怪談牡丹灯籠

古道人

鈴木行三校訂・編纂




孔子は恠力乱神かいりょくらんしんを語らずといい給えども左伝さでんには多く怪異の事をせたり又中庸ちゅうように国家まさおこらんとすれば禎祥ていしょう有り国家まさほろびんとすれば※(「薛/子」、第3水準1-47-55)ようげつありと云うを見れば世の中には不可思議無量の事なしと言いがたこと仏家ぶっかの書には奇異の事をいだこれ方便ほうべんとなし神通じんつうとなして衆生しゅじょう済度さいどのりとせりの篇に説く所の怪事もまた凡夫ぼんぷの迷いを示して凡夫の迷いを去り正しき道に入らしむるのしおりとするめなれば事の虚実はまれかくまれ作者の心を用うる所の深きを知るべし

古道人





底本:「圓朝全集 巻の二」近代文芸資料複刻叢書、世界文庫
   1963(昭和38)年7月10日発行
底本の親本:「圓朝全集 巻の二」春陽堂
   1927(昭和2)年12月25日発行
※「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の表記をあらためました。
総ルビの底本から、振り仮名の一部を省きました。
入力:小林繁雄
校正:仙酔ゑびす
2010年2月8日作成
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