空には
燃える秋の星がある。
地には天に向つて立つけやきがある。
葉の階層――剛 い幹 。年輪の多いあらい幹。
彼は、昼と夜、空間のひろがりの中で
思想である。流出である。
心に
不安がある。獣と共通な欲望がある。死を慕ふ憂欝がある。夢の記憶の破片がある。
限界の輪廓を打ち砕きたい動律と火流とがある。
どこへ行くのか? 今それを思はない。
僕は
秋の夜の、目がぐらぐらするほどな
星の無数の穴を見上げて立つ。
一つの胸が、自分にある。