![表紙絵](fig54919_01.png)
![口絵1](fig54919_02.png)
![口絵2](fig54919_03.png)
いたずらっこの みんなへ ささぐ
―― とくに うちの にわの へいを のぼる こどもたちへ
![挿絵1](fig54919_04.png)
むかしむかし 3びきの こねこが おりました。 なまえは ミトンズ、 ねこぬこタム、 モペット。
みんな それぞれ けなみも みじかく ふわふわ かわいらしく、 とぐちの あたりで ごろごろ、 ほこりを たてつつ たわむれます。
![挿絵2](fig54919_05.png)
ところが あるひ みんなの ママ ―― ぐいぐいタビサ ―― が おともだちを おちゃへ まねきました。 そこで こねこたちを うちのなかに いれて、 おきゃくさまが つくまでに よごれを おとして きがえを させようとしたのです。
![挿絵3](fig54919_06.png)
まずは かおを ごしごし。(このこは モペット。)
![挿絵4](fig54919_07.png)
そのあと けなみの おていれ。(このこは ミトンズ。)
![挿絵5](fig54919_08.png)
しあげに しっぽと ひげを すきます。(このこが ねこぬこタム。)
タムは とっても やんちゃで やたらと ひっかくのでした。
![挿絵6](fig54919_09.png)
ママの タビサは モペットと ミトンズに あらいたての エプロンドレスと えりかざりを きせます。 つぎに タンスの ひきだしから、 すてきだけど きちきちの ふくを さまざまに とりだして、 むすこの タムの きがえを かんがえました。
![挿絵7](fig54919_10.png)
ねこぬこタムは ぷくぷく ふとって おおきくなっていましたので、 ボタンが いくつも はじけとんでしまって。 おやとして また ぬいつけることに。
![挿絵8](fig54919_11.png)
3びきの こねこの したくが できると、 ママの タビサが あろうことか みんなを にわへと だしてしまって。 バタートーストが やきあがるまでの やっかいばらいの つもりだったのですが。
「いいこと、 ふくを よごさないこと! うしろあしだけで あるくように。 はいだめは きたないから ちかよらない、 それから へにぺにサリーにも、 あと ぶたごやも、 みずかきさんたちにもね!」
![挿絵9](fig54919_12.png)
モペットと ミトンズは ふらふら にわの こみちを くだっていきます。 たちまち エプロンドレスを ふんづけて、 はなから じめんに つっこんで。
たちあがったときには みどりの しみが あちこちに!
![挿絵10](fig54919_13.png)
「あっちの いわの おにわに のぼって、 へいに こしかけよっ。」と モペット。
エプロンドレスを うしろまえにして ぴょんぴょん スキップしながら いきました。 モペットの しろい えりかざりが みちばたに おっこちます。
![挿絵11](fig54919_14.png)
ねこぬこタムは ずぼんを はいたままの うしろあしでは うまく とべず、 あるくしか ありません。 いわの にわまで ゆっくり すすみながら、 しだを ひっかけたり、 ボタンを みぎにひだりに ぽろぽろ おとしたり。
![挿絵12](fig54919_15.png)
へいの てっぺんに たどりつくころには もう どこもかしこも むちゃくちゃで。
モペットと ミトンズが ふたりして タムを なんとかしようと しましたが、 ぼうしは ぬげるわ のこった ボタンも はじけとぶわで。
![挿絵13](fig54919_16.png)
と、 なんぎしていると そこへ ぺたぺた みずかきの あしおとが! つづいて 3びきの あひるが かたい じめんの おおどおりを あるいてきまして、 れつに なって あしを のばしたまま ―― みぎ ひだり ―― ぺっぺっ たんたん! よちよち よたよた!
![挿絵14](fig54919_17.png)
3びきは たちどまり、 よこに ならんで こねこたちを みあげます。 そのちいさな めは びっくりしているみたいで。
![挿絵15](fig54919_18.png)
すると 2ひきの あひる、 みずかきリベカと みずかきジェマイマが ぼうしと えりかざりを ひろいあげ、 じぶんたちで かぶってしまって。
![挿絵16](fig54919_19.png)
ミトンズは おなかを よじらせ、 へいから おっこちました。 モペットと タムも あとを おって したに おります。 エプロンドレスも のこった タムの ふくも まとめて そのときに ぬげおちて。
「ねえ! みずかきドレークさん。」というのは モペットです ――「こいつの きがえ てつだってよ! タムの ボタンを とめるの!」
![挿絵17](fig54919_20.png)
みずかきドレークさんは よこあるきに うごいて、 いろいろあったものを みんな ひろいあげました。
![挿絵18](fig54919_21.png)
ところが それを ぜんぶ じぶんで きてしまって! すると タムいじょうに あわない にあわない。
「うむ、 ごきげんよう!」と みずかきドレークさん。
![挿絵19](fig54919_22.png)
そうして みずかきドレーク、 ジェマイマ、 リベカの 3びきは みちの さきへと すすみだしまして ―― あしなみ そろえて ―― ぺっぺっ たんたん! よちよち よたよた!
![挿絵20](fig54919_23.png)
そこへとうとう ぐいぐいタビサが にわへと やってきて、 へいのうえで はだかになっている こねこたちを みつけたわけです。
![挿絵21](fig54919_24.png)
へいから ひきずりおろされ、 おしおきされ、 こねこたちは うちへと つれもどされました。
「おともだちが もうすぐ つくっていうのに、 これじゃ ひとまえに だせないわ。 はずかしい。」と ママの ぐいぐいタビサ。
![挿絵22](fig54919_25.png)
3びきは うえのかいへと つれていかれ、 あんまりなことに ママの おともだちへは はしかで ねていることに されまして。 もちろん うそです。
![挿絵23](fig54919_26.png)
まったく それどころか、 ねていないどころの はなしでは なくって。
どういうわけか ほんとうに おかしなくらい ひどい ものおとが うえから してきまして、 おちゃかいは ふんいきも おちつきも だいなし。
![挿絵24](fig54919_27.png)
と ここまで。 ねこぬこタムの おはなしは またいつか もっと おおきな ほんで おはなしすることに なるでしょう!
![挿絵25](fig54919_28.png)
さて みずかきさんたちですが ―― そのあと いけに ゆきまして。
ボタンが なかったから ふくも ぜんぶ そのまま ぬげおちてしまいまして。
![挿絵26](fig54919_29.png)
それで みずかきドレークさんと ジェマイマと リベカは いまだに ずっと さがしているのですよ。
(おしまい)