たくあんの話をしてみよう。
今日食べたたくあんは、加賀の
山代のも、多量のぬかを使っていて、ぬかの中からたくあんを掘り出す感があるが、このようにぬかを多く使用することは、うまいたくあんを作るコツである。
東京のたくあんの漬け方は、黄色の色素でカムフラージュされていて、うまくない。これは明らかにぬかの少ないせいだといえよう。
ついでにいうと、やさいでも、魚でも、総じて寒帯地方のものがよい。北海道で獲れるさけ、ます、にしん、棒だらが美味であることなど、その一例である。
一概にはいえないが、暖地で間違いないのはくだものであろう。くだもの類は概して暖地に名果ができるものである。
(昭和九年)