに聞え
あきらかに通ずる無言の声。
よしやこぼるゝ涙人の目に触るゝとも
深き心は森の秘密、夜の秘密。
海の秘密の如く人には知られじ。

二人は深き思に沈みて寄添ひゐたり。
われは乙女が面を見まもりぬ。
かなづるロマンスの一ふし。そのひゞきは
二人が身中に進み入りて呼びつ応へつするが如し。
乙女は重たげに其顔をわが身の上に寄掛けたり。
さながらに曲中の「をののくデスデモナ」となりし
心地やしたりけん。乙女は泣きぬ。
あはれ乙女は悲しげにわが接吻くちづけを許しけり。
わがなすまゝにわが接吻をゆるしゝは
そが悲しみのためなりき。
われは程もあらせず冷かに青ざめし
乙女を抱く身となりぬ。
二月過ぎて乙女は墳墓おくつきに運ばれぬ。
かくして汚れなき我愛の花は萎れしなり。
その死は微笑に似たりし其生の
やさしきが如くやさしかりけり。
乙女のむくろは幼きまゝのこゝろにて
神の御手みてに返されしなりけり。

けがれなき人の住みたりし
その家の神秘なるやさしさよ。
歌と、愛の夢と、よろこびと
また無邪気なる物がたり。
マルグリツトが家の門口に
フオーストも入りかねてためらひし
罪なく打明けし心の愛らしさ。
わかき日のけがれなき心のなつかしさ。
あはれ乙女よ。その胸にその思出に
ふかき平和の宿れかし。さらば。
さらば。夏の夜に細き指先運ばせて
かなでし象牙のクラブサン。
その調今はとこしなへに消えて失せたり。

  われ亡き後わが友どち願くは
  一もとの柳を植ゑよおくつきに
  あはれ頼りなげなる姿、柳の木立。
  淡き葉色のいとしさは
  柔きかげやつくらむ
  やがてこの身も眠るべきおくつきに。
〔一九四六(昭和二一)年九月五日、筑摩書房『来訪者』〕





底本:「荷風全集 第二十巻」岩波書店
   1994(平成6)年10月28日発行
底本の親本:「來訪者」筑摩書房
   1946(昭和21)年9月5日第1刷発行
初出:海月の歌「三田文学 第四巻第二号」三田文学会
   1913(大正2)年2月1日
   山の手「三田文学 第四巻第二号」三田文学会
   1913(大正2)年2月1日
   ※(「糸+條」、第4水準2-84-53)蟲「三田文学 第四巻第二号」三田文学会
   1913(大正2)年2月1日
   不浄の涙「三田文学 第四巻第二号」三田文学会
   1913(大正2)年2月1日
   夏うぐひす「女性 第一巻第二号」新生社
   1946(昭和21)年5月1日
   ハーモニカ「女性 第一巻第二号」新生社
   1946(昭和21)年5月1日
   涙「女性 第一巻第三号」新生社
   1946(昭和21)年6月1日
   口ずさみ「女性 第一巻第三号」新生社
   1946(昭和21)年6月1日
※表題は底本では、「偏奇館吟草       昭和十八年十月編」となっています。
入力:hitsuji
校正:きりんの手紙
2020年3月28日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(https://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。




●表記について

「土へん+埀」    261-3、263-1


●図書カード