![表紙絵](fig51347_01.png)
![口絵1](fig51347_02.png)
![口絵2](fig51347_03.png)
マグレガーさんと ピーターと ベンジャミンの ちいさな おともだち みんなへ
![挿絵1](fig51347_04.png)
なんでも レタスを たべすぎると “さいみんこうか”が あるそうです。
わたしは レタスを たべても ねむくなんか なりませんが、 そうはいっても わたしは あなうさぎでは ありません。
さいみんこうかが てきめんだったのは、 なによりも ばにばにきょうだいの ことなのです!
![挿絵2](fig51347_05.png)
おとなに なった ばにばにベンジャミンは いとこの フロプシーと むすばれました。 だいかぞくを つくったこともあって、 せいかつは かつかつでしたが とても にぎやかでした。
こどもたちの それぞれの なまえは わすれてしまいましたが、 まとめて フロプシーさんとこの ばにばにきょうだいと よばれています。
![挿絵3](fig51347_06.png)
いつも まんぞくに たべられたわけでは ありませんので ―― ベンジャミンは はたけを もっている フロプシーの おとうと、 あなうさピーターのところへ いっては、 よく キャベツを いただいていたものです。
![挿絵4](fig51347_07.png)
たまに あなうさピーターのところにも わける キャベツの ないことが ありました。
![挿絵5](fig51347_08.png)
そういうときには ばにばにきょうだいが のはらを こえて、 マグレガーおじさんの おにわの うらにある おほりの なかの ごみやまへと むかいます。
マグレガーおじさんの ごみやまは ごちゃまぜに なっていて、 ジャムのびんが あったり かみぶくろが あったり、 はたまた しばかりきに かられた くさの かたまり (これは いつも べとべとで)、 それから くさった ペポカボチャが ころころ、 はきふるしの ブーツが ひとつふたつ。 ところが あるひ ―― なんということでしょう! ―― そだちすぎて はなまで さかせてしまった レタスが まとまったかず みつかったのです。
![挿絵6](fig51347_09.png)
ばにばにきょうだいは それはもう レタスを たらふく たべました。 すると じゅんじゅんに 1ぴきまた1ぴきと ねむけに まけて、 かられた しばのうえに そのまま たおれていきます。
![挿絵7](fig51347_10.png)
ベンジャミンは こどもたちほど やすやすと まけはせずに、 おちてしまうまえ あたまに かみぶくろを かぶって はえよけにするくらいには めを あけて もちこたえていました。
![挿絵8](fig51347_11.png)
ばにばにきょうだいは あたたかい ひざしのもと すやすやと ねむっています。 おにわの むこうの しばちからは とおく しばかりきの カタカタという おとが きこえてきます。 おほりの へりのあたりで あおばえが ぶんぶん いったり、 1ぴきの ちいさな おばさんねずみが ジャムのびん ふきんの ごみを あさったり していました。
(わたしには なまえも わかりますよ、 おねずみトマシーナ、 おっぽの ながい もりねずみです。)
![挿絵9](fig51347_12.png)
そのねずみさんが かみぶくろのうえを かさこそ、 そこで ばにばにベンジャミンが めを さましました。 ねずみさんは ふかく おわびして、 じぶんは あなうさピーターの しりあいだと つげます。
![挿絵10](fig51347_13.png)
ねずみと ベンジャミンが へりのすぐしたあたりで しゃべっていると、 あたまのうえから ずっしりした あしおとが きこえてきました。 するとふいに マグレガーおじさんが かりとった しばを どっさりと、 ねむっている ばにばにきょうだいの まうえに あけだしたのです! ベンジャミンは かみぶくろに かくれて ちぢみあがりました。 ねずみさんは ジャムのびんに みを かくしました。
![挿絵11](fig51347_14.png)
こうさぎたちは くさの ふりそそぐなか きもちよさそうに にやにやと おやすみしています。 レタスの さいみんこうかが つよかったので、 めざめることは ありません。
みんな ゆめのなかで、 ママの フロプシーに ほしぐさの ベッドへ おしこまれているのです。
マグレガーおじさんは ふくろのなかを みんな ぶちまけたあと、 したを のぞきこみました。 すると おもしろいことに くさのやまから ぴょこんと ちゃいろい こみみのさきが とびだしているのが みえるのです。 しばらく じろりと ねめつけました。
![挿絵12](fig51347_15.png)
やがて そのひとつに はえが とまると みみが ぴくりとしました。
マグレガーおじさんは ごみのやままで よじおりて ――
「ひい、 ふう、 みい、 よお! いつ! むうも こうさぎ!」と いいながら、 つかんで ふくろのなかへ いれていきます。 ばにばにきょうだいの ゆめのなかでは ママに ベッドのうえで ねがえりを うたされたことに なっていました。 ねむっている あいだに ちょっとくらい めは あいても、 やっぱり めざめるまでは いかないのです。
![挿絵13](fig51347_16.png)
マグレガーおじさんは ふくろを しばると、 おほりのうえに おいて そのばを はなれました。
しばかりきを かたづけに いったのです。
![挿絵14](fig51347_17.png)
そのあいだに (おうちで るすばんを していた) ママの ばにばにフロプシーが のはらを ぬけて やってきました。
まさかと ふくろを ながめて、 みんな どこへ いったんだろうと むなさわぎ。
![挿絵15](fig51347_18.png)
すると ねずみさんが ジャムのびんから でてきて、 ベンジャミンも かぶっていた かみぶくろを はずして、 ふたりして なげかわしい いちぶしじゅうを かたります。
ベンジャミンと フロプシーには どうすることも できません。 ひもを ほどこうにも むりなのです。
けれども おねずみおばさんは あたまの はたらく かたでした。 ふくろの すみを かじって あなを あけたのです。
![挿絵16](fig51347_19.png)
こうさぎたちは ひきずりだされ、 たたきおこされました。
パパと ママは からのふくろに くさった ペポカボチャ みっつと つかいふるしの くつブラシを ひとつ、 いたんだ カブを ふたつ つめこみます。
![挿絵17](fig51347_20.png)
そして みんなして しげみに かくれ、 マグレガーおじさんが くるのを まちうけました。
![挿絵18](fig51347_21.png)
マグレガーおじさんは もどってくると ふくろを とりあげて もちさります。
そうとう おもたいのか てから ぶらんぶらん。
ばにばにきょうだいは うまく あいだをとって あとを おいかけます。
![挿絵19](fig51347_22.png)
おうちに はいっていくのが みえました。
それから まどに にじりよって ききみみを たてます。
![挿絵20](fig51347_23.png)
マグレガーおじさんは いしじきの ゆかに ふくろを なげおろしました。 あれでは ばにばにきょうだいが はいっていようものなら おおけがしていたでしょう。
きこえてくるのは ゆかのうえに いすを ひきずる おとと ほくそえむ こえ ――
「ひい、 ふう、 みい、 よお、 いつ、 むうも こうさぎ!」と マグレガーおじさん。
![挿絵21](fig51347_24.png)
「はあ? なにさそれ? また はたけでも あらされたのかい?」と マグレガーおばさんが たずねました。
「ひい、 ふう、 みい、 よお、 いつ、 むうも ぷりぷり こうさぎよ!」と マグレガーおじさんは ゆびおりしながら くりかえします。 「ひい、 ふう、 みい ――」
「ばかは およしよ。 なんの つもりだい、 いかれ じいさんや。」
「ふくろんなかよ! ひい、 ふう、 みい、 よお、 いつ、 むう!」と こたえる マグレガーおじさん。
(そのとき、 ばにばにきょうだいの すえっこが まどの でっぱりに あがりました。)
![挿絵22](fig51347_25.png)
マグレガーおばさんは ふくろを つかんで さわってみたのですが、 どうも たしかに 6ぴき いるけれども、 よぼよぼの うさぎじゃないのか、 かちこちで みんな かたちが ふぞろいだよと いいます。
「たべるにゃ むかないね。 でも けがわは あたしの おふるの コートの うらじに するにゃあ もってこいかも。」
「コートの うらじだと?」と マグレガーおじさんは こえを はりあげます。 「こいつは うっぱらって わしの たばこだいに するんよ。」
「うさぎたばこ
![※(疑問符感嘆符、1-8-77)](../../../gaiji/1-08/1-08-77.png)
![挿絵23](fig51347_26.png)
マグレガーおばさんが ふくろの ひもを ほどいて てを なかに いれます。
じぶんの さわっているのが やさいと わかると、 ぷんすかと おこりだしました。 マグレガーおじさんに 「わざと やったのか」とまで いうのです。
![挿絵24](fig51347_27.png)
すると マグレガーおじさんも ぷんすか。 くさった ペポカボチャが ひとつ ちゅうを とんで、 だいどころの まどの ところを ぬけ、 ばにばにきょうだいの すえっこに ぶちあたりました。
いたいの なんの。
![挿絵25](fig51347_28.png)
そこで ベンジャミンと フロプシーは もう うちに かえったほうが いいと おもいました。
![挿絵26](fig51347_29.png)
こうして マグレガーおじさんは たばこが てに はいらず、 マグレガーおばさんも うさぎの けがわを てに いれそこないました。
けれども つぎの クリスマス、 おねずみトマシーナは うさぎの けいとを もらいました。 しかも じぶんの コートや ずきん、 おしゃれな マフや あたたかい てぶくろを みんな つくれるくらい たくさん。
(おしまい)