「はてな、みなれない ねこだが。」
と、からすねこは たちどまりました。
「もしもし、この へんに すむ ものなら、わたしを しらぬ はずが ない。おまえは どこの ものだ。」
と、からすねこが ききました。
「わたしは このごろ こして きた ものです。」
と、ペルシャねこが こたえました。
「そうだろう、これから おいしい ものが あったら わたしの ところへ もって おいで。わたしは この あたりを うろついて いるから。」
と、からすねこが いいました。
この とき、つよそうな ブルドッグが きました。からすねこは どこへ にげようかと みがまえを しました。
けれど ペルシャねこが にらむと、ブルドッグは あちらへ いって しまいました。
「ごらん、いぬでさえ わたしを おそれて いるのだ。」
と、からすねこが いばりました。ペルシャねこは これを きいて おかしそうに、
「あれは うちの いぬで、わたしを まもって いるのです。いじわるを すると いいつけますよ。」
と いいました。からすねこは びっくりして にげて いきました。